「ナレッジマネジメント」が組織の礎に

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音部氏: この仕事をしていると、「組織の成長」というものを考えさせられる事が多いです。おそらく「成長とは、昨日できなかった事が明日はできること。」だと思います。できるようになった理由のひとつは、「昨日は持っていなかった手段が今日は手に入ったから」。例えば、新しいイノベーション、新商品、使えるお金が増えた、人が増えた、など。

もう一つは、「昨日は知らなかったやり方を今日学んだので明日できる」。言い方を変えると、経験を知識に変えるナレッジマネジメントと言えます。先ほど例に出した20〜30個もブランドがある会社の場合に、Aのブランドで学んだ事をBのブランドで使えて、Bのブランドで学んだ事をCのブランドで使える。1年間で20ブランド分稼ぐことで、20年相当のノウハウや知識を得られます。これこそが組織の強みのひとつなんです。この考え方は、複数のブランドを抱える企業がV時回復する場合の重要な礎になると思います。

例えば、直近1年で1番お金を使い、1番労力を使ったことに関して、そこから何を得て、どんな知識経験を得たか、チームは何が出来るようになったのか、をすぐに言えるチームと、一生懸命頑張りはしたけれど何を得たのかよく分からないチーム、5年も経つと大きな差が付きます。20ブランドを抱える組織が各チーム間でこれをやった場合に、当然組織全体の底上げに繋がるのです。知識をどう収集、蓄積、流通できるかが非常に重要と言えます。

「とにかく認知」の前にまずは「設計」

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音部氏: 「まずは、認知。1人でも多くのお客さまに出会いたい、老若男女すべての方がお客さま、広く皆さんに知って貰いたいので、とりあえず認知を上げよう」。これは、企業でよく見聞きする考え方です。

「製品力に自信があるので、とにかく使ってもらい、商品の良さを理解してもらいましょう」という時代は過去にあったかもしれません。それは、物が比較的少なく、製品カテゴリ自体がとても新しく、まだ流通量も少ない、といった初めてのものに関してはいまでも通用するでしょう。

市場の半分ではなく5〜10%を対象とするのなら、ブランドが提供するものを明確にし、ロイヤルユーザーになる可能性のある方に出会う方が効果的で効率的です。そのためには、何を期待してもらい、自社の製品・サービスがいかに期待を超えていけるか、を設計する必要があるでしょう。

顧客満足は設計できる

音部氏: 「顧客満足」は設計できると思っています。例えば、シワを減少させる効果を持つ、ある基礎化粧品があったとします。「シワが消える」という機能を期待しながら使用する場合と、普段のスキンケアのルーティンに単に取り入れた場合では、使用者の満足度合いは異なります。意識してもらった方が、機能を感じやすいことでしょう。それに、本来自分達が訴求したかった部分と異なる評価軸で評価されてしまっては残念です。せっかく「これはシワに効果がある」という製品であるならば、それを期待する使い方をしてもらった方が正しい製品の評価に繋がりやすいと言えます。