スマートフォンや通信技術の発達によって、企業のプロモーションはより多様化してきました。

その中でも、近年注目されているのが、「SNSドラマ」。SNS上で視聴できる短時間のドラマを利用したプロモーションは、視聴者とより良好な関係性を保ち、高いエンゲージメントを築けると話題になっています。

2018年10月18日、トレンダーズ株式会社主催のセミナー「SNSドラマの仕掛け人に聞く 記憶に残る動画マーケティング」が開催されました。

SNSドラマの仕掛け人をゲストに、それぞれの事例に基づいて、特徴や活用方法についてセッションした様子をレポートします。

登壇者紹介

LINE株式会社 チーフプロデューサー 谷口マサト氏
(LINE NEWS初の連ドラ『ミライさん』プロデューサー)
株式会社アダストリア 「Heather」プレス 坂田文子氏
(インスタドラマ『デートまで』を企画)
株式会社N.D.Promotion アカウントプランナー 戸高純氏
Twitterドラマ『とけないで、サマー』プロデューサー)
トレンダーズ株式会社 動画マーケティング戦略室室長 長谷川颯也氏
(モデレーター)

動画マーケティングの最新トレンド

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まず最初に、トレンダーズの長谷川氏より、現在の動画マーケティングの最新トレンドについて説明がありました。

SNSドラマが注目されている理由

長谷川氏はSNSドラマが注目されている理由として、以下の3つが挙げられると話します。

・バズ動画のような一過性のものでは忘れ去られてしまう葛藤がある中で、情報を点ではなく線で捉えることで接点数を増加させ、プロモーションを付け加えていくことが出る点。

・ストーリーとキャラがあることにより、レシピやメイクなどの商材でなくとも、動画である必然性が担保される点。

・UGC(ユーザー生成コンテンツ)動画も競合になっていく中で、真似のできないオリジナリティとクオリティを提供することができる点。

これらはSNSドラマの持つ強みです。しかしその強みをより活かすためには、SNSドラマに適した企画やコンテンツの制作が必要となります。

ブランディング動画のKPIをどこに置くか

動画マーケティングをする上で悩むことの多いKPIについては、定性・定量の指標と共に動画であることによるプラスアルファの要素を付け加えて考えるべきだと話します。

「コスパ重視の考え方をしてしまうと、『費用対効果はバナー広告の方がよかったよね』とか、『口コミはインフルエンサーマーケやった方がよかったね』と考えてします。動画では、提案やKPIへのエビデンスとなるプラスアルファの要素も加えて評価しなければなりません。SNSドラマでは、複数回のストーリー構成でユーザーとの接点数が増加すると共に、ドラマ・キャラクターによる文脈を創出したことで、エンゲージメントを高めることができます」(長谷川氏)

強制的認知と好感認知

長谷川氏は広告の認知のされ方について、強制的認知と好感認知の2つがあると言います。

「強制的認知とは、関心のないターゲットも強力なアテンションで振り向かせることで認知を獲得することです。多くのボリュームを獲得できるメリットはありますが、興味関心のない層の認知も獲得してしまうデメリットもあります。一方の好感認知とは、ターゲットの興味関心に乗せて能動的にユーザーに発見されることで好感度の高い認知を獲得することです。こちらはボリュームが少ないというデメリットはありますが、その分購買への転換率が高いというメリットがあります。そして、この好感認知を獲得する手段としてSNSドラマは最適なんです」(長谷川氏)

SNSドラマでプロモーションをした理由

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株式会社N.D.Promotion 戸高氏は、数ある広告手段の中でSNSドラマを選んだ理由として、ターゲットである若い世代に受け入れてもらいやすい広告であったと述べています。

「弊社のマーケットは若年層なんですが、若い子は広告を好きじゃないんですよね。なので、広告を強制で見させるのは、若い子からしたら嫌悪感を感じてしまうのではないかと思うんです。じゃあ、その中でティーンの子に受け入れてもらえる広告はなんだろうと考えたときに、コンテンツとして楽しめるものが大事なことなのではないかと思いました」(戸高氏)

