「ベトナムだからこそ」の訴求を重視

ferret:デジタルの施策についてお伺いさせてください。このときは具体的にどういったことを行ったのでしょうか?

森谷氏:これまでのようにテレビCMをエディットしてデジタルの施策に流用するのではなく、地域性や世代、性別ごとに訴求できるよう、複数のデジタル用の動画素材を作りました

以前からデジタル用の素材を作る必要性を感じていましたが、予算面から、追加でコストをかけて素材を作ることが難しい状況でした。そんな中、サイバーエージェントさんはこの課題をクリアするような提案をしてくださり「ぜひ一緒にやりたいです」とお話をさせていただきました。

ferret:サイバーエージェントと取り組みを開始する当時の御社の課題は、「歯の健康を保つという訴求」と「デジタルマーケティング」の2つだったのですね。それをどのような戦略で解決したのでしょうか。

ferret_lotte_3.jpg株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部
営業マネージャー 小磯 里美
2016年サイバーエージェントに入社。動画広告に特化したインターネット広告代理事業を行う子会社、CyberBullに出向し営業に従事。その後、営業マネージャーに就任。2019年より、サイバーエージェント インターネット広告事業本部にて、営業マネージャーに従事。ダイレクト・ブランドの領域問わず広告主企業の課題に応じたデジタルマーケティングの戦略立案から実行までを担当し、一気通貫したマーケティング支援を行う。

小磯氏:その点に関しては2つあります。1つ目は、デジタライズしたクリエイティブを複数パターン作成しました。例えばアテンションを複数パターン用意する、展開パターンも画角を変えるだけではなくて、大量に素材を撮って、それをカスタマイズして作るといった手法をとりました。

そして、2つ目は伝えるメッセージを見直しましたテレビCMは、幅広い世代の方に向けたものになるので、良くも悪くもそこまで尖れないことが多いです。本来伝えたいメッセージがありつつも、テレビCMが完成したら丸くなってしまって、伝えたいことがきちんと伝わっているのか……、となってしまいがちです。そこをデジタルで補完していくためにも、キシリトールブランドとして伝えていきたいメッセージを、その時々で尖らせて伝えていきました

作成した動画の中でも一番インパクトがあるのは「恐怖のホラー映画」篇です。こういった表現はテレビCMだと少し難しいと思いますので、デジタルだからこそできる表現なのかなと思っています

ferret:確かにキシリトールガムの広告で「恐怖のホラー映画」篇なんて少なくとも日本での放送は想像しづらいですね。

森谷氏:ご提案いただいたときは社内でもいろいろ討議しました。

しかし、ベトナムという市場で、お客さまに対して、キシリトールガムの機能的な価値をしっかりと伝えていくために何が最善なのか、デジタルだからこそできることを積極的にやっていこうと判断し、提案を採用させていただきました。

ferret:ベトナムのマーケティング戦略では尖りを重視したのですね。

森谷氏:そうですね。テレビCMではどの世代でもそれなりに受け入れられるような作りにしつつ、デジタルでは世代やエリアによってピンポイントに響く素材作りを心がけました。