前回の記事「ブランドの『独自性』が見つかる「定性調査」の進め方」では、消費者調査の設計時に気をつける点や調査の結果をどのように読み解くことができるかについて、定量調査・定性調査の2つの切り口で説明しました。そして同時に、上手くクロス集計を活かすことで、難しい分析手段を使わなくても、既に幅広い層の消費者に受け入れられている、または受け入れられる可能性を秘めた機能や特徴など、自社ブランドを強くするうえで重要な役割を果たす要素を見極めることができるとお伝えしました。

今回は、これらの消費者調査の結果を基に、どのようにブランドを強化するうえで必要なペルソナを作ることができるかについて説明します。

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「ブランディング」はなぜ必要?あなたは説明できますか?

ペルソナ設定における課題

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通常「ペルソナ」は、ブランドが獲得したい顧客層(ターゲット)を基に、更に細かい特徴を設定して作り上げられます。しかし、このペルソナの作り方には、一つ大きな課題があります。それは、往々にして他社のブランドが設定するペルソナと被る、または類似することです。

これは、同じカテゴリー内で競合する場合、ターゲット自体が重複することが多いため仕方のないこととも言えます。しかし、もし自社ブランドの強みや消費者から魅力と感じられている点を考慮したうえで作ったとしたら、他社ブランドには真似できないペルソナが作れるのではないでしょうか。

そもそも「ペルソナ」とは?

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自社ブランドの顧客像について話をする場合、通常「ターゲット(Target)」と「ペルソナ(Persona)」という2つの単語を耳にするのではないでしょうか。
ではそもそも、「ターゲット」と「ペルソナ」は何が違うのでしょう。

Target(ターゲット):標的、まと(的)
Persona(ペルソナ):登場人物、外的人格

この2つの単語をインターネット検索をすれば、マーケティング用語としてより具体的な説明を見つけることができると思いますが、今回は辞書に書かれている日本語訳を使って説明します。それは、マーケティングの解釈が入る前の訳を知り単語の本来の意味を理解することで、マーケティング用語としての意味をより深く理解できるようになると個人的に考えているからです。

さて、これらの日本語訳によると、ターゲット(Target)は「まと(的)」、ペルソナ(Persona)は「登場人物」と訳されています。つまり、「ターゲット(まと)」は狙うべき範囲のことであり、「ペルソナ(登場人物)」はどんな人物像であるかを明確にすることと解釈できます。

では、この「ターゲット」と「ペルソナ」は、どちらを先に設定すべきなのでしょうか。

「ターゲット」と「ペルソナ」、どちらがより重要?

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通常は、ターゲットが設定された後、そのターゲットに基づきペルソナが作成されるのが一般的なのではないでしょうか。しかし、以前「消費者から選ばれるブランドは何が違うのか」の中で紹介した『Best Global Brands 2018: Activating Brave』(米国Interbrand社発表)によると、対外的にブランドを強化するには、「消費者及び顧客のニーズ、願望を満たすだけでなく、人口統計学及び地理学的に全体を網羅した意思決定の条件に合っている(2つ目の要素「Relevance(つながり)」)」ことが重要であるとお伝えしました。この点を考慮すると、今まで新商品/新サービス開発時に最初に行われていたターゲットの設定が、ブランドを強化するうえで本当に正しいのか疑問を感じてしまいます。

もちろん、この質問に対する正解はありません。しかし、インターネットが普及し、どんな消費者にもリーチできるようになった現代において、年代や性別、エリアといった枠を決めてしまうのは、獲得できる可能性のあるマーケットの規模を自ら狭めていると言わざるをえません。

そこで私は、「消費者から選ばれるブランドは何が違うのか」にも書いた通り、3〜5つの年齢や性別、家族構成などが異なるペルソナを作るようにしています。そしてペルソナから見えた、獲得できそうな層をターゲットとして設定する方法を通常採っています。もちろん、既にクライアント側でターゲットが設定されている場合、そのターゲットに合わせた ペルソナを作成しますが、「もっと幅広い層を狙えるのにもったいない」というのが実は本音です。