5.交通移動

感染予防のため政府は、在宅隔離、仕事や授業の延期、交通規制などを行い、市民の外出を最大限に抑制した。その結果、オンライン予約タクシー事業は、短期間で莫大な損失を出した。2020年の春節期間中、中国のオンライン予約タクシー市場の1日あたりの損失は5億8,000万元以上だと予想している。
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新型コロナウイルスは、中国交通移動市場に以下の長期的影響をもたらすと予想されている。

既存オンライン予約タクシープラットフォーム及び自動車メーカーが交通移動市場に参入

オンライン予約タクシー市場について、新型コロナウイルス収束後は、強力な資本力、高いリスクヘッジ力、運転手の管理能力が高い大企業に牽引される考えている。なお、オンライン予約タクシーにレンタカーを貸し出す事業は利益が大きく、投資回収期間が短いのが特徴であるという理由から、近年多くの自動車メーカーとレンタカー業者がオンライン予約タクシー市場に参入した。新型コロナウイルス収束後、オンライン予約タクシー会社の競争の敷居が次第に高くなり、主要なオンライン予約タクシープラットフォームと自動車メーカーが、この領域における競争の中心になると予想される。

自動車メーカーのオンライン予約タクシー市場の参入計画は減速

過去2年間で9つ以上の自動車メーカーが事業の枠を超え、オンライン予約タクシー市場に参入し、大量の資金を投下している。これらメーカー系のオンライン予約タクシー企業は、市場の新規参入者として、ユーザー及び運転手に多額のインセンティブを継続的に投入し、大量のユーザーを獲得するために、短期間で複数都市への事業展開戦略を採用した。

突然発生した新型コロナウイルスにより、自動車メーカー系のオンライン予約タクシー事業の黒字化は大変長い時間を要すると予測されている。自動車メーカー系のオンライン予約タクシー事業者は計画を見直し、低迷している景気を踏まえて、従来の業務を維持し、事業拡大を一時中止すると考えている。

シャトルバスは次の焦点

シャトルバスの運営は従来からある業界大手やスタートアップ企業まで、複数の企業がこの分野でチャレンジしている。しかし、住民に浸透するまでに時間を要するため、シャトルバスの発展は依然として市場の初期段階である。新型コロナウイルス流行後、北京やフフホト市(呼和浩特市)などの都市では、業務を再開する企業のためにシャトルバスを提供し始めた。これは、シャトルバスの認知普及や習慣形成の絶好の機会となるだろう。

国家安全保障レベルの議論となり政府の投資が増加すると予想

新型コロナウイルスを経て、交通業界のDXはすでに国家安全保障レベルの議論に発展した。

新型コロナウイルス流行時、深セン市や南京市など10以上の都市が率先して公共交通機関、地下鉄、タクシー乗車時の実名登録システムを導入し、乗客情報の追跡を実現し、新型コロナウイルス流行の予防と管理の効率を効果的に改善し、コスト削減も実現した。また、山東省、湖南省などでインターネットを利用して高速道路カード登録のチェックを行い、高速道路の円滑性を改善したことで物流の円滑性も向上した。

新型コロナウイルス収束後、政府は、バス、地下鉄、タクシー、高速道路などを含む多くの交通手段のDXを推進することが期待されている。

出典:アフターコロナの中国で消費急増が予測される5大産業の現状と未来