会社名、店名、商品の名前にいたるまであらゆるシーンでネーミングは重要です。一度決めてしまったネーミングは何度も変更しづらいので、よく吟味して納得できるものを考える必要があります。

しかし、なかなかアイデアが浮かばないという方も多いのではないでしょうか。今回はそんな方のために、ネーミングを決めるときに参考になる発想法やコツ、企業事例に加え、悩んだ時に使えるツールをまとめて紹介します。

▼ネーミングに便利なツールは3ページ目で紹介

 ネーミングを考えるときに便利なツール9選!

ネーミングを考えるときに便利なツール9選!

商標登録チェックから、ネーミングジェネレーターまで

ネーミングの重要性

今でこそ多くの人に定着しているネーミングもありますが、中には発売当初は全く認知されずに売れなかった商品もあります。

例えば、「お~いお茶」でご存知の伊藤園の緑茶飲料も発売当初の商品名は、缶煎茶(かんせんちゃ)でした。しかし、全く売れないことからアンケートを実施し、ネーミングにある「煎茶」が読みにくい・読めないということが分かりました。

その後の追加調査によって、日本人は緑茶に家庭的なぬくもりを感じる事が分かり、現在の「お~いお茶」に改名後、売上が6倍近くの40億円にまで伸びたという事例もあります。
つまり、ネーミングによって消費者は、商品に対するイメージが大きく変わるということです。

▼参考記事:
改名で売り上げ40億円の「お~いお茶」売れる前の名前は… (2/2) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版

ネーミングのコツ!悩んだときに試したい7つの発想法

1.キーワードを組み合わせる

サービスに関連するキーワードを組み合わせてネーミングを考える発想法です。この発想法で作られたネーミングとして、*シーガイア(シー+ガイア)*が挙げられます。

まずはキーワードを、類語を含め洗い出します。この時、英語のワードも同時に洗い出します。あとは洗い出したものを組み合わせるだけなのですが、シンプルな方法だからこそ言葉の選び方でイメージががらりと変わってしまうので十分に検討する必要があります。ポイントは、文字数の短めなキーワードを選ぶこと、語感の強いキーワードを選ぶことです。

参考:フェニックス・シーガイア・リゾート

2.文字の一部を変えてみる

キーワードを部分的に変えて使うという発想法です。この発想法は、キーワードのインパクトが薄い時や発音しにくい時に試してみると有効です。まずは基本となるキーワードを選んだら、その一部を削除したり置き換えたりします。

ポイントは、イメージをしっかり伝えられるキーワードを選ぶこと、見た目や発音した時の感じを考慮しながら変化させること、イメージを変えない程度に変化させることです。

3.接頭語、接尾語を付加してみる

基本となるキーワードの前後に接頭語、接尾語を加えるだけでも印象が異なるものができます。

例えば、*清涼飲料水のシンビーノ「SIN(~がない)+ VINO(酒) =  SINVINO」*のようなものが挙げられます。この発想法では基本のキーワードをはっきりと残しているので、親しみやすい、分かりやすい、コンセプトを的確に伝えるネーミングを作ることが可能です。考える際には接頭語、接尾語をピックアップしたWebサイトを参考にするととても便利です。

参考:sinvino JAVATEA 公式サイト|大塚食品

4.逆から読んでみる

キーワードを単純に逆から読むというとても簡単な発想法もあります。

この発想法で生まれたネーミングの例として、海洋深層水を使用したミネラル飲料「MIU(ミウ)」、**大分県を中心として展開するスーパー「atio(アテオ)」**があります。逆にするだけで新鮮な響きが生まれますので、いまいちいいネーミングが思いつかない、ありきたりになってしまう、という時に一度試してみたい発想法です。

5.語呂合わせしてみる

コンセプトを表すキーワードを語呂合わせする発想法です。

この発想法で生まれたネーミングの例として、「アスクル(明日来る)」、**ジャノメの24時間風呂「湯名人(湯(の)名人)」**があります。親しみやすくしっかりとコンセプトを伝えるネーミングになるのが特徴的ですが、少し軽い印象になってしまう可能性もあります。

