新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が長引き、全国でテレワーク化が進み、休日も不要不急の外出を控えているという状況下で、これまで外食中心だった人も内食中心の生活へ移行しつつあります。また、2020年にインテージによる調査によると、フルタイム勤務の既婚女性の昼食の内食率が上がっていることから、在宅勤務はもちろん、子どもの休校に伴う休暇取得などで昼食を作る機会が増えている女性も少なくないようです。

こうした背景により、内食のバラエティを広げたり、自宅での食生活を豊かにする商品・サービスの需要が高まっていると言えるでしょう。そこで今回は、こうした背景でニーズが高まっている内食を支える商品・サービスを紹介します。

参考:外出自粛で生活者の行動はどう変わった? データに見る巣ごもり実態

レシピ動画サービス

料理の手順や調理の仕方が伝わりやすいレシピ動画サービス。1分前後の動画で早回しに料理が出来上がっていく様子を見ていると、つい引きこまれます。SNSで多く拡散され、コンテンツが届く仕組みの分散型メディアとしてファンを増やす一方で、自社アプリ利用者を増やしている企業も。何が作りたいか決まっていない人をターゲットにしており、内食初心者の強い味方になります。

クラシル

クラシルは管理栄養士が監修した「かんたんにおいしく作れるレシピ」を36,000件以上提供するレシピ動画サービスです。2020年4月にはアプリの累計ダウンロード数が2,200万を達成し、ウェブ・アプリ両方の利用者数・アプリのダウンロード数・SNSの総フォロワー数・レシピ動画数のすべてにおいて国内トップ(2019年)となりました。

さらに、外出自粛を受けて2020年5月からは食材宅配サービスも開始します。新型コロナウイルスの影響で、多くの食材配達サービスにおいて欠品や配送枠の不足が発生しているため、欠品しやすい野菜を中心に供給していく予定です。

クラシルは、こうした生活者のニーズを捉えたサービス展開が巧み。メインのレシピ動画サービスにおいても管理栄養士が監修したレシピを扱うことで、単においしいだけでなく「健康」「安全」な内食を実現します。高齢化が進み健康志向の食生活を目指す人が年々増えているため、今後もサービスの需要が高まっていくでしょう。

参考:クラシル
レシピ動画サービス「クラシル」、利用者数・アプリDL数・SNS総フォロワー数・レシピ動画数のすべてにおいて国内No.1を獲得
「クラシル」が5月1日から食材宅配サービスを開始

DELISH KITCHEN

DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)は2,000万人以上に利用されているレシピ動画メディアで、「誰でも簡単においしく作れる」がコンセプト。クラシル同様に、すべてのレシピが管理栄養士などの食のプロによって考案されており、総数は3万件以上にのぼります。

プレミアムサービスとして提供している「1週間献立」は平日5日間の夜ご飯を想定したレシピで、内食における高い需要が期待できます。先日、新型コロナウイルスの感染防止を目的に、東京都知事は都民に対して「スーパーへの来店を3日に1回程度に減少させるように」と要請しましたが、DELISH KITCHENの「1週間献立」レシピは、カロリー計算を含め栄養バランスにも配慮しているうえに、「1日目に買っておくもの」と「4日目に買い足すもの」を参考に買い物リストを活用すれば、食材を余らせることなく買い物頻度を減らせるのです。内食の手間を軽減し、食材コストの削減にも繋がるため、内食の頻度が高まるほど大活躍してくれるサービスではないでしょうか。

参考:DELISH KITCHEN
『DELISH KITCHEN』にて有料会員向けの「1週間献立」を3週分無料公開!献立提案で”3日に1回の買い物”をサポートし、食の領域から#ステイホーム週間 を応援
1分レシピ動画、全世代女子がのめり込む必然

デリバリー・テイクアウトサービス

飲食店が営業自粛を求められる状況下で、テイクアウトのニーズが高まっています。また、テイクアウトは消費税増税に伴う軽減税率制度の対象になっているため、今後も高い需要が見込めるでしょう。

Uber Eats

今やデリバリーサービスの代表格とも言えるほど急成長したUber Eats(ウーバーイーツ)は、配車アプリUber(ウーバー)同様、シェアリングエコノミーを活用したサービスです。

Uber Eatsは、ドライバー登録した一般人がシフトに縛られず、スキマ時間に副業として配達できます。料理を食べる生活者、料理を作る提供者、料理を運ぶ配達者の3者を効率的に繋げることで、配送コストの課題を上手くクリアしたのです。また、注文額が700円未満でも、手数料150円を支払えば少額注文ができるのも特長です。

日本は食の先進国であり、食文化が発達しており、「出前文化や弁当文化も根付いているため、デリバリーサービスを受け入れやすい土壌があった」とUber Eats社長の高橋氏は述べています。また、注文額が700円未満でも、手数料150円を支払えば少額注文ができるのも特長です。

