テクノロジーの進化にともない、今注目を集めているのが「デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation、DX)」です。

デジタルトランスフォーメーションは、経済産業省からレポートやガイドラインが発表されており国家的にも注目されています。これにより、日本でも新しいサービスやビジネスモデルによって大きな変化がもたされていると言っても過言ではありません。

そこで今回は、この* * デジタルトランスフォーメーション* * の概要や* * メリット・実際の企業で行われた事例* * を紹介していきます。

デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation、DX)とは

デジタルトランスフォーメーションとは、データやデジタル技術によってビジネスに変革をもたらす考え方です。

近年では日本でも推進されており、経済産業省が発表したデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインには以下のように記載されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」  

引用:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン|経済産業省

つまり、データやデジタルを活用して今までになかったサービスやビジネスモデルを生み出し、それにかかるコストの削減を実現する考え方と言えるでしょう。

それによって業務そのものが見直され働き方改革にもつなげていき、社会全体を変えていく、という目的もあります。つまり、デジタルトランスフォーメーションは各企業はもちろん社会全体を大きく変革させる革新的なイノベーションなのです。

このデジタルトランスフォーメーションの過程には「デジタイゼーション」や「デジタライゼーション」があります。

「デジタイゼーション」は、ある作業工程の効率化のためにツールを導入するといったようなことです。一方の*「デジタライゼーション」は、自社の内外環境やビジネス戦略面のプロセス全体をデジタル化*していくようなもの。

この二つによって企業が変わり、より幅広い視点である社会全体をより良くするものがデジタルトランスフォーメーションなのです。

デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation、DX)導入の5ステップ

デジタルトランスフォーメーションを導入しているDentsuでは、5つのステップ(https://medium.com/dentsuisobar/5steps-9db737ba760b )を必要としています。この5つのステップは、デジタル化からスタートし組織としてのデータ活用へと進めていくもので、一つひとつが非常に重要です。

1.デジタル化

このデジタル化はデジタルテクノロジーの導入部分で アプリやクラウドなどの利用によりデータをどんどん蓄積させていく段階です。現在では、企業における様々な業務に対してツールを導入したり、サービスを利用したりしています。

例えば、勤怠管理ツールや、経費管理ツールといったものは代表的なものでしょう。

2.効率化

効率化の段階になると、デジタル化で蓄積していったデータを部門ごとに使用します。日本ではほとんどの企業が今この段階にあり、各企業では日々施策の実施にデータを活用しています。

また、無理や無駄を省いた効率的な業務が可能になり、自社社員の生産性向上も期待できる段階です。

3.共通化

共通化は同じ部門はもちろん、自社全体でデータを活用するための基盤構築をしていきます。仮説を立て施策を実施しデータで検証するといったサイクルを回し、蓄積されたデータをさらに有効に部門間で活用していくのです。

4.組織化

組織化はここまで構築してきた基盤を活用して、効率的な運用を実現する組織作りをする段階です。組織をしっかり固め、業務フローを明確にすることを目的にしています。

また、専門組織が設立されることも珍しくなく、そこでは積極的なデータの活用とそのデータに基づいた仮説を作っていきます。

5.最適化

デジタルトランスフォーメーション最終段階で、実際に授業のイノベーションを起こすような施策の実施が主になってきます。蓄積されたデータから、より精度の高い事業計画を立案することも可能です。

いち早くデジタルトランスフォーメーションを取り入れた先進的な企業でも、まだこの段階に到達しているところはあまりありません。 デジタルトランスフォーメーションを導入したい多くの企業が、これを目指していると言っても過言ではないでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation、DX)事例

ここからは、実際の企業のデジタルトランスフォーメーションの事例を紹介します。
紹介するのは以下の4つの企業です。

  • 三井住友銀行
  • 三菱電機
  • バッジェリー・ミシュカ
  • 三越伊勢丹ホールディングス

1.三井住友銀行

三井住友銀行では、年間35,000件を上回るお客様の声を分析・見える化しています。従来では、このお客様の声をまとめ上げるだけで多くの人件費と時間がかかっていました。