さらに戸高氏はクライアントと視聴者にとってのメリットや、若い世代の情報への接し方についても述べています。

「ドラマという形式なら、商品を使ったシーンやクライアントが伝えたい世界観をストーリーに乗せて自然に訴求することができる。視聴者にはそれをコンテンツとして面白いと楽しんでもらえる。その両者にとってのメリットがありました。また、若い子はテレビを週一しか見ない子がめちゃめちゃ多いですけど、SNSの滞在時間は長いんです。そして1コンテンツにかけれる集中力は短いので、30分ぐらいの動画は見てくれないんですよね。Youtubeでも3~5分といった短い動画が多いですしね。なのでSNSで短時間で見れるものならいいのではないかと考えたんです。その中で、『とけないで、サマー』は140秒の短編でありながら各回で起承転結があるコンテンツを意識しました」(戸高氏)

SNSドラマの反響と効果

コンテンツは態度変容がないと価値がない

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LINE株式会社 谷口氏はSNSドラマの反響と効果について、コンテンツは態度変容を起こさないと意味がなく、そのコンテンツによってユーザーの行動がどう変わったのかが重要であると話します。

「未来のドラマといえば暗いディストピア系のイメージがある人も多いのではないでしょうか。ドラマ『ミライさん』では明るい未来というメッセージを込めました。未来が明るい方が、見た人が元気がでると思ったからです。実際にSNS上や態度変容調査ではポジティブな反応がでています。ネットのコンテンツの課題は、社会への影響力が弱いことです。例えば「そうだ、京都行こう。」というテレビCMがありましたが、あれはテレビだから強い影響を与えられた。LINE上でシリーズ動画を展開することで、そのような広範囲の態度変容をネットでもできないかというチャレンジでしたが、約800万回見てもらえました」(谷口氏)

SNSドラマが洋服の販売につながった

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株式会社アダストリア 坂田氏は、「SNSドラマは思っていた以上に服の販売に繋がった」と話します。

ターゲットとなる層はSNSで情報収集をしているため、この数年Instagramを中心に積極的に投稿しており、エンゲージメントも右肩上がりでした。一方で、プロダクトで他社との差別化が難しくなっている今、同じ投稿内容を継続し続けていてはマンネリ化してしまいエンゲージメントが下がってしまうと思ったそうです。

そこで、面白コンテンツとしてSNSドラマ「デートまで」を公開したところ、最終的にはWebストアでの販売にも繋がっていきました。

「反響は思っていた以上にあって洋服もすごく売れました。1話公開のタイミングで勝手に口コミがきたり、IGTVという新しいプラットフォームでの取り組みだったためWebメディアに取り上げられたりしてバズも起きました。その後、ドラマを見たい人がSNSをフォローしてくれることもありました。最終的には洋服の紹介を、ドラマだけではなくSNSのタイムライン上やオウンドメディアなどで行うことで洋服の販売に繋がりました」(坂田氏)

深掘りする人用の情報を提供

SNSドラマをより効果的に見せるために実施したプロモーションについて、坂田氏と戸高氏は、興味を持ったユーザーが情報を深掘りする際のより詳しい情報を提供したと言います。

「最近のユーザーは興味を持ったことは自分からどんどん深掘りして検索をしてくれる。なので、マスに届けるコンテンツと、そこから深掘りをしてくれる人向けの情報発信をしました。主人公の服について気になったユーザーが検索した際、商品に辿り着けるようにするため、コーディネートをSNSやオウンドメディアに掲載したり、出演者のインタビューを掲載したりしました。」(坂田氏)

またSNSドラマと合わせてバズを生み出すキャンペーンを行ったことも効果的であったと言います。

「エンゲージを高めるためにSNS上でプレゼントキャンペーンを行い、バズを生み出すような合わせ技も行いました。ポイントとしては、知りたい情報をお客様の目線に立って、何が知りたいのか想像を働かせたところですね。ただ反省点として、主人公の相手役が思っていた以上に人気で、もっとそっちの方のコンテンツも作ればよかったなと思っています」(坂田氏)

「うちも似たやり方をしてました。2週間に1回の放送で、その間で演者さんのインタビュー記事を出していました。あとは、予告動画を公開した時にリツイート数に応じてオフショットを公開して事前のざわざわ感を出したりしてましたね。いいものだと1,000RTくらいまで伸びました。」(戸高氏)

まとめ

SNSドラマは、視聴者とより高いエンゲージメントを築くために効果的です。

そのSNSドラマをさらに活用するために、「どんなコンテンツであれば視聴者は能動的に認知してくれるのか」を意識したコンテンツづくりと発信をしていくことが重要となるでしょう。