写真のひと工夫で記事が変わる。フォトディレクション基礎知識
読者に響く記事を作成する上で、写真や画像などのビジュアルも、文章と同じく大切な要素です。
SNSでシェアされる際、タイトルと共に表示される画像によってクリックされるかは大きく変わりますし、記事内に写真や画像がテンポよく挟まれていると、読者が最後まで目を通してくれる確率も高くなります。
今回は、「写真」をテーマにお伝えしていきます。
写真でどれくらい印象が変わるのか?
表情や服装、写真の色味も、読者が受け取る印象に影響します。
例えば、採用を目的とした社員インタビューでも、Tシャツを着て談笑している写真と、スーツで真っ直ぐ正面を見据えている写真、どちらをアイキャッチにするかによって、読者が想像する「職場」はまったく異なるでしょう。
写真は同じであっても、暖色ならより温かく、寒色ならよりスマートな印象を受けます。
こうした写真から受ける印象と、文章で書かれている内容に一貫性があると、記事が読者に与える説得力も増します。
社内で記事を内製している場合、写真や画像に割けるリソースは限られているかもしれません。しかし、基本的なポイントに気をつけるだけで、伝えたいメッセージが視覚的にも伝わる記事になるでしょう。
インタビュー記事を作成するケースを例に、写真撮影の準備から記事への挿入まで、最低限やっておきたいことを解説します。
撮影をスムーズにするための事前準備
必要なカットを事前に考える
まずは、記事に必要なカットを事前に整理しておきましょう。基本、おさえておきたいのは、以下のパターン。
・アイキャッチ画像に用いるメインのカット
・インタビュー相手の左右、正面のカット
いずれも引き(遠くから撮る)と寄り(近くから撮る)を押さえておきましょう。構図についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
参考:
初心者もプロ並み!知っているだけで写真が上手くなる"写真の基本構図"5選
日頃から「この写真いいな」というイメージを集めておくと、自身で撮影する場合や、フォトグラファーとイメージを共有する際に役立ちます。僕が代表を務める「inquire」の編集チームは、「Pinterest」を使って記事作成時に参考にしたい写真を共有するビジュアルボードを作成しています。
撮影場所や時間を決めておく
取材当日は、時間も限られているため、なるべく撮影場所は先に決めておくようにしましょう。社員インタビューなら、会議室などでインタビューを行う場合が多いと思います。とはいえアイキャッチに使用する写真は、記事の目的に応じて工夫したいところです。
例えば、会社が成長している様子を伝える記事なら、大勢の社員の働くオフィスを背景にする、モチベーション高く仕事する社員の様子を取り上げる記事なら、屋上で遠くを見据えた姿を撮るなど、他のメディアの記事なども参考にしながら、記事の内容をビジュアル的に表現する方法を考えてみてください。
意外と忘れやすいのが撮影する時間帯です。とくに外で撮影する場合、可能な限り午前中に撮影を行いましょう。日差しの強い真昼間や、日が暮れてからの撮影は、慣れていない限り難易度が高いため、なるべく避けた方がいいでしょう。
余裕があれば、事前に洋服も決めておくと安心です。サービスロゴのTシャツやスーツなど、記事で伝えたい内容に沿って、服装も統一できるといいでしょう。また、暗い色の服よりは、白などの服の方が顔が明るく写ります。
撮影当日
ベストな写真のために気をつけること
当日は撮影を始める前に、何度かテスト撮影を行い、光の当たり方をチェックしましょう。逆光になっていないか、照明が極端に明るすぎたり暗すぎたりしないか確認し、必要に応じて照明を調整します。
背景やテーブルの上に余計な物が写らないよう気をつけましょう。何気なくテーブルに置かれたペットボトルや、壁に取り付けられた照明のスイッチは、写真の中で想像以上に目立ってしまいます。背景のホワイトボードや書類に、社外に出せない情報が写り込んでいないかも必ず確かめましょう。
撮影中は事前に決めた構図や表情が押さえられているかチェックします。後で見返した際に、ブレや不要な写り込みが見つかるケースもあるので、可能な限り多めに撮影しておきます。
必要なカットを押さえた後は、インタビューする人の顔以外のカットを撮影するのもおすすめです。PCに貼っている会社のステッカーや手元など、顔以外のカットがあると、記事の良いアクセントになりますし、実際にその人と対峙しているような臨場感が生まれます。
実際にinquireでは、制作した社員インタビューで、適度に顔以外のショットを挟んでいます。
一通り、構図や表情が撮影できた後も、インタビューの様子を伺いながら撮影できる状態をキープしましょう。リラックスしてきたインタビュー後半に、良い表情が撮影できることもあります。
撮影後
記事の伝えたいメッセージがより伝わるように
1.撮影した写真の編集
無事に撮影が終わったら、使用する写真の編集を行います。初心者の場合は、専用のソフトウェアを使うのは難しいかもしれませんが、少なくとも写真の明るさやホワイトバランスはチェックしましょう。また、不要なものが写り込んでいたり、写真が斜めになっていたりすると場合も、修正を加えましょう。
写真編集についてはは以下の記事を参考にしてみてください。
参考:
【写真編集アプリ】
Photoshopいらず? Mac標準の「写真」アプリの基本機能と活用方法を解説
Photoshopの代わりになる!画像編集アプリ・Webサービス13選
【明るさやホワイトバランス】
写真の色を正しく表示するためには不可欠!ホワイトバランスの基本知識を理解しよう
人を撮影した際に必ず気をつけたいのが写真写りです。対象者の表情が暗い写真は、どれだけピントや明るさが完璧でも、掲載は避けるようにします。インタビューに協力してくれた相手が、喜んで共有したくなるような写真を選びましょう。
2. 写真を記事に挿入する
記事に写真を挿入する際は、同じ構図の写真が続かないようにします。「引き」の写真の後は「寄り」の写真、正面の後は右側から撮った写真といったように、変化をつけると、読者も飽きずに読み進められます。
明確な意図がない限り、文章と写真のバランスは一定にして、不要な違和感を抱かせないようにしましょう。
構図と同様に大切なのが、インタビュー相手の表情や視線です。楽しい思い出を語る場面では笑顔、苦労した経験を振り返る場面は真面目な表情を選び、写真と文章がちぐはぐにならないようにします。
視線も重要です。視線の向かう先に空間があると「未来を見据えている」、後ろに余白があると「考えている、過去を振り返っている」印象を与えられます。
文章で語られているストーリーや、込められた感情を増幅させられるよう、挿入する箇所にもこだわってみてください。
まとめ:普段読んでいる記事を参考にしてみよう
急に実践するのが難しい場合も、まずは普段読んでいる記事の写真に注目し、何に工夫しているかを考えてみるといいでしょう。そこでの気づきを記事作りに活かしてみるだけで、記事の与える印象は大きく変わるはずです。
ビジュアルも記事を構成する大切な要素です。ぜひ意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。
(執筆協力:向晴香、協力:小山和之)
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