ECサイトを作って自社商品やブランド認知度を高めたいと考えているものの、作る手順やかかる費用が分からないという担当者も少なくありません。

そこで、ECサイト構築を初めて担当する人に向けて、作り方と手順、注意点などを解説します。また、ECサイトを作る際におすすめのサービスサービス別構築費用も紹介します。

目次

  1. ECサイトは大きく2タイプに分られる
  2. 自社ECサイトの作り方
  3. ECサイトを作る手順
  4. ECサイトを作る4つの方法
  5. ECサイトを作る時の注意点
  6. 【サービス別】ECサイトの構築費用
  7. 自社に最適なECサイトの作り方を選ぼう

ECサイトは大きく2タイプに分られる

ECサイトは通常のコーポレートサイトやサービスサイトとは異なり、会員機能や決済機能、カート機能などが搭載されています。さらにECサイトは、モール型ECサイト自社ECサイトの2タイプに分けられます。

モール型ECサイトは、Amazonや楽天などのECモールに出店するタイプです。立ち上げの手間がかからず、人気のモールなら多くの集客が見込めます。しかし、デザインや機能に制限があり、ショップ開設手数料や販売手数料がかかります。

自社ECサイトは、企業が独自にECサイトを構築するタイプです。構築に手間はかかりますが、デザインや機能の自由度は高くなります。ブランドコンセプトを重視して、ロイヤリティの高い顧客を獲得したいなら、自社ECサイトを作ったほうが良いでしょう。

自社ECサイトの作り方

自社ECサイトの立ち上げにはコストと時間がかかるため、よほど大規模なECサイトを作るのではない限り、ゼロから作る方法(=フルスクラッチ)はおすすめできません。フルスクラッチは初期費用だけで数千万以上、構築に1年以上かかることもあります。

ASPアプリケーションサービスプロバイダ)やECクラウドサービスECオープンソースECパッケージなどを活用して、できる限りコストと時間を削減しながらECサイトを制作しましょう。

ECサイトを作る手順

ECサイトを作るときの一般的な流れは以下の通りです。

ECサイトを作る手順.png

❶ コンセプトの策定

誰に対してどのような商品やサービスを提供するのか明確にします。必要な機能を洗い出し、予算も立てておきましょう。

❷ 構築方法を決定

自社に最適な構築方法、プラットフォームを選択して、実装する機能や満たすべき要件などを明確にします。どんな構築方法があるかについては、次の項で詳しく説明します。

❸ デザインの設計

ユーザーが商品を選びやすく、購入しやすいデザインを考えます。サイト全体の統一感、オリジナリティも大切です。

❹ 商品の登録

商品画像、説明文、価格などを登録します。在庫管理システムと連携することで、在庫状況や注文番号などを一元管理できます。

❺ 決済システムとECサイトを接続する

ニーズの高い決済方法を導入します。安心してアクセスしてもらえるように、SSL証明書を取得してセキュリティを確保します。

決済方法の種類.png

❻ テスト

ECサイトが正しく動作するかテストします。問い合わせやサポート体制も整えましょう。

❼ リリース

ECサイトを公開して、SEO施策やSNSなどを活用したマーケティング戦略を実施します。

ECサイトを作る4つの方法

ECサイトを作るおすすめの方法は、ASPECクラウドサービスECオープンソースECパッケージの4つです。それぞれの特徴やメリット・デメリット、代表的なサービスについて解説します。

ECサイトを作る4つの方法.png

ASP

ECサイトASPの例.png

ASPアプリケーションサービスプロバイダ)とは、インターネット上でECサイトに必要なカート機能などを提供するサービスのことです。

システム構築やアップデートなどはベンダー側が行うため、開発コストを最小限に抑えられます。ただし、カスタマイズの自由度は低めです。

◼︎代表的なサービス

  • Shopify
  • STORES
  • BASE

◼︎メリット

  • 初期費用を抑えられる
  • 短期間で導入できる

◼︎デメリット

  • デザイン、拡張、カスタマイズに制限がある
  • 連携できない外部サービスがある

ECクラウドサービス

ECクラウドの例.png

ECクラウドサービスとは、クラウド上にあるプラットフォームを用いてECサイトを構築できるサービスのことです。APSに比べて搭載されている機能数が多く、カスタマイズ性も優れています。