これからは高齢化が進み、外食しにくい高齢者が増えていきます。高齢者は年金暮らしであることが多く、こうした低コストのデリバリーサービスの需要が高まっていくでしょう。また、食べられる料理が限定されていたり食事量が少なかったりするため、少額からでも自由に注文できるサービスのニーズは高まると考えられます。

参考:Uber Eats
Uber Eats、2つの手数料を追加。10%のサービス料と150円の少額手数料
『UberEATS』はなぜ成功した? UberJapanの社長に聞いてみた

楽天リアルタイムテイクアウト

2020年5月7日、飲食店の商品を事前注文・決済できるテイクアウト支援サービス「楽天リアルタイムテイクアウト」が誕生しました。スマホやウェブサイトから近くの飲食店のテイクアウト商品を選び、楽天IDを利用して事前注文および決済を完了すれば、実店舗に行って待ち時間ゼロで商品を受け取れます。混雑しやすいエリアや店舗において、ストレスなくテイクアウトできるようになるでしょう。

楽天リアルタイムテイクアウトの強みは、購入金額に応じて「楽天ポイント」を貯められ、支払い時に利用できることです。テイクアウトする際にその店舗のポイントが貯まることはありますが、あくまでその店舗でしか使えない限定的なポイントであることが少なくありません。Tカードなどの共通ポイントを貯められる場合も、うっかりポイントカードを忘れたり、カードの提示が億劫だったりと利用時の課題があります。事前購入時にネット上でスムーズにポイント加算されればこうしたトラブルが解消されるのです。

また、内食する際は帰宅時にテイクアウトするケースも多いのですが、仕事など疲れている時に店頭でメニューを選び、完成を待つのは面倒な場合に、移動中など事前にスマホから食べたいものを選んで注文しておけば、悩む時間や待ち時間を短縮できて効率化できるでしょう。内食の頻度が高いほど、こうした効率化が肝になります。

参考:楽天リアルタイムテイクアウト
楽天、飲食店で事前注文・決済が可能になるテイクアウト支援サービス「楽天リアルタイムテイクアウト」を提供

食のサブスクサービス

利用「回数」ではなく「期間」に対して対価を払う定額制のサブスクリプションサービスは、スマホ社会・ネット社会との親和性が高く、さまざまな業界で普及しています。動画や音楽業界で人気を集めていますが、コスパの高さから飲食業界でも今後広まっていくでしょう。

Reduce GO

Reduce GO (リデュースゴー)は、飲食店の余剰食品(ロス)のテイクアウトができるサブスクリプションサービスです。スマホアプリで近辺の飲食店の余った食材・食品を検索し、店舗に行ってテイクアウトできます。月額料金1,980円で毎日2回まで注文可能。生活者はタイムセール感覚でお得に食品が手に入りますし、飲食店は食品ロスを減らしてCSR活動ができます。

世界中で食品廃棄が問題になっていますが、日本では廃棄量がトップクラスなのにも関わらず、飲食店のロスを活用する生活者向けサービスが存在しませんでした。余剰食品をシェアすれば食品廃棄も減らせます。営利目的ではないため商品の価格設定はせず、利用料金は参画企業に均等に分配され、余剰食品の出し惜しみを防ぎます。また、テイクアウトサービスとしたことで、加工食品だけではなく調理済み食品も扱えるように。

近年、SDGsなど持続可能な社会を目指す「サステナビリティ」がトレンドになっており、こうした未来の財産となる活動を行うサービスはますます支持されるでしょう。

参考:Reduce GO
余剰食品をお手頃定額でテイクアウト「Reduce GO」事前登録受付開始

自粛生活後も内食のニーズが高まる可能性大

内食は外食よりも低コストなので、今回の自粛生活で内食生活にシフトした人のなかには「外食に戻るのに抵抗がある」と感じる人も少なからずいるでしょう。高齢化も追い風となり、これまでより内食のニーズが高まる可能性は大いにあるのではないでしょうか。

アフターコロナ時代の消費行動とは

【2020年版】インスタ消費に巣ごもり消費… アフターコロナ時代に注目の消費行動

【2020年版】インスタ消費に巣ごもり消費… アフターコロナ時代に注目の消費行動

時代の変化に合わせて生まれた消費トレンドをいち早く察知して、現場での販売戦略や広報活動に活かすことはマーケターにとって必須です。2019年であれば「プレ増税消費」「サブスク消費」などという言葉が流行りましたよね。2020年は新型コロナウイルスの流行により、自宅で過ごす時間が増え、インターネット通販やSNSキャンペーンが活性化するなど消費トレンドの様相も大きく変化しています。アフターコロナに注目したい、2020年の消費トレンドについてまとめてチェックしてみましょう。