Web集客の成功のために日々尽力している担当者にとって、ユーザーが自社のコンテンツにアクセスしない「ゼロクリックサーチ」はとても気になる現象の一つではないでしょうか。検索エンジンの進化によってユーザーの利用傾向も変化してきているのです。ユーザビリティなど様々な要素を熟慮して作り上げたホームページであっても、ユーザーに見られなければ意味がありません。このような状況下であっても、Webマーケターはユーザーと自社を結びつける施策を実行しなければいけないのです。クリックをしないユーザーに対して、どのような施策を打ち出すべきかお困りの方も多いでしょう。

そこで今回はゼロクリックサーチをテーマにしました。ゼロクリックサーチが私たちにどのような影響が及ぼすのか、そして、今後行うべき対策について解説します。

ゼロクリックサーチとは?

ゼロクリックサーチとは、ユーザーが検索を行った際、検索結果ページで知りたかった情報を把握し、表示されたコンテンツにアクセスをせずにページを離れてしまう現象です。「ゼロクリック検索」とも言います。また、*検索結果ページは、Search Engine Result PagesのSERPの頭文字をとってサープという略称で呼ばれています。*SERPから必要な情報を得られることは、ユーザーの利便性をより高めたGoogleの進化とも言えますが、ユーザーに響くコンテンツづくりに注力するWebマーケターの中には複雑に感じる人もいることでしょう。

2019年6月のクリックストリームデータにより、米国においてゼロクリックが50%を超えたことがわかりました。半数以上のターゲットユーザーコンテンツにアクセスせずに、検索のみストップしてしまうのは、受け入れがたい現実かもしれません。

参考:Now, more than 50% of Google searches end without a click to other content, study finds|Adzooma

さて、実際に検索をしてゼロクリックを確認してみましょう。たとえば、「札幌の天気」と検索してみます。

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▲札幌の天気を検索してSERPのみで検索目的を満たした例

SERPには、札幌の天気が表示されました。知りたかった天気に関する情報が掲載内容のみであれば、検索結果に表示のある「気象庁」のページにアクセスする必要はなくなるでしょう。これがゼロクリックサーチです。

違う例を見てみましょう。「札幌 スープカレー」という検索をしてみました。

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▲札幌のスープカレー店を検索してSERPのみで検索目的を満した例

今度は札幌の名物スープカレーです。いわゆるローカル検索に該当し、札幌のスープカレー店がリストアップされています。この検索結果において注目したいのは店舗名です。表示されているお店は、札幌のスープカレー店の中でも有名かつ人気の高いところであり、多くのユーザーが知りたかった情報かもしれません。人気のあるスープカレー店を探していたのであれば、SERPのみでユーザーは十分な情報が得られたということです。もちろんすべてのユーザーが「札幌 スープカレー」で、人気店を知りたかったとは限りませんが、ゼロクリックサーチが発生するのは自然な現象でしょう。

ゼロクリックサーチが及ぼす影響

さて、ゼロクリックサーチが増えると、Webマーケティングにおいてどのような影響があるのでしょうか。

コンテンツが見られない

*ユーザーがSERPのみで満足してしまった場合、コンテンツをアクセスせずに終えてしまうという現象が起こります。*たとえば、自転車を購入したいと検索してもローカルパックの醍醐味のもと、Googleは検索位置に近いところの店舗をリストアップします。外観写真とレビューがあるので、ユーザーは店舗に行って購入するために必要な情報を手に入れられたと感じるでしょう。

そのため、オーガニックサーチの上位を獲得するためのSEOに注力したとしてもユーザーにコンテンツを読んでもらえないという事態が起こります。*Googleアナリティクスを想定すると、セッション数やページビューが減少し、それに伴いコンバージョン数も減ってしまう可能性があるのです。*さらには、ソーシャルシェアなど、ユーザー同士の繋がりの中で伝播する機会を失ってしまう懸念もあります。

意識の高いユーザーがホームページに訪問する

前述の通り、コンテンツが見られないという現象が想定されるものの、そのような状況下でもコンテンツにアクセスするのは、SERPに表示された内容だけでは満足できないユーザーでしょう。SERPで検索動機を満たされたユーザーはサイトに訪問せず、モチベーションの高いユーザーばかりがアクセスすれば、セッションが減少してもコンバージョン率が高くなると期待できます。