ただし、多くのECクラウドサービスはソースコードを開示していないため、自社で保守管理を行いたい場合には向いていません。

◼︎代表的なサービス

◼︎メリット

  • 低コストで運用できる
  • 比較的短期間で導入できる
  • APSに比べてカスタマイズの幅が広い

◼︎デメリット

  • それなりの導入コストがかかる
  • 自社で保守管理できない

ECオープンソース

ECオープンソースの例.png

ECオープンソースとは、オープンソース(=公開されているコード)を使ってECサイトを構築する方法です。多くの場合無償で公開されており、商用・非商用問わず誰でも利用できます。

ただし、オープンソースはセキュリティリスクが高い傾向にあります。導入・運用するにはWeb制作スキルとセキュリティに精通した人材が必要です。

◼︎代表的なサービス

  • EC CUBE
  • Adobe Commerce(Magento)

◼︎メリット

  • システム利用料がかからない
  • カスタマイズの自由度が高い

◼︎デメリット

  • サーバー、ドメインの取得費用がかかる
  • セキュリティリスクがある

ECパッケージ

ECパッケージの例.png

ECパッケージとは、ECサイトに必要な機能があらかじめ搭載されているシステムのことです。自社サーバーにインストールして運用します。

商品管理や売上管理などECサイト運営に必要な機能がすべて搭載されており、ベンダーのサポートも充実しているため、中〜大規模ECサイトに適しています。ただし、初期費用、運用保守費用は高額です。

◼︎代表的なサービス

◼︎メリット

  • 必要な機能がすべて揃っている
  • 運用代行、技術サポートまで受けられるプランもある

◼︎デメリット

  • 高額なコストがかかる
  • バージョンアップに費用がかかる
  • 導入まで3~6ヵ月ほどかかる

ECサイトを作る時の注意点

ASPや ECクラウドサービス、ECパッケージを活用してECサイトを作る時は、以下の点に気をつけましょう。

  • サポートの有無
  • システム(セキュリティ面)の自動更新の有無
  • 不具合、バグの発生時の責任の所在

これらのサービスは、契約書にサポートの有無やシステムの自動更新(通常保守サービス)、不具合発生時の対処法や損害賠償額の範囲について記載されていることが一般的です。

一方で、ECオープンソースの場合はサポートデスクが存在しません。特に注意が必要なのは、オープンソースをベースにECサイトの構築を外注するケースです。外注先がどこまで責任を負うのか、事前に契約内容を確認することが大切です。

【サービス別】ECサイトの構築費用

方法 初期費用 月額費用
ASP 無料~30万円 3~5万円
ECクラウドサービス 無料~100万円 5〜30万円
ECオープンソース 無料〜500万円 5〜30万円
ECパッケージ 100~600万円 30〜100万円

ここからは、サービス別にECサイトの構築費用を紹介します。

ASP

APSの初期費用は無料〜30万円、月額費用は3〜5万円が一般的です。個人や小規模の事業者に適していますが、販売手数料や決済手数料が高いと、利益がなかなか出ないこともあります。事前に発生するコストを把握しておくことが重要です。

● Shopify(ショッピファイ)

Shopify.jpg

出典:Shopify

費用

プラン 初期費用 月額費用 決済手数料
ベーシック 0円 $33(約4,800円) 3.4%+0円
スタンダード 0円 $92(約13,000円) 3.3%+0円
プレミアム 0円 $399(約58,000円) 3.25%+0円

※最初の3ヶ月はどのプランも月額$1(約140円)

向いている企業

  • SNSを活用してECサイトの集客率を高めたい
  • 実店舗のシステムとECサイトを連動させたい

● STORES(ストアーズ)

STORES.jpg

出典:STORES

費用

プラン 初期費用 月額費用 決済手数料
フリープラン 0円 0円 5%
スタンダードプラン 0円 2,980円(初月0円) 3.6%

向いている企業

  • 業界最安水準でECサイトを運用したい
  • スマホでECサイトを管理したい

● BASE(ベイス)

BASE.jpg

出典:BASE

費用

プラン 初期費用 月額費用 決済手数料 サービス利用料
スタンダードプラン 0円 0円 3.6%~+40円 3%
グロースプラン 0円 5,980円(初月0円) 2.9%~ 0円

