2020年2月27日、新型コロナウイルスの感染連鎖阻止対策として、政府は全国の小中学校と高校に3月2日から臨時休校を要請しました。

長きに渡ったこの外出自粛も前代未聞のこと。企業にとっては、消費の落ち込みなどネガティブな影響もありますが、その一方でコロナ対策特需も期待されています。そこで、コロナ禍における社会貢献を行いながらも、次に繋げている企業とその施策を紹介します。

飲食業界の社会貢献

学校の臨時休校措置により、子どものいる家庭は負担が増えました。休校により給食がないため、子ども達の朝・昼・晩の食事の用意をする必要があるからです。「平成27年国勢調査」によれば夫婦共働きの世帯は年々増加傾向にあり、64.6%と半数以上を占めています。こうした共働き世帯を応援するべく、少しでも家庭の負担を軽減できるよう、さまざまな飲食サービスの支援が始まっているのです。

ローソン

ローソンは、政府の一斉休校の要請に伴い、「ぬりえの無料印刷」「ホットミルク半額」「おにぎりの無料提供」を実施しました。

「ホットミルク半額」キャンペーンは、給食用の牛乳の販路確保を目的として、ホットミルクが通常130円の半額65円、カフェラテは150円から30円引きの120円で販売されました。初日の販売量は給食用の200mlパックで約11万本相当に。キャンペーン開始日の前週(3月2日~8日)平均販売数の10倍にも及んだとのことです。購入者の約半数は20~40代女性で、育児中の母親が購入したのではと想定されています。

「おにぎりの無料提供」は、子ども達の滞在時間が長くなる全国の学童保育施設が対象。当初は3万個の配布を予定していましたが、3月10日、17日、24日の3日間で約58万4,983個ものおにぎりを7,163施設に無料配布しました。

ローソンは「マチのほっとステーション」というスローガンを掲げており、今回のような支援活動への対応が迅速であったことは消費者の記憶に強く残りました。競争が激しくコモディティ化が進むコンビニ業界において差別化にも貢献したのではないでしょうか。

参考:「学童保育施設へのおにぎり無償配布」について
ローソン“ホットミルク半額”初日は「給食用牛乳11万本分」販売、乳牛の飼育地で多く消費

王将フードサービス

餃子の王将では、子どもの食事に困る家庭の応援メニューとして、3月9日から31日まで餃子や鶏のからあげが入った期間限定メニュー「お持ち帰り専用お子様弁当(250円)」を販売。自粛が長引いた影響もあって期間は大幅に延長され、最終的に5月31日までの約3ヵ月間、このお弁当は販売されました。お弁当の販売対象は中学生以下の子どもがいる人で、1人1回3個まで。電子レンジ対応容器を使用し、「チンするだけで美味しく食べられる」ように配慮されています。

餃子の王将は、2018年に下降傾向だった売上が回復し、2019年は前年比104.5%と堅調に推移しています。消費者ニーズの変化に合わせ「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の導入もスタートしており、新たな市場開拓にも積極的です。そんななかで、今回の休校支援は対応も早く、助けられたファミリー世帯も多いのではないでしょうか。

参考:餃子の王将が新型コロナによる休校を支援、250円「お持ち帰り専用お子様弁当」を販売
王将フード/休校の食事支援「持ち帰り専用子ども弁当」延長
【5月31日まで】お持ち帰りお子様弁当販売期間延長のお知らせ|餃子の王将