LINEは2019年4月18日に、これまで提供していた「LINE@」を「LINE公式アカウント」と統合し、新たな機能・料金プランでサービスの提供を開始しました。

参考:
LINE@のサービス統合の紹介ページ|LINE for Business

LINE@との統合により料金プランや機能が変化したLINE公式アカウント。今後、企業はどのようにLINE公式アカウントを運用をしていくべきなのでしょうか。今回は「LINE公式アカウント」を提供する、LINE株式会社の水上真介氏に、統合によるメリットや活用法についてお話を伺いました。

水上真介氏プロフィール

LINE株式会社 マーケティングソリューションカンパニー ビジネス開発本部 Account事業室/SP事業企画室長
2011年ライブドア(現LINE)に入社。
2012年のLINEの広告商品リリース時よりBtoB事業企画を担当。

複雑なサービスになってしまっていたLINE@

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ferret:
そもそも、これまではどうして「LINE@」と「LINE公式アカウント」にサービスが分かれていたのでしょうか?

水上氏:
当初は「LINE@」は中小企業・店舗向け、「LINE公式アカウント」は大企業向けとして、異なるターゲットと目的で提供していました。そのため利用できる機能や価格も異なり、別サービスとして提供していたんです。

しかし、2015年に「LINE公式アカウント」に次いで「LINE@」でもAPIを公開したことで利用する企業の対象が、ECを提供している企業などに大きく広がりました。その後も、2017年には問い合わせに対応できる「カスタマーコネクト」機能も追加されるなど、LINE@の機能や料金プランは次々に増えました。

こうして徐々に、利用企業から見てもプランが選びにくいサービスとなってしまい、2017年頃からサービスの統合を検討しはじめました。

また、開発の視点から見ても、別プロダクトだとどうしても開発スピードが低下し、連携も複雑になっていくデメリットもありました。

ユーザーが欲しい情報を、欲しいときに届けられるように

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ferret:
今回のサービス統合に伴う機能改善によって、具体的に企業のLINEアカウントの運営にどのようなメリットがあるのでしょうか?

水上氏:
簡単に言うと*「ユーザーが欲しい情報を、欲しいときに、欲しい人へ届けられる」*ようになると考えています。

例えば、大企業はスポンサードスタンプを用いて一気に数百万人を集客して友だちを獲得する手法を取っていますよね。この手法は、多数の潜在顧客を集められるメリットがあり人気です。一方で、ユーザーはスタンプを獲得した後に、アカウントブロックや友だち解除などをしてしまうケースがあることも事実です。

今回の統合では、LINE内の広告コンテンツ露出枠の拡張などの新機能を追加することによって「友だちになる」段階から再設計し、興味のあるコンテンツアカウントをユーザー自身が見つけやすくなっていきます。

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出典:
【LINE】新メニュー「LINE Ads Platform CPF」の提供を開始 「LINE Ads Platform」を通じてLINEアカウントの「友だち」を獲得

また、従来のLINE@では、小規模な企業が利用する際は、実際に店舗へ訪れている人や商圏に住んでいる人が友だちとなるため、ユーザーと企業の関係性は良いものの、ターゲティングの精度等に改善点があり、ユーザーからのエンゲージメントが低くなってしまうことがありました。

今後は、配信内容や配信先のターゲティングが性別や年齢、居住地などに基づいてより細かく設定できるように順次改良し、必要な情報を必要なユーザーへ届けられるようにしていきます。

サービス統合により費用が上がってしまうユーザーにもメリットはある

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ferret:
*これまでLINE@を利用して大量のメッセージを利用していたユーザーは費用が上がってしまうケースもあると思います。*そのようなユーザーにも、今回の統合によるメリットあるのでしょうか?

水上氏:
確かに費用が上がってしまうケースもありますが、その分簡単に使える機能も増えているため、上手く活用できればより高い成果を出せると考えています。

数多くのメッセージを送り「数打てば当たる」ような運用も間違いとは言いませんが、LINEは今回の統合によって、ターゲティングやABテストなどの機能を改善し、*「よりユーザーが欲しい情報を、欲しいときに、欲しい人へ届けられる」*ようにユーザーと企業の関係性を近づけるお役に立ちたいと考えています。

友だち全員に一律で送るのではなく、情報を欲していそうなユーザーを狙って情報を届けられるようになれば、これまで取りこぼしてしまっていた層へも、適切なアプローチが可能となるでしょう。もちろん、ユーザーとしても、欲しい情報を欲しい時にもらえるようになるのは嬉しいですよね。