自社のWebサイト運営において、

  • サイトへの流入はあるものの購入につながっていない
  • 改善方法が分からない

といった悩みを持った企業のWeb運営担当者の方も多いのではないのでしょうか。

そんな方には是非「アイトラッキング」を活用したWebサイト分析が有効です。

アイトラッキングを導入すれば、Webサイトを閲覧したユーザーの視点がどこにあるのか、Webデザインのユーザビリティを高めるのにはどうすればいいのかなどを分析することができます。

この記事では、アイトラッキングの概要と、活用方法や実際に活用した場合の実例を解説します。

アイトラッキングとは

アイトラッキングとは視線計測という意味で、人の視線を認知・追跡し、その結果を教えてくれる技術です。

この技術は教育機関・民間企業などで幅広く使われており、Webマーケティングにおいても、有効な手段の一つとされています。

ユーザーがWebサイトページを「どこを、どのくらいの時間見たのか」などを具体的にデータ化し、ユーザーが見ているページの場所や注視時間を視覚的に表示することができます。

アイトラッキングによって視覚的に表示される分析結果の代表例として挙げられるが、ヒートマップとゲイズプロットです。この2つの表示についてを解説していきます。

ヒートマップとは

ヒートマップとは、ページの視線がある部分である「注視点」を色分けして可視化することです。

注視点は、100~500ミリ秒(10分の1秒から0.5秒)間に見られている場所で、注視点が集中すればするほど色が赤くなります。

反対に、注視されていないほど、緑色から青色で表示されるので、色の違いでサイトの解析ができるツールです。

ヒートマップでわかることは、

  • 読んでほしいところが読まれていなかったこと
  • 想定外によく読まれているところ

上記の2つです。これによりWebサイトのどこに問題があったかが一目でわかるので、改善の糸口になります。

ゲイズプロットとは

ゲイズプロットは、ユーザーのページ内での視線がどのようにどのように移動したか、またその順番や頻度が分かります。視線の集まる度合いによって、各ポイントの大きさが分かることが特徴です。

ゲイズプロットではユーザーの閲覧する順番がわかるので、コンテンツの因果関係を掴むことができます。

例えば、

テキストを読んでから商品を購入したのか
・目立った見出しや画像を見てから商品を購入したか

などが把握できれば、ヒートマップだけでは分からなかった改善の方向性が見えてきます。これがゲイズプロットの大きな強みです。

アイトラッキングでわかること

アイトラッキングでは、ユーザーがWebサイトページを最初に見た場所から順番に、見ている場所がわかります。

さらに、ページの「どの部分」に関心があるのか、「どれくらいの時間」見ていたのかという事を把握することも可能です。

結果、Webデザインに問題がないかどうかを確かめたりすることができるので、サイトのユーザビリティの向上に役立ち、コンバーション率の改善に繋がります。

アイトラッキングでわからないこと

ユーザーがページのどこの部分を、どれだけの時間見ているのかを把握できるアイトラッキングですが、分からない部分もあります。

たとえば、あるページテキストを長く見ているということがアイトラッキングでわかったとしても、「それが興味があって長く見ているのか」それとも「理解に時間がかかっているだけなのか」といったユーザーの心情までは読み取ることはできません。

その点はあくまでも推測し、PDCAを回す必要があります。長く見ている、ということは「ユーザーが気になっている部分」ですので、視覚的なユーザビリティを高めるなど、できる限りの対策を施しましょう。

アイトラッキングを使ったサイト改善例

オランダの航空会社「KLM」では、オンライン予約サイトにアイトラッキング技術を活用し、改善を重ねていました。結果、新しいオンライン予約サイトのコンバーション率を30%増加させることに成功しています。

参考:
KLM Valsplat

このように、実際にサイトを改善させた企業もあるほど、アイトラッキングは世界的に有効な手段と言えるのです。

ここで、アイトラッキングの技術を活用して、分析した結果をもとにしたサイトの改善例を見てみましょう。

よりユーザーが読みやすい効果的なWebサイトを作っていく上で、重要なポイントをいくつかご紹介していきます。

伝えたいことを上部に記載する

アイトラッキングを用いた調査で明らかになっているのは、Webサイトページ上部に視点が集まっているという事です。

上部が目立っていれば目立っているほど、ユーザーに読んでもらえる確率が上がります。

上部に伝えたい事を記載すると、ユーザーが「この記事は自分が求めている内容が詰め込まれているんだ!」と自分にとって有益なサイトなのかを判断できるのです。

リンク付近に購入・利用を促す文言を

Webサイト運営の目的は、より多くのユーザーに読んでもらい、最終的には自社の商品やサービスを購入・利用してもらう事にあります。

ページには必ずリンクがつけられていると思いますが、その付近の文言が重要だという事をアイトラッキングによって実証されているのです。

リンクの周辺、またはその付近に魅力的な文言や、思わずクリックしたくなる文章を配置することでユーザーの目にとまり、リンクのクリックおよびコンバージョン率が向上するのです。

適度な改行をする

文字が詰め詰めのテキストよりも、ある程度の余白を持つレイアウトのほうが、スムーズに注視を促している事がアイトラッキングの活用により立証しています。

ですので、テキストに余白を持たせて見やすくするためには、3文に一行程度は改行する意識を持って文章を作り上げていく事が大切です。

見出し・箇条書き・リストを活用する

Webサイトでは、情報を塊で分けた方がユーザーは見やすいとされており、見出しや箇条書き、リストを作成することでより注視されるようになります。

ですので、ある程度の量の情報は塊にした方が良いということが、アイトラッキングで実証されているのです。

まとめ

この記事では、Webサイトを改善するための手法としてアイトラッキングについて解説しました。

今まで自社のWebサイトについて悩まれていた方も一度アイトラッキングを導入し、問題点を導き出すことで、改善の糸口が見えてくるでしょう。