2019年2月20日、東京ミッドタウンホールにて「LINE Biz Solutions Day 2019」が開催されました。

2018年12月にリニューアルされたLINE公式アカウントやLINE Ads Platformの事例や活用方法に関するセッション、LINE Sales Promotionのリアル店舗やユーザーオフライン行動にリーチする商品・施策の発表など、LINEが提供しているビジネスソリューションに関する最新情報や事例などが発表されました。

このシリーズではLINE Biz Solutions Day 2019のセッションをそれぞれまとめて記事としてお届けします。

第1回は基調講演の内容をまとめ、LINEの掲げる「ReDesign(リデザイン)」と、リニューアルされた「LINE公式アカウント」「LINE Ads Platform」「LINE Sales Promotion」の概要と同社執行役員の池端氏が語った展望について紹介します。

登壇者プロフィール

LINE株式会社 執行役員 広告ビジネス事業担当 池端 由基

2010年、株式会社サイバーエージェントへ入社。自社メディアの広告セールスに従事。
2013年、LINE株式会社へ入社。広告事業部にて公式アカウントやスタンプなどのセールスを担当。
2016年6月、運用型広告LINE Ads Platform の立ち上げを担当。
2018年1月、戦略クライアントへ広告・プロモーションのコンサルティング提案営業を行うエンタープライズビジネス事業部の事業部長、および新設された大阪オフィスの代表も務める。
2019年1月、執行役員に就任。現職。

2018年のLINEの歩みとリデザインについて

2011年の誕生からおよそ8年、LINEはいまや単なるメッセージアプリではなく、広告コンテンツ、コマース、モバイル決済など幅広い分野のサービスを擁してコミュニケーションプラットフォームとしてのポジションを確立しています。

広告配信のアカウントビジネス領域においても急速に成長を続けてきたLINEですが、2018年12月に企業向けアカウントに大きなリニューアルを実施しました。

それまでに提供していた「LINE公式アカウント」「ビジネスコネクトアカウント」「カスタマーコネクトアカウント」「API型公式アカウント」「LINE@」をすべて「LINE公式アカウント」に統一し、料金プランは製品ごとの定額固費用制からブランド(アカウント)ごとの従量課金制に改定しました。

基調講演では、LINE公式アカウントのリニューアルの意図について言及された後、2018年から2019年にむけてLINEが取り組んでいくサービスや商品開発の展望が示唆されました。

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まず、2018年の振り返りからLINEの取り組みについて紹介した池端氏。

店頭販促ソリューションの「LINE SP Soltuion」(現LINE Sales Promotion)の新メニューとして提供された「LINE SP Research」や、「LINE Ads Platform」のインフィード広告を通じて法人向けLINEアカウントの「友だち」追加を促進できる新メニュー「LINE Ads Platform CPF」、ユーザーがその場で抽選に参加できる「LINEインスタントウィン」、大規模なキャンペーン応募を通じたブランドの認知や理解促進を目的としたオープン型キャンペーンの「クリスマス福袋」などが紹介されました。

そして2018年は企業向けLINEアカウントの統合とアップデートとして「LINE公式アカウント」の新プランの提供開始により締めくくられています。

これらの新たなメニュー提供やアップデートの背景には、*「時代の変化と合わせてデザインを変えること」「これまでの価値を新たな価値に変える」という2つの狙いがあり、それらを一言で表現する「ReDesign(リデザイン)」*というテーマが2019年の方向性にあると語りました。

新生「LINE公式アカウント」は何がどう変わったのか

それまでに提供していた企業向けアカウントソリューションを全て「LINE公式アカウント」に統一したアップデートの背景について、池端氏は
「抜本的に作り直し、機能開発や商品提供のスピードを加速させ、アカウントを統一することが狙いである」
と語ります。

「我々がリデザインで実現したいこと、それはなにか。それは価値のリデザインです。世界観や使い方だけでなく、バックエンドやアーキテクチャから抜本的に作り直していきます。我々が急速にアカウントビジネスで成長していく中で、増築を重ねるようにして増えていったLINEの様々なアカウントを1つに統一していきます。それによって、今後の機能開発や新たな商品提供をよりスピーディーに行いチャレンジしていきたいという思いです。そうしてリニューアルされた新しいアカウントブランド名を改めてLINE公式アカウントとさせていただきました。」

