業界の市場動向を調べる際に、皆さんはどのように根拠データを入手していますか?自社のホームページに新規コンテンツを立ち上げたい時、どの方向に展開をしていけばそのマーケットを押さえることができるでしょうか。これらを解決するのが、Web上で閲覧できる統計や調査データの数々です。各企業が自社で調査した数値を公開しているものもあれば、国が統計データとして公開しているものもあります。

今回は調査や統計データを入手できるサイト、調査機関のサイトをまとめました。皆さんのビジネスにお役立てください。

※データの引用や利用にあたり制限がある場合があります。詳しくは各サイトの利用規約などをご確認ください。

目次

  1. 統計データや市場調査データが公開されているサービスまとめ
  2. 市場調査とは
    1. 市場調査データを自分で探す方法
  3. 市場調査の主な手法6つ
  4. 市場調査データを利用する際に気をつけるべき3ポイント

統計データや市場調査データが公開されているサービスまとめ

総務省統計局

総務省統計局
http://www.stat.go.jp/

今回紹介する中では最も利用され、また目にする機会も多い調査の一つかもしれません。総務省が管轄する調査が閲覧でき、国勢調査、人口推計、家計調査、労働力調査、消費者実態調査など、その項目は多岐にわたります。もちろん閲覧は無料です。

例えばテレビでよく聞く「完全失業者数」などの数値は、こちらで公開されている情報を利用しているケースが多く、雇用形態などの変化も月次で追うことができるため、様々なケースで利用することが可能です。今後ますます高齢化社会が加速していく中で、実際の数字がどのように変遷しているかなど、確認する際はこちらの総務省統計局のデータが役に立ちます。

経済産業省

経済産業省
http://www.meti.go.jp/statistics/index.html

こちらは総務省と同じく、国が管轄する経済産業省から発表される統計データになります。総務省統計局と違い、文字通り経済活動に関する統計データが細かく無料で公表されています。

また消費者向けのビジネスを行っている方なら一度は耳にしたことがあるであろう「ビッグデータ」に関しても、積極的に利用できるように経済産業省が活動に乗り出しています(※1)。今後も経済産業省が提供する調査や統計データは重要な指標になる可能性がありますので、関連するビジネスや情報が必要な方は随時チェックすることをおすすめします。

※1【速報】ビッグデータ活用に向け経産省が大幅な規制緩和へ 

株行会社リクルート

株式会社リクルート総研_1.png
株式会社リクルート総研_2.png
https://www.recruit-lifestyle.co.jp/company/rd

旅行や飲食、さらには不動産から転職まで、株行会社リクルートは我々の生活に深く関連したサービスをいくつも無料で提供しています。その中で集まった消費者動向などを一部調査資料として公開しています。

例えば「ホットペッパービューティーアカデミー」では、美容、ヘアサロン、エステサロン、ネイルサロンなどの領域にわけ、利用金額、利用回数、予約時間帯や予約手段(ネット・電話)など、詳細に調査した資料を公開しています。

こちらはデータの閲覧に会員登録などを必要としていませんので、インターネットにアクセスできる環境があれば誰でも簡単に情報を見ることができます。これらのサービスでトレンドを知るのもよいですし、これから流行しそうなサービスを店舗単位で検討する上でも重要なデータになります。該当する店舗を経営している方や自営業の方も、こういった情報をヒントにしながら広告戦略を考えることができます。是非お役立てください。

公益財団法人日本生産性本部

公益財団法人日本生産性本部
http://www.jpc-net.jp/leisure/

生産性本部、と聞くと若干難しいイメージがわきますが、「レジャー白書」と言い換えると聞き覚えのある統計データかもしれません。経済や社会、福祉政策などの課題や生産性に関する調査を行い、それを研究、セミナーや研究会などの開催を通じて、文字通り国民経済の生産性向上を図る目的で昭和30年に設立された組織です。

レジャー白書以外にも、「新入社員春の意識調査( http://activity.jpc-net.jp/ )などの調査も行っており、無料で概要や調査結果の一部を公開しています。更に詳しい情報や統計データを得るには所定の費用を支払うことで購入することができます。

電通:日本の広告費

電通
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/

広告代理店として世界でも活動する株式会社電通が提供する調査データ「日本の広告費」を無料で見ることができます。広告費の総額はもちろん、テレビ、雑誌、ラジオ、新聞などの4マス別広告費、またインターネット広告での利用費なども数値化されています。

さらに業種別の利用費も細かく記載がされていますので、例えば広告代理店の営業の方など、クライアントに新しい手法を提案するとき、全体の動向などを踏まえて提案ができるようになります。年間を通じてその年ごとのトレンドなども概略として記載されていますので、営業トークとして利用する場合も信憑性をアップさせることができます。

