2019年4月から始まった働き方改革や昨今の新型ウイルスの影響により、働き方の見直しが早急に進められています。テレワーク(時間と場所を選ばない働き方)もその一助を担っており、オフィスにいなくても自宅やシェアオフィスで働くメンバーと、オンライン上で会議ができる「Web会議ツール」の需要が高まりつつあるようです。

Web会議ツールの基本

すでに自社で使用しているツールとの相性

Web会議とは、遠隔地にいる人同士で音声やビデオを通じてリアルタイムに共有を行う新しいコミュニケーション方法です。

Web会議で使用するツールの多くは、利用時にアプリのダウンロードやアカウント登録が必要となります。導入の手間が少ないほど、従業員への浸透度は高いです。例えば、すでに全社的にG SuiteなどのGoogleサービスを利用している場合は、関連サービスのGoogle ハングアウトを利用したほうが使い勝手が良いと言えます。

会議の目的

ビデオ会議を始めるにはマイクやカメラなどの準備が必要ですが、ノートパソコンならカメラが付いていることが多いため、画質や音質をそこまで気にしないのであれば初期費用はほぼかかりません。

ただし、会社の会議室を含む複数人で会議する場合(例えば、会社の会議室に5人、テレワーク中の1人を含む会議など)は、音声が乱れやすく、会議室全体を投影することが難しいため、その場合は専用マイクやカメラの準備が必要でしょう。

まずは無償版で試す

すでに多くのWeb会議ツールが存在し、無償版や有償版、エンタープライズ版などもあります。各サービスは、チャットやファイル共有、画面共有などの機能付きサービス、音質や画質に定評のあるサービスなど、特徴はさまざまです。どのサービスも利用幅を制限した無償版が提供されていることが多いので、まずは無償版で試してみましょう。

Web会議ツール選びの4つのポイント

参加可能人数、利用可能時間

1つの会議に参加できる人数や、無料で利用できる会議時間が決まっているツールがあります。料金やプランによって変わるため、どれくらいの規模でWeb会議ツールを利用するか、あらかじめ想定しておきましょう。

セキュリティ対策

他社ツールを使いながらインターネットを介して会議をする以上、不正アクセスやセキュリティ面での心配はつきものです。情報漏洩防止の観点からも、P2P方式を採っているツールなどは気を付けたほうが良い場合もあります。

※P2P:通信を行うコンピュータ同士がサーバを介さずに直接通信を行う方式のこと。(例:Skype、LINEなど)

導入、初期設定が簡単か

一度導入したら長期間で契約することを想定し、ランニングコストも視野にいれておきましょう。ツールの導入コストそのものだけでなく、例えば、正社員・契約社員のみに限定するなど、従業員のどの範囲までツールの利用幅を設けるのかによっても今後の費用は大きく変わってきます。

サポート体制

導入した後に「不具合が起きた」「なかなか使い方が浸透しない」「ITリテラシーが高くない社員にフォローができていない」といった問題が起こる可能性もあるでしょう。ツール提供者側のサポート体制があれば解決がスムーズですし、ツール提供者がオフィスまで来て、直接使い方を説明してくれる場合もあります。

Web会議ツールサービスの比較

現在提供されているWeb会議ツールの中から、比較的ユーザーが多いメジャーなツールと、期間限定ではありますが、新型コロナウイルスの影響を受け、無償提供を行っている一部ツールも紹介します。

Zoom(ズーム)

今もっとも注目されているツールが「Zoom」です。無償版で試すことができ、映像や音声の質が高いことで定評があります。

一番の特徴は、会議のホストがZoomアカウントを持ってさえいれば、他の参加者はZoomのアカウント登録が必要ない点。それぞれの設定した会議に発行されたZoomのURLを相手に送るだけで簡単にWeb会議が開始できます。

