市場環境が大きく変わっている現在では、国内外で活躍できる社内文化への適応が必要でしょう。

「ニュー・リテール」を推進するスタイラー株式会社では、台湾など、海外への進出も積極的に進め、外国人を積極的に採用しています。多様な人材を確保することで、社内の文化も多様化し、バランスが取れた事業推進ができているようです。

事業を進めるために、こうした人材をどのように採用・教育しているのか、同社の渡邉 文佳HRマネージャーと埴岡瞬マーケティングマネージャーに伺いました。

▼前回のインタビューはこちら▼
ニューリテールでユーザーと店舗をつなぐ!FACYのサービスとは

渡邉 文佳 氏プロフィール

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NTTデータにてCRM業務全般に携わった後、ディー・エヌ・エー入社。 MobageのCS運用やショッピングモール事業でマーケティング・営業・サービス企画に従事。
2017年7月にスタイラーへ参画。事業全般のサポートを行った後、HRを新設しマネージャーとなる。採用PR・広報も兼任。

コミュニケーションを取りたい海外エンジニアが増えている

ferret:
採用について、実際にどのような取り組みをされているのでしょうか。

渡邉 氏:
今、採用は事業戦略、必要な組織能力から細かな人物像にブレイクダウンしたものをもとに実施しています。

1つは、外国籍のメンバーがすごく増えています。エンジニアには中国やニュージーランド、ドイツ出身のメンバーがいます。

弊社の外国籍のメンバーは日本の文化やカルチャーが好きで来日した人がほとんどです。しかし日本の大手企業で働いていても、カルチャーがどうしても合わず、弊社に来たという人が大半を占めています。

カルチャーが合わない理由としては、組織的にフラットではなかったっり、コミュニケーションが取りづらかったりというものが1番多いようです。

例えば、エンジニアって特に日本では特殊ですよね。エンジニアは人と話さなくても良いような環境づくりをあえてするとか、あまり話さなくてもいいよとか、リモートでずっとやっていてもいい、みたいなところをどんどん推奨して押し出していく企業が増えている印象です。

ただ、スタイラーの場合、その逆で「コミュニケーションが取りたい」というエンジニアが増えています。海外の人は、「コミュニケーションによって課題を早く解決したい」という思考を持っている方が多いためかと思います。

「他の企業だとコミュニケーションが取れないから辞めた」という人が弊社に来ていて、何かあっても隣にいるのに声をかけづらい、というカルチャーを変えたくて転職しました、という人が多いです。

ferret:
なるほど。スタイラーに入社して皆が安心していることは何ですか。

渡邉 氏:
1つ大きいのは社長のキャラクターが大きいと思っています。スタートアップは社長のキャラクターが影響する、と言いますが、そこはとても大きいと思います。

1次面接で代表の小関が出てきて、直接事業やサービスの説明をします。そこで縦割りになっていないフラットなカルチャーだったり、「本当にフランクに何でも話せそう」という印象をしっかりと持っていただけているのではないかと思います。
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参考:
スタイラー社エンジニアチーム(スタイラー社提供)

ferret:
今スタイラーは20名ほどの社員がいて多国籍になっているのですね。今後ももっと増えていくのでしょうか。

渡邉 氏:
さらに増やしていきます。台湾で事業が進んでいるので、コミュニケーションを考えると、英語が話せる人が多いほうがいいですね。

ボトムアップで心理的安全性を重要視

ferret:
この会社のカルチャーのいい面や悪い面はどのような点でしょうか

埴岡 氏:
カルチャーは超ボトムアップです。代表の小関がもちろん事業の帳尻合わせはしますが、それまでは基本的に現場に任せてくれています。僕も最初メディアディレクターとして入社して基本自由に動かせてもらってます。

あとは、お互いを責め合うカルチャーがないところが良い点ではないでしょうか。仕事上のミスがあったとしても、皆が冷静に「なぜ起きたのか」という仕組みの話から入るので、個人を攻めることがありません。

ferret:
そういうときでもちゃんと責めずに一緒にやっていく、ということになるんですね。パフォーマンスの最大化というところになってくると思います。

渡邉 氏:
それはすごくあります。先ほどの「責めずに」というところも、「心理的安全性」という言葉を私も使うようにはしているんですが、非常に大事だと思っています。「自分はここにいていい」と心から思い、人間関係の悩みは一切なしに仕事に集中できる、という環境づくりが事業を推進していく上で重要ですね。

外国人に合う意識と組織の形

ferret:
そのように、人に当たらず、コトに当たる時に意識していることはありますか。

渡邉 氏:
現場のマネージャーが人に向かうところからいかに事業に向かわせるか、というところを上手くコントロールできているんじゃないかなと思います。

埴岡 氏:
方法として結構力技なんですが、マネージャーが何も言わずにひたすら働く、みたいな見せ方をしています。

ferret:
姿勢のほうで見せていくんですね。外国人の方で御社にマッチする方が来るというのは、そういう姿勢にも上手く合ってきている、ということでしょうか。

渡邉 氏:
合っていると思います。あと、皆「どうしたらよくなるか」ということをフランクに意見したがるので、会社としてルールを作ったり、号令をかける前に、入り口で、そういったカルチャーにあっている人や思想を持っている人をいかに集めるか、という点が重要です。

埴岡 氏:
外国の文化って文句を言う前にやるかやらないかをディスカッションするのです。その結果、「とりあえずやってみよう」となることが弊社では多いですね。小関が一番その姿勢を示してくれています。

渡邉 氏:
例えば小関が話す英語は、ジャパニーズイングリッシュです。それでも全く恥じることなく、大きな声で英語を社内で話すので、社員は自然と「これでいいんだ」「きちんと通じるんだ」と思えるのです。

「これでいいんだよ」というのを率先して見せていますね。

外国人は事業推進でバランスを取るためにも必要

渡邉 氏:
事業を推進していく上で、100%のクオリティを出すよりも、30%程度のクオリティが出て入ればスピード重視で進めることが重要な局面もあります。先にも述べたように、海外の方は「コミュニケーションによって課題を早く解決したい」という思考が強いため、スピード感を持って事業を推進したいスタートアップのカルチャーでの貢献度が高いと思っています。

外国籍の方が増えるというのは、多様性といった側面だけでなく、事業を推進する上でもメリットが大きいですね。

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まとめ:会社一眼となって文化を作ろう

今注目のニュー・リテールプラットフォームを提唱するスタイラー社に人材採用や社内文化での取り組みについて伺いました。

新たな概念に取り組み、海外展開も見据えていく中で、積極的に海外人材を登用し、会社一眼となって事業を推進するための文化を作っていくことを心がけているようです。

今後も海外人材を採用することを予定している企業は参考にしてみてはいかがでしょうか。