判断するためのチェックポイント8つの視点

メリット・デメリットを理解したら、次は判断するためのチェックポイントを確認します。自社がどういう状況にあるか、リスティング広告に対してどのように考えるのか、という点を8つの視点で明らかにしていきましょう。

1:自社のビジネスにとって「コア」か「ノンコア」か?

最初の視点は、リスティング広告が自社のビジネスにとって「コア」なのか、そうでない「ノンコア」なのかです。もし「コア」であれば、リスティング広告の成果が自社の業績を大きく左右する要素になるということですので、代理店に任せると自社の業績が代理店次第というリスクの高い状況になってしまうので自社運用にしていくべきです。

例えば、ネット専業のECサイトのようにWebが主戦場で売上の大半を広告、特にリスティング広告に依存する場合には明らかに「コア」です。逆に、売上の大半をテレアポや飛び込み営業で稼いでいるBtoB企業があれば「ノンコア」になります。

2:意欲のある社内担当をつけられてノウハウを蓄積できるか?(辞めないか?)

自社運用する場合には、適性があり意欲のある担当者がいるかどうかは重要な判断の視点になります。リスティング広告は運用型広告とも呼ばれており、「やりながら改善していく」という性質があります。粘り強く調整を続けていくことで成果が上がっていくという傾向にあるので、担当者が数字を見て改善を続けられる適性があり、意欲がないと成果に大きな差がでてしまいます。

また、経験からしか身につけられない暗黙知となるノウハウも多いため、どんなにマニュアル化しても引き継ぐとまたゼロから暗黙知を蓄積する必要があります。担当者がやめてしまうとダメージが大きくなりますので、すぐに辞めない担当者を配置できるかどうかも考慮すべきです。

3:すでに社内に経験者・ノウハウを持った人材はいるか?

リスティング広告はここ1~2年だけでも新しい機能が次々と実装され大きく変化しています。しかし、その本質は大きく変化しないため、過去リスティング広告の運用を1年程度経験した人材であれば、比較的スムーズに対応することができます。

もし、社内に経験者がいて、その人材をリスティング自社運用の担当として配置できるのであれば自社運用のデメリットはかなり軽減できます。
逆に、経験者やノウハウを持った人材が居ない段階でリスティング広告を実施する場合には、研修を受けたり、ネット上の情報や書籍などで一定レベルの知識をつけておかないとほぼ失敗する結果になりがちです。

4:最初から月額10万円以上は出せないと考えるか?

代理店の収益構造上、20%の手数料の場合、月額10万円で2万円の手数料です。人件費を仮に1時間あたり4000円で換算しても、5時間以上対応すると赤字になってしまうという計算です。
もちろん、今後、成果が上がれば予算が上がっていくという見込があれば、単月では赤字でも1年、2年という長い期間で考えれば利益がでるので先行投資として頑張ってくれる代理店もあります。

しかし、それを踏まえても最低限の成果を出すことを考えると月額10万円がギリギリのラインだと考えられます。固定費を設定してあれば予算を問わないケースもありますが、仮に5万円の予算で3万円の固定費になると広告投資に回るのが2万円のみとなり、固定費もまかなう形で成果を出すのは非常に難しくなります。

また、格安をうたい小額を受け付けることで、取引社数を増やして儲けを出すために放置に近い状態になってしまっている代理店も残念ながらあるようです。
したがって、数千円~数万円の範囲でリスティング広告を実施したい場合に代理店に任せるという選択肢は避けた方が無難です。

5:効果がよければ月間数百万円以上の予算を投資する意志はあるか?

仮に月間500万円をリスティング広告に投資する場合、20%の約100万円が代理店の手数料になります。
100万円であれば時給2000円のアルバイトをフルで3人雇ってもお釣りが来る計算です。

それくらいの金額をリスティング広告に投資する意志があるのであれば、先を見通して、ノウハウを自社に貯め、浮いた分のコストを広告費に投資するという判断もあらかじめ考えておくべきです。

6:すでに実施済みで、アカウントが安定期に入っているか?

もし、現在代理店にまかせている場合でも、アカウントが安定期に入っていれば自社運用に切り替えを考えてみても良いかもしれません。目安としては1年くらい施策を色々試しても効果が大きく変わらない場合には安定期に入っている可能性があります。

安定期に入っていて、かつこれ以上の成果を望まない場合には、それほど大きな負担はかからないため自社運用に切り替えて、片手間で対応するという選択肢は有力になってきます。
ただし、代理店によっては、アカウントの中身を自社に移管させないケースや別途費用を請求するケースもありますので事前に確認が必要です。

7:ホームページの運用はすでに内製しているか?

ホームページの運用を外注している場合には、リスティング広告を自社で運用するより先にそちらを内製した方が良いかもしれません。
なぜなら、リスティング広告の効果は飛び先となるホームページに大きく依存するからです。

また、ホームページはリスティング以外の自然検索やメールやソーシャルなどの流入の受け皿になっているので、リスティング広告よりもホームページの方が内製の重要度が高いケースが多いためです。

8:信頼できそうな代理店・担当者と出会えない。

自社運用をして外注したい、と思っていたとしても、信頼できる・信頼できそうな代理店、担当者に出会えない場合には、代理店に任せることは、なるべくやめた方が良いです。
信頼できない代理店に任せても、成果が出ないどころか、広告費を無駄にする可能性が高いです。

自社運用する気はないが、信頼できそうな代理店に出会えない場合は、出会えるまでリスティング広告を実施しないこともひとつの手です。