向いている企業

  • 機能はシンプルでいい
  • 商品説明文の作成時間を短縮・自動生成したい

ECクラウドサービス

ECクラウドサービスの初期費用は無料~100万円、月額費用は5〜30万円が一般的です。カスタムレポートやカート離脱防止などの機能でビジネスをレベルアップできます。

● ecforce(イーシーフォース)

ecforce.jpg

出典:ecforce

費用

プラン 初期費用 月額費用 決済手数料
スタンダード 148,000円 49,800円 外部決済会社の料率+30円
エキスパート 248,000円 99,800円 外部決済会社の料率+30円

向いている企業

  • 豊富な機能を使いこなして売上を確保したい
  • コンサルティングも依頼したい

● メルカート

メルカート.jpg

出典:メルカート

費用

プラン 初期費用 月額費用
基本料金 190,000円~ 50,000円~

※利用するオプションサービスなどにより追加費用が発生

向いている企業

  • 業界や業種に特化したテンプレートを使いたい
  • モール型や越境EC(海外)も一緒に取り組みたい

● futureshop(フューチャーショップ)

futureshop.jpg

出典:futureshop

費用

プラン 商品登録数 初期費用 月額費用
futureshop 50~10,000商品まで 22,000円 22,000円~
futureshop omni-channel 30,000商品まで 752,000円 152,000円

※利用する決済機能、オプションサービスなどにより追加費用が発生

向いている企業

  • ショップの世界観やブランドイメージを重視したい
  • ファン作りに直結するECサイトを作りたい

ECオープンソース

ECオープンソースの初期費用は無料〜500万円、月額費用は5〜30万円が一般的です。ソースコードそのものは無償ですが、サーバー環境の構築やデザイン、機能のカスタマイズに費用がかかります。

● EC CUBE(イーシーキューブ)

EC_CUBE.jpg

出典:EC CUBE

費用

プラン 初期費用 月額費用
Lite※新規登録受付停止中 0円 6,800円〜
Standard 70,000円 49,800〜84,800円

向いている企業

  • パッケージでは難しい独自性の高いECサイトを作りたい
  • デザインをフルカスタマイズしたい

● Adobe Commerce(アドビコマース)(Magento(マジェント))

Adobe_Commerce(Magento).jpg

出典:Adobe Commerce(Magento)

費用

プラン 初期費用 ライセンス費用
オープンソース版 0円 0円
有料版 0円 売上予測、ドメイン数、アクセス数などによる※詳細は要問い合わせ

※構築を外注する場合は300~500万円が目安

向いている企業

  • BtoBのECサイトを運用したい
  • 小規模からスタートしたい

ECパッケージ

ECパッケージの初期費用は100~600万円(複数店舗)、月額費用は30〜100万円が一般的です。ブランドや商材に合わせてカスタマイズする場合は、追加費用がかかります。

● ecbeing(イーシービーイング)

ecbeing.jpg

出典:ecbeing

費用

プラン 初期費用 月額費用
スタートアップ 190,000円~ 50,000円~
ミドル 5,000,000円~ 200,000円~
エンタープライズ 要問い合わせ 400,000円~

向いている企業

  • ECサイトの構築からマーケティング支援まで依頼したい
  • 売上アップをサポートするオプション機能を追加したい

● SI Web Shopping(エス・アイ ウェブショッピング)

SI_Web_Shopping.jpg

出典:SI Web Shopping

費用

プラン 初期費用 月額費用
1店舗版 4,800,000円~ 60,000円(80,000円/月)
モール版 8,000,000円~ 1,600,000円(約134,000円/月)

※拡張に応じて追加費用が発生

向いている企業

  • OMO、オムニチャネルBtoBビジネスのデジタル基盤として活用したい
  • EC事業を内製化したい

自社に最適なECサイトの作り方を選ぼう

ECサイトの作り方には複数の選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。コスト売上予測カスタマイズ性などを考慮して、自社に最適な作り方を選びましょう。

また、成果を出すためには、ECサイトのリニューアルも効果的です。ECサイトのリニューアルを検討している、予定しているという方は、下記資料も参考にしてみてください。