博報堂:生活定点1992-2022

生活定点1992-2022.png
先ほど電通の公開データをご紹介しましたが、こちらも総合広告代理店として有名な、博報堂が主催する一般的な生活に関わる情報を公開するサイトです。

閲覧できるカテゴリーは生活全般、衣食住、恋愛や交際、その他21カテゴリほどから構成されており、質問したい内容をクリックすると、その回答について答えたデータが過去分含めて閲覧できる仕組みになっています。公開されているデータが面白いだけではなく、UI(ユーザーインターフェース)に関しても、さすが広告代理店というこだわりを持ったホームページになっています。

調査のチカラ

調査のチカラ
http://chosa.itmedia.co.jp/

インターネットのなどのニュースサイトを運営するアイティメディア株式会社が、ホームページ上で公開されている様々な調査データを集約したサイトがこの「調査のチカラ」です。

カテゴリは社会や政治、ライフスタイル、家電、モバイルなど、多岐にわたります。各企業が調査し公開している情報だけでなく、国が提供する統計データなども調べることができます。確かにインターネット上にはかなり多くの調査データや有用な報告資料が閲覧できる状態になっていながら、特殊なものだったりすると検索だけでは見つけることができず、埋もれてしまうことが多々あります。

またそれは同時に大きなビジネスチャンスを見逃す可能性も秘めており、こういったサイトを活用することで様々な情報を仕入れておくことも必要です。

矢野経済研究所

矢野経済研究所
http://www.yano.co.jp/

様々な産業に関して、数値情報及びマーケティング予測などをまとめたレポートを有料で販売しています。産業はファッション、食品、建設業などに始まり、教育やパチンコなどのレジャー関連まで幅広く展開しています。

例えば、食品カテゴリに属する調査の一つ、健康食品に関する市場調査では、対象を食品メーカーや製薬メーカー、関係団体や省庁などにも調査を行っています。
報告内容には、通信、訪問販売などの売り手側の主力50社の詳細動向を記したものに始まり、消費者側では上を70代まで、国籍は中国にまで調査の幅を広げることで、国内外のマーケティングの資料として活用できます。

また矢野経済研究所では「企業名」から調査資料を検索することが可能です。例えば「矢野」と入力すると企業名に「矢野」が入った会社名が検索結果として表示され、該当の企業名をクリックすると、その企業名が掲載されている資料が一覧で表示されます。
競合他社の動向を調べたい場合には、ここから検索すると必要な調査資料が見つかります。

ミック経済研究所

ミック経済研究所
http://www.mic-r.co.jp/

こちらはIT産業に特化したマーケティング、市場動向調査を提供する企業です。ハードウェア、パッケージソフト、セキュリティなど、各業界のキーマンや6,000以上の法人で集計を行っています。

最近のものでは、「ECにおけるネット決済代行サービス市場の現状と展望 2015年度版」「CRM向けBIアナリティクス市場の現状と展望 2015年度版」「データセンタ市場と消費電力・省エネ対策の実態調査 2015年版」など、これらの分野でビジネスを展開される方には重要な調査データが手に入ります。調査内容に関しては、各企業の市場シェア、複数の契約形態がある場合はその形態別売上高推移、決済手段や、法人、個人別動向、さらにはそれらの情報をもとにした現在の課題と今後の展望など、専門であるがゆえにかなり詳細にまで掘り下げて調査されています。

SSJDA(Social Science Japan Data Archive)

Social Science Japan Data Archive
http://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/

Twitterで情報提供いただいたため、追加させていただきました。(2015/06/18)

東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターが運営しており、を蓄積し学術目的での二次的な利用のために多数の貴重な統計調査、社会調査データが公開されています。

マクロミル

マクロミル
https://www.macromill.com/contact/ja/reports.php

まずご紹介するのはインターネットを使ったリサーチでお馴染みの株式会社マクロミルです。

記事作成現在、公開されているリサーチ結果には「2015年 就職活動に関する調査」など、その時期に合わせた旬なデータが公開されています。また他にも無料の範囲で、「インターネットの利用動向に関する定期調査」や、「2014年度 健康意識に関する調査」など、情報通信、広告・メディア、食品から時事に関する調査まで幅広く調査資料が公開されています。

気になる調査や自分のビジネスにマッチした調査項目でさらに知りたい場合は有料版が販売されています。さらに掘り下げる場合はそちらを購入することで、すべての調査内容を知ることができます。

