2020年1月28日・29日に東京ビッグサイト青海展示棟にて、国内最大級のマーケティング担当者向けイベント「マーケティング・テクノロジーフェア 東京 2020」が開催されました。

ついに2020年から日本でも開始予定の次世代セルラネットワーク「5G」。本講演では、5Gの概要から活用事例、5Gによって実現するであろう「超スマート社会」について語られています。ここでは、阪口氏の講演<「5G」の概要と超スマート社会への展開>の中から、5Gによるアプリケーションや未来の私達にとっては当たり前になるかもしれない超スマート社会の全貌をレポートします。

登壇者

阪口 啓 氏
東京工業大学 超スマート社会卓越教育院長

1998年 東京工業大学 総合理工学研究科 修士課程修了、2017年 東京工業大学 工学院 教授、2018年 株式会社オロ 取締役、2018年 ドイツ Fraunhofer HHI コンサルタント、2019年 東京工業大学 超スマート社会卓越教育院長

<アジェンダ>
■5Gのアプリケーション
■5G(の周波数)は我々でも導入可能
■5Gの超スマート社会への展開

5Gのアプリケーション

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**[quanternary]阪口氏:[/quanternary]**2020年からいよいよ日本で開始する5Gですが、4Gとの違いをまとめると以下の通りです。

<5Gの仕様(4Gとの比較>
・100倍のデータ伝送レート
・遅延は1/10
・接続性は100倍

こういった仕様を持っていることで、実際どんなことに5Gが使えるのでしょうか。

未来の現場ではマニュアルはメガネで見る

**[quanternary]阪口氏:[/quanternary]**まもなく、AR(拡張現実/Augmented Reality)グラスやMR(複合現実/Mixed Reality)グラスが大量にマーケットに出るようになります。これらは現実空間にデジタル情報を重ねて表示しているものです。なおかつ、そのバーチャルな情報は、複数人の間で共有できるのです。

それらのデータ処理を全てメガネに処理をさせた場合に、電池の持ちは非常に悪くなりますよね。そこで5Gを活用します。もはやメガネや端末は単なる表示装置であって、ディスプレイ・カメラ・マイクの機能さえあれば十分で、電池も最低限のものしか入れません。5Gを活用することで、端末は最低限の機能でありながら、高速、低遅延、安定した接続性を保ちながらデータを送れるようになります。

未来の現場では物作りは遠隔操作に

**[quanternary]阪口氏:[/quanternary]**日本では高齢化や人口減少が予測されていますが、人手不足の解消が大きな課題です。5Gのある未来では、ロボットが実際の作業や介護などを行い、遠隔から操作することが可能になります。

実際に、この課題解消に寄与すべく、コマツさんとNTTドコモさんが共同で「建設機械の遠隔操作システム」の実証実験を行っています。高速・低遅延という特徴を持つ5Gを用いることで、離れた場所からでも安心・安全に建設・鉱山機械などを遠隔操作できるシステムの実現が可能になるのです。

参考:特集・ビジネスを変える5G|ITmedia NEWS

未来の車は単なる移動手段ではない

**[quanternary]阪口氏:[/quanternary]**現在では車は単なる移動手段ですが、私達が運転しなくなった未来では、ホテルにもなるし、ラボラトリーやレストランにもなる。トヨタ自動車さんが発表した「e-Palette」のビジネスエコシステムがいい例。私達の都合の良い時間と場所に、移動型の店舗やショールームがやってくるというわけです。

参考:モビリティサービス専用EV“e-Palette Concept”|TOYOTA

安全に運転するためにも5Gが必要になる

**[quanternary]阪口氏:[/quanternary]**前方車両によって視界が塞がれている時には、前方車両センサー情報を車車間通信を用いてリアルタイムに伝送することにより、安全な自動運転の実現が可能になります。このように、外部のセンサーを高度にオーケストレートする自動運転車は、通信するデータ量が膨大になるため、5Gによる通信インフラが欠かせません。