6.キャッチーに略してみる

「了解→り」「パーリーピーポー(パーティーピープル)→パリピ」など、若者言葉に付き物である略語。古いもので言えば、「チョーベリーグッド→チョベリグ」など、時代に関わらず、キャッチーな略語は若者に親しまれる傾向があります。

題材や一度考えたネーミングが長い単語であるならば、キャッチーに略せないかを考えてみましょう。例えば2016年にオープンした「バスタ新宿」は「バスターミナル」の略から来ています。短く、キャッチーに略すことで、記憶に残りやすく発音もしやすいネーミングになるでしょう。

7.クラウドソーシングでアイデア出しをしてみる

アイデアの洗い出しで煮詰まった時には、クラウドソーシングを使うのも一つの手です。自分たちだけで考えるとなかなか思い浮かばない、ユニークなネーミングアイデアを集めることができます。

「アイデアを外に任せるのはちょっと…」という場合は、別の部署に協力を仰いでみるのもひとつの手。まったく別の視点から、助言がもらえるかもしれません。

参考にしたい有名企業・商品のネーミング事例

1.い・ろ・は・す

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日本コカ・コーラが発売している飲料水です。健康と環境を意識するといった意味合いを込めています。

いろは歌 + LOHAS (ロハス)

2.じゃがりこ

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カルビーが発売しているスナック菓子です。開発担当者の友人(りかこさん)が美味しそうに、じゃがりこを食べている様子がきっかけとなっています。

「じゃがいも+りかこ」 ⇒ 「じゃがりかこ」 ⇒ 「じゃがりこ」
 

3.ソイカラ

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大塚製薬から発売されているスナック菓子です。原料となる大豆とスナックを振る「カラカラ」という音が鳴ることから楽しさをイメージしたことが由来です。

「大豆(Soy)」 + 「カラカラ」

4.コアラのマーチ

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日本に初めてコアラが登場したことをきっかけに、コアラの絵柄を採用し、次々に工場から出荷される様子をマーチング・バンドと連想したことがネーミングの由来です。

 

5.クレアおばさんのシチュー

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グリコから発売されているレトルトシチューです。家庭料理の明るさや温かさをイメージさせる*「クリアー」*から「クレア」となり、「クレアおばさんのシチュー」といったネーミングとなりました。

 

6.Qoo

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日本コカ・コーラが発売している清涼飲料水です。ビールを飲んだ時の大人が*「くーっ!」*っと言いたくなる気持ちを子供にも味わってもらいたいということが由来となっています。

7.セガ

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大手ゲーム開発、製造企業のセガは、SERVICE GAMEの頭文字が由来となっています。

SERVICE GAME
 

8.アシックス

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競技用シューズ中心のスポーツメーカーであるアシックスは、ラテン語の格言である「Anima Sana InCorpore Sano」(健全な精神は健全な肉体に宿れかし)の頭文字が由来となっています。

Anima Sana In Corpore Sano

 

9.Wooo

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日立の液晶テレビです。名前の由来は、Wonder(驚きがある)World standard(世界の新しい基準である)Worthwhile(高い価値がある)の頭文字からの由来です。

Wonder
World standard
Worthwhile

10.おっとっと

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おっとっとは森永製菓のスナック菓子です。ネーミングの由来は、お酒を注がれた際の*「おっとっと」*が印象的なことと、トトは魚を表すことが由来となりました。

 

11.亀田の柿の種

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亀田製菓のスナック菓子です。製品が出来た当初は、ネーミングが無く、出来上がった製品が柿の種に似ていることからつけられたネーミングです。

 

12.ガリガリ君

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氷をかじった際の「ガリガリ」という音が由来となっていますが、ネーミングとして*「ガリガリ」*ではインパクトが無いということから、社長の「君をつけてみたらどうだ」という提案によって「ガリガリ君」というネーミングに決まりました。

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ネーミングを考えるときに便利なツールを紹介!

