日本の歴史はサラリーマンと共にある、といっても過言ではありません。中小企業や大企業が発展した影には、サラリーマンの活躍がありました。企業に勤める「サラリーマン」の歴史は古く、明治時代にはサラリーマンが出現したとも言われています。

現在、テクノロジーの進化などによってサラリーマンの置かれた環境は大きく変わりました。サラリーマンの歴史を知ることで、今後サラリーマンはどのような働き方をしていくべきか?また、自分はどんな働き方に適しているのか?を考える手助けになるはずです。

サラリーマンの由来と歴史

サラリーマンという名称の由来は「塩」(Salarium)をもらうことから

古くから労働の対価をもらう、という構図があり、古代ローマ帝国時代には、兵士たちが「給料」としてもらっていたのが塩(Salarium)でした。当時、塩は大量生産が難しく高価で、長期保存に適していたことから貴重品として扱われていました。英語の「salary(給料)」という言葉も、ラテン語である「Salarium」が語源だと言われており、塩の代わりに賃金が支払われるようになった現在でも、名称はそのまま使われ続けています。

現在の形になったのは大正時代初期から

「サラリーマン」の原型が誕生したのは、早稲田大学原克(はら・かつみ)教授によると、1920年代だと言われています。第1次世界大戦後、世界的に産業構造が変化するなか、事務職が増加し、「サラリーマン」の原型が出来上がりました。

さらに、1923年に起こった関東大震災は、男性労働者だけではなく女性労働者も増加させました。震災で夫を亡くしたことで女性も働かなければ立ち行かない状況に陥ったからです。サラリーマンだけではなくOLが誕生したのもこの時代と言われています。

サラリーマンの就労変遷

さて、サラリーマンという名称の由来がわかったところで、サラリーマンの就労の変遷について、触れてみましょう。サラリーマンを語るうえで欠かせないのが戦後復興。高度成長期の下支えとなったのが、まぎれもなくサラリーマンだったからです。

大正~昭和初期

大正~昭和初期までのサラリーマンはいわゆる「中産階級」であり、農業や商業などの家業を家族総出で行う家庭も多いなか、サラリーマンは「高給取り」でした。西洋からビジネスの概念が入ってきたことにより、雇用関係や就業時間の考えが日本にも定着。三井、三菱といった大手企業で、9時~16時(または17時)までの就業時間が定められたのもこの頃です。

働き方を大きく変えた高度経済成長期

1920年代にサラリーマンの枠組みができあがり、その後現在の就労形態になったのは戦後の高度経済成長期だと言われています。サラリーマンの就業形態である「終身雇用制度」は、この時代に定着しました。

1940年前後に国による労働統制が進むと、職場の固定化が図られるようになります。労働の均質化、また長期雇用による労働力の安定化の目的で、「終身雇用制度」が生まれたのです。

第二次世界大戦後、サラリーマンの職場環境における大きな変化は起こりませんでした。1947年、労働基準法により1日8時間労働が規定。さらには1965年に週休2日制が採用され、現在のサラリーマンの形は昭和中期にできあがったと言えるでしょう。1950年~1970年代は高度経済成長期で日本が好景気に沸いた時代。「モーレツ社員」という俗語ができるほど、がむしゃらに働くサラリーマン像ができあがっていったのです。

脱昭和の働き方を模索した平成時代

平成初期にバブル景気を迎え、残業は当たり前、通勤にタクシーを使うなどサラリーマンの生活はバブル時代の象徴でもありました。その後バブルが崩壊。企業が相次いで倒産していくなか、「就職氷河期」と呼ばれる社会課題が取り沙汰されます。

1998年以降、企業の終身雇用制度が徐々に崩れ始めるなど、働き方に変革が訪れ、その後2000年頃にはブラック企業、過労死が社会問題に。これまでがむしゃらに働いてきた昭和とは違い、社員に大きな負担を強いる働き方を見直すきっかけとなりました。

2009年以降、場所や企業にとらわれない「ノマドワーカー」がメディアなどで頻繁に取り上げられ、会社員としての生き方だけではない、いう風潮が徐々に広まっていきました。