そこでテキスト含意認識技術を導入し、人の力で行うよりも効率的に高度な分析が可能になったのです。それだけではなく、今まで気づかなかった新たな知見を獲得することにもつながっています。

2.三菱電機

三菱電機ではIoTをレーザー加工機に活用。これによって、加工予測時間や障害の予測がより正確になり迅速な顧客サービスにもつながっています。

三菱電機サービスセンターとレーザー加工機の稼働工場・データセンターがそれぞれ連携をとっており効率的かつ正確なリモート機能を実現しています。

3.バッジェリー・ミシュカ

バッジェリー・ミシュカはニューヨークの高級ファッションブランドで 、ランウェイのモバイルアプリを発表したことが話題になりました。このモバイルアプリによって、ショーに出ているモデルに対してのリアルタイムな反応を可能にしています。

ファッション業界は、発表から小売までの期間が長くトレンドの予測が難しい業界で、ショーを見られるのも一部の限られた人だけでした。しかし、アプリによって実際に商品を購入する消費者のフィードバックを得ることができるようになったのです。

そのデータを活かして、生地の発注やデザイン展開にも活かすことが可能になり、より精度の高い販売促進を行うこともできるようになりました。

4.三越伊勢丹ホールディングス

三菱伊勢丹ホールディングスは、大手百貨店にITを活用するという成長戦略を実施しています。実店舗に加えECサイトにも豊富な品揃えやパーソナルスタイリングサービスを実現しており、オンラインとオフラインの融合を見事に果たした事例と言えるでしょう。

ECサイトにおける在庫情報や取引先の情報連携も徹底しており、蓄積したデータをより有効に活用するような動きも出ています。

デジタルトランスフォーメーションの課題

ここまでデジタルトランスフォーメーションの非常に有効な点を説明してきましたが、導入には課題もあります。デジタルトランスフォーメーションを導入するにあたって、現場で懸念されている課題は以下の3つです。

  • 既存システムとの連携
  • スムーズな情報共有
  • 変革疲れ

デジタルトランスフォーメーションの導入と同時に、これらの課題を認識しておくことで目標や注意点が明確になるでしょう。

1.既存システムとの連携

すでに社内で導入しているシステムが複雑なため、デジタルトランスフォーメーションの導入が進まないというケースもあります。特に、部署や部門単位での修正やアップデートが行われいる場合は、全体でのデータの一括管理がうまくいかないことも。

このように、システム面での社内全体の連携がうまくいかないため、デジタルトランスフォーメーションが進まなくなってしまうのは課題の一つでしょう。

2.スムーズな情報共有

システム面の連携がうまくいかないことに関係して、IT 担当者や現場での反発や混乱を招くこともあります。これは、システムの管理が部署やその担当者に付随していることから起こるのです。
また、現場や担当者がデジタルトランスフォーメーションの必要性や既存システムの問題点を明確にしたとしても、経営陣との意識に差がある場合も。

経営陣との間に意識の温度差があれば、当然デジタルトランスフォーメーション化は進めることができません。部署・現場・経営陣の情報共有や、認識のすり合わせは不可欠と言えるでしょう。

3.変革疲れ

いわゆる変革疲れにも注意が必要です。変革疲れとは、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする変革を計画する企業が途中で挫折してしまうことです。やはり、1から新しい仕組みを作っていくことは非常に大変なもの。

実際に海外の企業でも変革疲れは起きており、今後日本企業がデジタルトランスフォーメーションを推進していくにも大きな課題となるでしょう。変革疲れを防止するには、変革の目的や課題を認識してデータを十分に活用する方法を身に付ける必要があります。

デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation、DX)の導入検討を

このように、デジタルトランスフォーメーションの導入は一筋縄ではいきません。しかしその一方で組織を強力にし、より効率的な経営にもつながっていきます。

実施した企業の事例から見ても、デジタルトランスフォーメーションの効果は絶大と言えますよね。まずはデジタルトランスフォーメーションの導入をイメージしてみてはいかがでしょうか。

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