クロスボーダーの企業ニーズを発見する

クロスボーダーの企業ニーズを発見

飯髙:
事業として順調に成長しているようですが、立ち上げ当初の予定と乖離している部分はありますか。

加茂氏:
当初顧客ニーズとして想定していたのはITベンチャーが学生を一本釣りするということでした。しかし実際に初めて見ると、大手企業も人材採用に困っているということです。例えば大手製造業は機械関連の事業部には応募が多くくるのですが、それ以外の事業所の人材は一本釣りしないと取れないというニーズがわかったということです。想定外のニーズを発見できたことが良い面ですね。

例えばこうした企業は、情報系やバイオ系といったメーン事業以外の分野での採用が重要になってきているのです。

これが最近の時代の流れだと捉えています。クロスボーダーというか領域横断したニーズが出てきている。そこは今までの研究室のコネクションとかや待ってて来るとかっていうのじゃないんで、一本釣りしないと採れないっていうのがやってみてわかった。そこにニーズがあったんだなっていうところですね。

理系学生のマーケットの特性として、「研究すごい頑張っているために、就活意識があまり高くない」というのがあります。何か良い就活サービスがあると知ったところで、自分から登録して「プロフィールを全部埋めよう」と考える人は限られています。

そのためSNS広告や検索広告などを使ってもCPAはよくなく、他社が理系学生を集められていない理由でもあります。そこは僕たちがオフラインで力を入れてやっていっている理由です。

学生の就活文化を変えていく

飯髙:
そもそも理系学生が忙しいこと以外に就職活動をしない理由というのはあるのでしょうか。

加茂 氏

加茂氏:
理系学生の世界はとても閉ざされているというか、クローズドで自分の研究室の人としか会いません。研究だけするという生活なんですよね。なので、どういう会社があるかとか、どういう会社が面白いかとか世の中の流れとか、全然知る機会がありません。

あとは「やっぱり推薦で行くのが当たり前」みたいな風潮があるので、もはや就活してると「お前、就活してんねや」みたいなことを言われたりもします。

学生は自分の専門領域が周辺の他分野に求められていることに気付いていません。例えば機械系メーカーがバイオ系の学生を求めているということを知りません。

このあたりは学生たちの意識だけでなく、学生側から就職活動の可能性を広げる仕組みそのものを作っていく必要があります。

そのために取り組んでいる1つが「LabBaseメディア」です。9月からLabBaseのトップページがメディアに代わりました。弊社ではすでに「Lab-on」というメディアがありますが、これはまた違う形でリニューアルしました。

LabBaseメディアでは理系学生のキャリア感や視野を広げるような記事コンテンツをどんどん配信しています。

例えば、「あの会社の研究職の生活とか」「プラントエンジニアってどんな仕事何だろう」とか。世の中に知られていない世界や生活を発信していこうとしています。