市場調査とは

市場調査とは、商品開発やプロモーションの戦略の為に実施されるもので、「世の中では何が利用されているのか」「人々は何をモチベーションとして行動しているのか」など、マーケティング活動に必要なあらゆるデータを洗い出すために行われます。

企業独自が市場調査を行う場合もありますが、調査機関が豊富なデータを開示しているため、自社で調査しようとするまえに、既に該当するデータが存在していないかを確認してみましょう。

市場調査データを自分で探す方法

探したいデータにもよりますが、市場調査を検索するときは、

◯◯+市場規模
◯◯+市場調査
◯◯+利用者数
◯◯+利用動向

といった言葉で検索すれば大抵のデータは見つかります。

市場調査の主な手法6つ

市場調査を実施する際に利用される手法は、主に以下の6つです。
市場調査データを利用する差は、どのような手法で調べられたのかも気にしてみると良いでしょう。

1.郵送調査

郵送調査とは、対象ユーザーに質問紙を郵送し、返送していただくという調査方法です。
しかし、用紙に記入して返送しなければならず、ユーザーの負担が大変大きいため、他の手法に比べると回答率は著しく低い傾向にあります。
ただ郵送するだけでは気づいてもらえない可能性もあるので、一般的には電話でのアナウンスと組み合わせて実施されるケースが大半です。

2.電話調査

電話調査は、ユーザーに直接電話してアンケートを取る手法です。
対象ユーザーの住所を把握したうえでデータを取れるうえ、実際に訪問するよりもコストが安く済むので、選挙時の調査によく利用されています。

3.観察調査

街頭や店舗入口、店舗内など、特定の場所でターゲットとなる層の行動を観察する手法です。
比較的簡単に実施することが可能で、実際のユーザーがどのよな行動を取っているのかを確認することができるため、ペルソナ設定を行う際には有効な手段でしょう。
一方で定量的なデータが取りづらい面もあります。

4.面接調査

調査員が対象者一人一人に直接質問する手法です。
対面することができれば回答率は高くなりますが、他の調査に比べるとコストがかかってしまう傾向にあります。

5.集合調査

複数人を集め、特定のテーマに沿って自由に話してもらう形式(グループトーク)を集合調査と呼びます。会話の流れを調整するファシリテーター役がうまく機能しなければ、テーマと大きく逸れた会話に終始してしまう可能性もあるのでその点は注意が必要です。

6.インターネット調査

インターネットユーザーにメール等で呼びかけ、回答を募る手法です。
ユーザーのリストがあれば手早く、簡単に調査を実施することができるため、現在は多くの企業がインターネット調査を活用しています。
これらの手法があることを知った上で、市場調査データを扱ううえで注意するべきポイントを見てみましょう。

市場調査データを利用する際に気をつけるべき3ポイント

1.調査機関の信頼性を確認

最も重要なのは、データ発信元が信頼できる機関かどうかです。最も確実なのは、国の公的機関(省庁等)です。

近年は少し検索するだけで市場調査データが無数に出てきますが、調査方法に不備があったり、数字そのものをごまかして表記している可能性もゼロではありません。
データを見つけたら、社会的信用度の高い調査機関かどうかを確認するようにしましょう。

2.調査の母数を確認

調査データは大概図表で公開されているものがほとんどですが、棒グラフや円グラフの場合、全体の割合に目がいきがちで、調査対象の母数までに気がまわらない場合が多いのではないでしょうか。

例えば、20代女性を対象にスマートフォン所持率を調査したデータの母数が50名程度だとしたら、その調査は20代女性全体の傾向を捉えられることになるでしょうか。
一概に母数は最低いくつまで、と断言することはできませんが、調査対象となり得る層がどれだけのボリュームなのかを確認したうえで、必要母数を導き出すよ良いでしょう。

3.調査対象の属性を確認

こちらも見落としがちなポイントです。国内の20代女性のスマートフォン所持率を調査したデータで、調査対象となった女性が全て関東圏に在住する女性だった場合、果たして日本国内の20代女性の傾向がつかめるでしょうか。
データを見る時は、調査対象にはあらゆるセグメント(性別・年齢・住所・職業等)に分けられることを念頭に置いておきましょう。

まとめ

「統計データや調査データが公開されているサイト・サービスまとめ」をご紹介しました。
クライアントとのコミュニケーションや商談で上手くいかないことがあったり、思い通りに数字が改善されない時など、一度こういった統計や調査データを洗い直すことをオススメします。
もちろん、大切なのはそれらの数字を見てどのように自身のビジネスに活かすことができるかですが、今回のまとめが皆さんのビジネスのヒントになれば幸いです。