視聴機会と放送収入の拡大に向けて

ferret:視聴機会の創出と拡大についてはどのような施策がなされたのでしょうか?

竹内氏:視聴機会については、日本協会の主催試合を(男女、15人制、7人制を問わず)いずれかのデバイスを利用すれば、ライブ視聴できる環境整備に重点を置いています。その中でも、従来の地上波放送と昨今主流になってきたデジタル配信の施策を両輪として推進してきました。

地上波は、先ずは最もコンテンツ力のある日本代表戦が、ラグビーワールドカップ2015のサモア戦で高視聴率が取れた(19.3%・関東地区)ことにより、翌年の「リポビタンDチャレンジカップ2016 日本代表 対 スコットランド戦」を、日本テレビが全国ネットのゴールデンタイムで放送枠を確保してくれました。それまで日本代表戦がGP帯(ゴールデン/プライム)の全国ネットで生中継されたことはありませんでしたので、日本ラグビーの歴史にとって画期的だったと思います。但し残念ながら視聴率がふるわず、その後ゴールデンタイムでの放送は、今回のラグビーワールドカップ2019の壮行試合となった9/6(金)の南アフリカ戦までありませんでした。

今後もラグビーワールドカップ2019でのホスト局である日本テレビを起点に、NHKや衛星放送のJ SPORTSを含め、日本代表戦を中心にサンウルブズやトップリーグ等も継続的に視聴してもらえるよう、各放送局との関係構築にも力を入れていきます。

一方でデジタル配信に関しては、2016年からジャパンラグビートップリーグ(社会人ラグビーの全国リーグ)での中継をDAZN(ダゾーン)と締結。ホストブロードキャスターであるJ SPORTSと連携し、トップリーグ全試合をライブ/オンデマンド配信にて視聴可能にしました。また、例年年末年始に行われる冬の高校スポーツの風物詩「全国高校ラグビー大会(通称:花園大会)」を、ホスト局である毎日放送との協業にて大会全50試合を無料配信できるプラットフォーム花園ライブ」をつくりました。

現在の国内ラグビーの競技者数で最大のボリュームゾーンは高校生です。ラグビーで高みを目指す人にとって、高校の全国大会、特に全国高等学校ラグビーフットボール大会は、重要な通過点でもあり、同時に大きな目標設定にもなります。普及育成カテゴリー(小中高)の最高峰となるこの大会を、野球の全国高等学校野球選手権大会と同じように、如何にブランディングし価値のあるものにするかに重点を置いています。

2001年までは全国高等学校ラグビーフットボール大会は、東京キー局のTBS含めた全国の系列ネットワーク局を中心に全国ネット放送でした。1回戦から3回戦まではハイライトを含めて深夜に放送し、準々決勝以降は生放送で編成。ところが時代の流れと共に番組スポンサーが変わると、放送枠が減り、今では決勝戦しか全国ネットで放送されておりません。地方大会の予選決勝は、系列の各地方局が中継をして頂いているものの、放送が無いエリアもあったり、全国大会のハイライトもエリアによってバラつきある歯抜け状態で、高校ラグビーの放送環境は極めて危うい状態だったんです。

そして高校ラグビーの課題のひとつがエリア格差です。部員数が100人超える都市部の強豪校に集中する一方、部員数確保に走る地方の学校は沢山あります。このエリア格差の是正なくして、高校ラグビーの発展はない。その為にも個々のライフスタイルやメディア環境の変化に則した視聴スタイルの創出が重要で、誰でも手軽に視聴出来る環境をつくることによって、決してラグビーが盛んでないエリアでも関係者が応援してもらえるよう環境を整えてきました。

ただこれは完成形でなく、各地方大会の予選決勝や各種全国大会など、あらゆる高校ラグビー情報を包含し発信出来るプラットフォームを目指して協議中です。

ferret:近い将来、高校生の大会を網羅したプラットフォームになるのですね。

竹内氏:そうですね。但しネット配信の環境を整える一方で、地上波での放送枠の維持拡大には拘っています。ご存知の通り、都心部と地方とではメディアの接し方が違います。都心部はSNSを含めたネットに対するリテラシーが高い人が多いのですが、地方はいわゆるオールドメディアの地上波や新聞を軸に情報流通しますので、ローカルメディアを上手く活用し、そのエリアの放送が絶えないように高体連や地方局との連携は必要です。先ほども言ったように高校生の大会はあくまでも通過点なので、この世代を充実させないと、日本ラグビー全体の底上げに繋がらないので最善を尽くしています。