その他、画面共有やチャット機能、ホワイトボード画面などもあり、プラスアルファの使いやすい機能が付与されている点も評価できる点です。
参考:Zoom

Slack(スラック)

チャットツールとして急速にシェアをのばしている「Slack」でもWeb会議が可能です。すでにSlackを導入している企業であれば、Slackのビデオチャット機能を使えば追加費用なく使えます。

Slackを使うためには、無償版・有償版でアカウントを登録してコンタクトを取りたい相手とSlack上でつながっておく必要があります。
参考:Slack

Skype(スカイプ)

Slack同様にチャットツールとして有名な「Skype」は無償版で最大25名、法人向け有料サービス「Skype for Business」では、最大250人(ブロードキャスト配信なら最大1万人まで配信可能)が会議に参加できることが大きな特徴です。

PCやブラウザ、アプリで使えて、すでにSkypeアカウントを持っている方も比較的多いため、初めてWeb会議する場合でも負荷がかかりにくいのはメリットと言えます。
参考:Skype

Whereby(ウェアバイ)

使い勝手の良いツールとして「Whereby(旧サービス名:appear.in)」も人気です。無料で利用することもできますが、プロアカウントなら1つの会議に最大12名、発行できる管理画面が3つまで増えます。(ビジネスプランだと管理画面を25まで)。

Wherebyは、自分のルームURLを任意で決めて、そのURLを相手に知らせるだけですぐにWeb会議を始められる手軽さがあります。ホストがWherebyに登録していれば、その他の参加者は登録不要で参加可能。

イスラエルに本社がある会社が運営しているため、サイトが日本語対応していない点は難易度がありますが、登録して会議をスタートするまでほんの数分で完了するため、面倒なフローをとにかく省きたい場合は便利です。
参考:Whereby

Microsoft Teams(マイクロソフトチームズ)

マイクロソフトが提供するコミュニケーションツール「Microsoft Teams」は、Officeとの親和性が高く、Teams上でOutlookの予定表の確認や、WordやExcelなどを共同で編集することもできます。

なお、マイクロソフトは2021年に「Skype for Business Online」 のサポートが終了することによる、Skype for Business Onlineの持つ機能を拡張したMicrosoft Teamsへの移行を発表しています。
参考:Microsoft Teams

Google ハングアウト

すでに社内でGoogleサービスを使っていて、社員がGoogleアカウントを持っている場合は、Google社が提供する無料ツール、「Google ハングアウト」が手軽です。社外でのやり取りも、双方がGoogleアカウントを持っていればすぐにWeb会議を開始できます。

チャットとして使っている方も多いですが、音声・ビデオ会議もワンクリックで可能。パソコンだけでなくスマホでもアプリをインストールすれば使えて、Google カレンダーなど関連サービスとの連携もしやすいのがメリットです。

一方、Zoomと比較して音声が途切れやすい、参加人数が多いとノイズが入る場合があるので、頻繁にWeb会議をする方や、聞き漏れがあってはいけない大事な会議では使いにくい可能性があります。

現在、新型コロナウイルス拡大にともなうテレワークを支援するため、2020年7月1日まで無償で利用が可能です。(2020年3月現在)
参考:Googleのビデオ会議ツールが新型コロナ対応の一環で無料利用可能に|TechCrunch Japan

Google ハングアウト

Remote Meeting(リモートミーティング)

新型コロナウイルス拡大にともない、遠隔ソリューションの専門企業であるRSUPPORTも、2020年2月1から4月30日まで企業や団体、学校や官公庁向けにWeb会議システム「Remote Meeting」の無償提供を行っています。(2020年3月現在)

Remote Meetingは、WebブラウザがあればWeb会議ができ、各自のPCにインストールする必要がありません。画面共有や録画などの機能も充実しています。無償提供開始後、3月10日時点ですでに700の団体・企業が導入し、約2万人が利用している実績もあります。
参考:RSUPPORT、テレワークツール無償提供|PR TIMES
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