クラウドサービスの一つである「PaaS」を活用することで、自社サービスを簡単に構築することが可能です。しかし、「PaaSはサービスの開発コストがかからないというけれど、どういう仕組みが働いているの?」と思っている方も多いでしょう。

PaaSを活用することで、アプリケーションなどのサービスを簡単に作ることができます。クラウドに関わるインフラを一から構築する必要はないので、うまく活用すれば非常に便利なサービスです。

そこで、クラウドサービスの一つ「PaaS」についてを詳しく説明します。

クラウドとは

PaaSを理解する前に、クラウドについての理解を深めておく必要があります。クラウドとは、ネット上にある膨大なシステムの中から、必要な分だけを自由に取り出せるサービスです。

Appleの「iCloud」やGoogleの「Googleドライブ」がクラウドサービスにあたります。これれらのクラウドは、利用者がAppleやGoogleが提供するクラウドサービスに写真や動画を自由に保存することが可能です。

これらを取り出す際には、預金口座のように「取り出したい分だけ」をインターネット上から引き出すことができます。これがクラウドサービスの仕組みです。

PaaSとは

PaaSとは、*「Platform as a Service」の略で「パース」と呼びます。*PaaSはクラウドの中の一つで、アプリケーションの開発をネットワーク上のみで完結できるサービスです。

本来、アプリケーションを開発するためには、ネットワークやサーバーを連携し、設計するためのインフラを構築しなければなりません。そうなると、アプリケーションを開発するエンジニアだけでなく、インフラを構築するエンジニアも必要です。

しかし、PaaSはインフラがすでに整っているので、エンジニアはアプリケーションの開発のみに注力できます。PaaSはエンジニアにとって、開発にだけ集中できる環境を与えてくれるツールなのです。

PaaSのメリット

「PaaSにはどんなメリットがあるの」と思っている方は、PaaSのメリットを知った上で活用することを考えましょう。

開発作業をすぐに始められる

1つ目のメリットは、開発作業をすぐに始められるということです。前述した通り、PaaSはすでにインフラが構築されており、エンジニアがすぐにアプリケーションを開発できる環境が整っています。

PaaSを利用すれば、インフラエンジニアが本来行わなければならない工程を飛ばすことができるので、開発作業をすぐに始められるというメリットがあります。

コストを削減できる

2つ目のメリットは、コストを削減できるということです。本来、アプリケーションの開発にはインフラを構築する必要があると説明しました。

PaaSはすでにインフラがクラウド上に構築されているので、サーバーやOS、インフラを構築するためのハードは必要ありません。ですので、PaaSを利用すれば、アプリケーション開発のコストを抑えられるのです。

PaaSのデメリット

PaaSのメリットだけではなく、利用する前に知っておいてほしいデメリットがあります。

自由度が少ない

1つ目のデメリットは、自由度が少ないということです。PaaSはクラウド上で、すでにインフラが構築されているので、アプリケーションを開発する際に、使用したいプログラミング言語が使用できない場合があります。

また、ミドルウェアの使用を制限される可能性も否めません。構築されたインフラを利用しているので、CPUやストレージも自由に選ぶことができません。一部不便な箇所も出てきます。

開発したい言語やCPU、ストレージを利用できない場合があります。

システムのセキュリティに気をつける

2つ目のデメリットは、システムのセキュリティに気をつけるということです。PaaSを提供している事業者とそのセキュリティが脆弱です。

PaaSはあくまでもクラウドを提供している事業者から利用させてもらっているという立場になるので、セキュリティ面はクラウドを提供している事業者側にあります。

それは、PaaSの事業者側でウイルスが入り込み、システムが乗っ取られてしまった場合は、全ての権限を失ってしまうということです。クラウドを利用している企業のアプリケーションの権利も、システムを乗っ取ったハッカーのものになってしまいます。

しかしながら、最近ではセキュリティを高める事業者も多くなりつつあります。事業者側もセキュリティが脆弱であることは解決すべき問題なので、今後はより一層、システムの強化を図る動きが見られるでしょう。