1.nomyne(ノミネ)

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nomyne(ノミネ)

素敵なネーミング候補がひらめいた時に、それが商標的に問題ないかどうかや、そもそも名前としてチカラがあるかを無料で診断してくれます。さらに、特許庁の審査から商標取得までワンストップで完了する、便利なサイトです。

2.ネーミング辞典

ネーミング辞典
ネーミング辞典

ジャンル別に分かれたキーワードを各国の訳で見ることができるサービスです。英語、ドイツ語、フランス語を含む10カ国語で表示しています。

3.ネーミングワードを見つける

ネーミングワードを見つける
※こちらのWebサイトは現在公開されておりません。

1つのキーワードから連想ゲームの形式で言葉を生成してくれるジェネレーターです。
例えば「美しい」という言葉を選ぶと「優美」「可憐」「きれい」それぞれにまつわる言葉を一覧表示します。キーワードの洗い出しにもってこいです。

4.Wordoids

Wordoids
Wordoids

Wordoidsは、自動で造語を生成してくれるジェネレーターです。基本となるキーワードを入れ作成したい造語の文字数を選んで「Create wordoids」ボタンを押し実行すると、それらしい造語を生成します。

試しに「computer」という言葉を基本に10文字の造語を作ってみると、「computeria」「computerol」といった造語をいくつか生成します。文字の長さは5文字から15文字まで対応しています。

5.Impossibly!

Impossibly!
※こちらのWebサイトは現在公開されておりません。

Impossibly!は基本のキーワードの前後に文字を組み合わせて造語を生成してくれるジェネレーターです。形容詞(adjectives)、動詞(verbs)、名詞(nouns)のいずれかを選択して「Search!」を押すだけで完了です。

6.Dot-o-mator

Dot-o-mator
Dot-o-mator

Dot-o-matorは、語頭(Beginnings)と語尾(Endings)を合わせて造語を生成してくれるジェネレーターです。任意の言葉を入力することもできますが、つけたいイメージから言葉を選択することができます。

試しに「Management」という任意の言葉に、「Experts」という意味合いの言葉を合わせると、「Managementace」「Managementwiz」といった言葉を生成します。

7.ACRONYM CREATOR

ACRONYM CREATOR
※こちらのWebサイトは現在公開されておりません。

ACRONYM CREATORは、いくつかの言葉から略称を生成してくれるジェネレーターです。試しに「Management」と「Experts」という言葉の略称を生成すると、「MET」「MANET」のような略称を170も生成します。

サービス名、企業名のネーミングを考える際に使ってみるととても便利です。

8.Dislexicon

Dislexicon
Dislexicon

Dislexiconは、任意の言葉を入力するとその前後に英単語を付加して、新語を生成してくれるジェネレーターです。これまでにご紹介したジェネレーターに類似のものがありますが、Dislexiconは言葉の構成要素が見やすいという点に優れています。

試しに「Management」という言葉で生成してみると、「acromanagement」のような言葉を生成します。生成する新語の数は1個から25個まで選択が可能です。

9.WordConstructor(ワードコンストラクター)

WordConstructor
WordConstructor

WordConstructorは、基本のキーワードから様々な新語を生成してくれるジェネレーターです。他にはない細かな調整機能が特徴で、子音・母音の出てくる場所を決めたり、変えたくない単語を固定したり、変更するパーセンテージを調整できます。

辞書には載っていないような言葉を生成しますので、ユニークなネーミングを付けたいときに一度試したいツールです。

ネーミングが決まったら必ず確認することは?

ドメイン検索

ドメイン検索
ドメイン検索

新たなサービス名や商品名が決まったら、その名前でWebサイトを作ることもあるでしょう。ネーミングをした後は、その名前でドメインがとれるかどうかを確認し、可能であればドメインの確保までやっておくと安心です。ドメイン検索を利用すれば、簡単に空いているドメインの確認ができますよ。

ユニークすぎるネーミングに注意

今回はネーミングを決めるときに参考になる発想法やツール、企業事例を紹介しました。

これら発想法、ツールを使えば自分一人で考えただけでは思いつかないような、斬新なアイデアを生み出せます。ただし、あまりにもユニーク過ぎるとコンセプトが明確に伝わらないこともあるので注意してください。

考えが浮かばない時には、まず発想法・ツールを使って新しいアイデアを考えてみましょう。

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