参考:ゼロクリックサーチは脅威?WEB担当者として対応できることは?|dig

Googleが競合になる

ゼロクリックサーチが増えている背景には、SERPにおいて解決できることの増加があります。ホテルの検索から予約が可能であり、ホテルの価格帯や位置情報、そしてレビュー点数まで一目で把握できます。特定のホテル検索サイトにアクセスせずにホテルの宿泊料金を比較し、最も条件の良いプランの予約ページにアクセスできてしまうのです。ホテル検索サイトの立場で考えると、自社のページ内でユーザーを遷移させられないことがハードルになります。ユーザーにとって便利ではあるものの、Googleが競合に送客することもありえる存在となってしまうのです。

参考:2020年、Googleの垂直化とゼロクリック検索がローカル検索へと与える影響|SEO Japan

対応するための施策

ゼロクリックサーチの増加により、ユーザーがホームページにアクセスすることを前提に考えていた施策だけでは、集客を伸ばせないでしょう。以下はゼロクリックサーチの増加に対応するための施策です。

強調スニペットを意識する

ゼロクリックサーチが発生する原因の一つは強調スニペットにあります。*強調スニペットというのは、検索結果であるSERPの上部にユーザーのクエリに対する回答として表示されるものです。*目立ちやすく、ユーザーに認識される可能性が高いでしょう。

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▲強調スニペットの表示例

「Webマーケティング」と検索してみると、言葉の意味が強調スニペットとして表示されます。Webマーケティングがどのようなものなのか、少しだけ知りたい人であれば、ページにアクセスする必要はないでしょう。結果、ゼロクリックサーチの原因になってしまいますが、記事タイトルをクリックすることでページにアクセスできるようになっているのです。つまり、「Webマーケティング」について詳しく知りたい人を誘引する機会だと言えます。

このような仕様から、*自社のページが強調スニペットに選ばれれば、モチベーションの高いユーザーとの出会いにつながると期待できるのです。*自社のページを強調スペニットにする明確な方法はありませんが、ユーザーの検索意図に的確に回答しているページであれば、選ばれる可能性があるかもしれません。検索において最適になるように、データを構造化し、検索エンジンに重要視されるページを目指しましょう。

参考:2020年のSEOは「ゼロクリック検索」に注目!|名古屋のホームページ制作なら『レン太君』

リスティング広告を活用する

前述で例にした強調スニペットの表示よりも「Google広告」が上部に表示されていたことに気づいた人もいるでしょう。ユーザーの検索意図にもよりますが、強調スニペットよりも上部に表示されることで、コンテンツへのアクセスを行う場合もあるでしょう。*ただし、リスティング広告で上位を獲得するには、競合状況によりコスト高になる可能性がありますので注意が必要です。*強調スニペットとともに表示できればSERPにおいて広くシェアを獲ったことになり優位だと言えます。

ローカル検索において上位を獲得する

ローカルパックに自社の情報が表示されれば、たとえ自社のコンテンツがクリックされなかったとしてもユーザーとのコンタクトに発展する可能性が上昇します。つまり、ローカルSEOに強くなる必要があるのです。*ローカルパックの3位までに表示されることを目標としましょう。*ただ、ローカルパックの掲載順位はオーガニックサーチの順位との相関が強いと見られているため、自社のホームページSEO対策にも力を注ぐ必要があります。

ただし、ローカルパックを利用できるのは、実店舗がありGoogleマイビジネスに登録しなければいけません。この条件がクリアできる企業は、ぜひ取り組みたい施策です。

様々なメディアにおいて露出を増やす

ゼロクリックサーチにより、オーガニックサーチによるクリックが減少するのであれば、SNSや動画など様々なメディアでの露出に力を入れるのも一つの方法でしょう。会社の名称やブランド名などがユーザーから認知される機会が増えると、ゼロクリックサーチが起こらず、ホームページへのアクセスにつながる期待ができます。また、*メディア上で会社名やブランド名が言及されることをサイテーションと言います。ホームページリンクされている必要はなく名称が掲載されるだけでも、SEOに効果があるとされているのです。*認知拡大とSEOという2点のメリットを考えると取り組んで損はないでしょう。

ゼロクリックサーチを受け入れ、対応する柔軟さが大切

ゼロクリックサーチは、Googleがユーザーの利便性を追求しつづけているために起きている現象です。自社のコンテンツにアクセスをしないことで、セッションとともにコンバージョンが減少するといった影響もあるでしょう。それでも、事業成長のために、この現状にマッチしたWebマーケティングに取り組まなければいけないのです。

検索結果であるSERPまではユーザーがアクセスするのであれば、SERPにおけるユーザーへのアプローチを考えるのが妥当です。今回お伝えしたように、実店舗があればローカルパックに含まれること、ユーザーのクエリに回答して強調スニペットを狙うことが特に大切だと考えます。今後も検索エンジンは、さらにユーザーに最適化されるので、それに対応できる柔軟さを持つようにしましょう。