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これまでのアカウント開設数を振り返り、2018年度にはLINE@の認証済みアカウントも含めて37万アカウントを突破したこと、LINE公式アカウントについても2018年には600アカウント(旧LINEアカウントを含む)を突破したことを紹介しました。

アカウントの統一はリデザインが目的。柔軟な運用が可能に。

アカウントを統一した意図について、料金プランやスペックの統一が目的ではなく、新たな利用方法や利用シーンに対応するためのリデザイン、利用価値の刷新が目的であると語る池端氏。

「皆様の印象にも非常に強いとは思いますが、これまでと比較して導入コストが大幅に下がります。利用企業やLINEユーザーにとってこれまでにはない多くの選択肢が提供できると考えております。従来では価格面からなかなか導入できない、複数のアカウントを持つことができないというブランド様も多くいらっしゃいました。しかし、リデザイン後は企業がブランドごとにアカウントを開設しやすくなってまいります。そして、LINEユーザーは自分の趣味嗜好と合致したアカウントと友だちになっていく傾向からみても、アカウントごとの運用はよりシンプルになっていくと考えています。」

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ユーザーの趣味嗜好に合わせた運用だけでなく、問い合わせ専用アカウントなどユーザーのニーズに合わせたアカウントも並行して運用可能であることを示し、リニューアル後のLINE公式アカウントの柔軟性を強調しました。

ブランドごとに異なるコンセプトやターゲット層、ニーズ、利用シーンに合わせた運用が可能であること、価格プランの改定により導入コストが下がり、季節需要などに合わせたフレキシブルな運用が可能となったことを挙げ、「LINE公式アカウント」導入後に複数ブランドでアカウントを開設した企業の事例を紹介しました。

この事例については「花王・サッポロビールが考える、LINE公式アカウントの「リデザイン」と今後の活用展望」というセッションでも詳細に語られていました。
後日、記事として公開します。

リニューアルにより配信面とプラットフォームを強化するLINE Ads Platform

続いて、池端氏はLINE Ads Platform(LAP)(LINEのタイムラインやLINE NEWS、LINEマンガなど各種サービスへと広告配信が可能な運用型広告配信プラットフォーム)のリニューアルについても、2018年の動向を振り返りながら今後の展開について言及しました。

2018年にLINEは配信プラットフォームを自社開発の配信プロダクトへと切り替えました。
配信プラットフォームの切り替えとリニューアルの意図について、池端氏は、LINE内にある様々なデータをより価値のあるかたちで保有し活用していくためであると語り、新たな掲載や新規のプロダクトの開発をよりスピーディーに進めていくためのリデザインであると説明しています。

そして自社開発のプラットフォームに切り替えたことにより、2018年11月に「LINE Dynamic Ads」の提供が可能となったことを紹介しました。
「LINE Dynamic Ads」は特定業種を対象とした新メニューのが提供開始され、それぞれのユーザーが興味のある製品をタイムライン上にカルーセル形式で掲載できるようになりました。

「LINE Dynamic Ads」の展開により、CTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)が大幅に改善したことを明らかにし、全体で見た時にその実績はそれぞれWebサイトのコンバージョンと比較してCTRは730%、CVRは450%という高い数値が出たことを明らかにし、LINE Dynamic Adsを今後も拡大展開していくと発言しました。

ユーザー・小売・メーカーをつなぐLINE Sales Promotion

LINE Sales Promotionは以前より提供されている店頭販促・認知拡大などを目的としたソリューションです。これについて池端氏は、2019年はよりいっそうオフラインへの拡大を進めると発表しました。

2018年はサービスラインナップを拡充し、準備を進めてきたと語った池端氏。
商品トライアル施策の「LINE サンプリング」、その場で抽選に参加できる「LINEインスタントウィン」、いわゆる”集めて応募キャンペーン”をオンライン上で可能にした「LINEマイレージ」、大規模な認知拡大キャンペーン施策が可能なオープン型キャンペーンの第一弾企画として「LINEクリスマス福袋」を実施したことを紹介しました。

LINEの中に店頭販促や認知拡大のためのソリューションをもつことにより、LINEユーザーに体験やコンテンツとして商品に触れてもらう仕組みを2018年は整えてきたと池端氏は語りました。

大規模拡散を特長とする「LINEオープンキャンペーン」の提供を開始、シーズン企画の第一弾として「クリスマス福袋」キャンペーンを実施

2019年にLINEが展開する「データプラットフォーム構想」について

「LINEは多くの新しいプロダクトを提供してまいりました。これまでの単なるメッセージングアプリ・メッセージ機能というイメージから総合マーケティングプラットフォームへと少しずつ変わっていこうとしています。認知から獲得、その先のエンゲージメント構築まで続いていく多種多様な課題やニーズをLINEひとつで解決できる、フルファネルマーケティングプラットフォームを目指しております。これまでに提供してきたプロダクトはどうしても単発に存在しているような状況でしたが、これを我々は1つにつなげようとしています。」

上記のように語った池端氏は、以下のステップに沿ってそれぞれのプロダクトを強化していくと発表しました。

・LINE Ads Platformの強化により広告配信規模を拡大し認知獲得を推進する。
・獲得した認知をLINE Sales Promotionのオフライン体験施策により強化する。
・LINE Accont Connectによりユーザーと企業の1on1の関係を構築する。

そして、新たに提供が開始されている取り組みについて紹介しました。

認知拡大:LINE Ads Platform 配信面の強化

まず、現在は天気予報やニュースなどのコンテンツが表示されているトーク面上部の「スマートチャネル」領域について、今後は広告枠を拡大し、2019年夏頃には7900万人のユーザーに対しスマートチャネル面を活用した広告配信を展開していく予定であると発言しました。

そしてアドネットワーク事業をローンチし、セルフサーブ機能(個人ユーザーであっても広告を運用することができる機能)を展開していくことを明らかにしています。

体験:LINE Sales Promotionのオフラインへの拡大

さらに、2019年に入り「LINEチェックイン」をリリースし、第一弾の企画をローソンにて実施したことを紹介しました。

この企画では、店舗内のLINE Beacon(ビーコン:Bluetoothを利用して位置を特定する技術や端末のこと)の信号をキャッチし、来店したユーザーにLINEインスタントウィンを通じてインセンティブを与えるキャンペーンを実施しました。

当日、イベント会場内にもLINE Beaconが設置され、参加者がLINEチェックインを体感できるイベントスペースが開設されていました。

LINE Sales Promotionのオフラインへの拡大については、「LINEが実現した店頭販促のデジタル化と、次の展開」というセッションにて株式会社ローソンの事例を用いて詳細に語られていました。
後日、記事化いたします。

エンゲージメント構築:LINE公式アカウントのリデザイン

池端氏はLINE公式アカウントのリデザインによりアカウント開設や運用がより容易かつ柔軟に可能になったことに再度言及し、さらに今後は簡単で精緻なターゲティング配信が可能になるという展望を示しています。

メッセージスキームが強化されたことにより、ユーザーの趣味嗜好やニーズに合わせた適切なメッセージやコミュニケーションが配信できるようになるだけでなく、ダッシュボードでデータが見える化されることにより、詳細かつ複合的な分析が可能になることを明らかにしました。

分析をもとにターゲティングやコンテンツの見直しを重ね、PDCAサイクルを回しやすくなる仕組みを提供していくと語りました。

LINE公式アカウントのリデザインにより、企業がユーザーを知るためのデータが集まりやすくなり、さらに個々のユーザーに合わせたコミュニケーションがとれるようになっていくと改めて強調しています。

オンライン / オフライン / 決済データをかけあわせたフルファネルマーケティングを実現するデータプラットフォーム構想

最後に、LINE全体の今後の展望として「データプラットフォーム構想」が発表されました。

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広告などのビジネスソリューションだけでなく、LINE Payなどのファミリーサービスからも取得している様々なデータを集約し、さらに外部サービスから取得可能なデータを連携させて、ユーザーのデータをよりいっそう活用していくための取り組みを行っていくとのことです。

「データプラットフォーム構想」については、当日の最終セッションにてLINE株式会社代表取締役CEO出澤氏によるセッションにてより詳細に言及しています。
後日記事化いたします。

まとめ:リデザインされたLINEのソリューション、活用事例は?

LINEの2018年の取組から2019年のチャレンジへと、「リデザイン」というテーマで語られた基調講演でした。

活用事例や新プロダクトの展望については、それぞれのセッションで詳細に語られていました。

記事を公開次第、この記事にてリンクをまとめていきます。
お楽しみにお待ち下さい。