生活者の「サブスク疲れ」に企業はどう動くべきか?サブスクサービスの未来
こんにちは、株式会社Macbee Planetの佐野です。
動画配信をはじめ衣服や車、家具など様々な業種においてサブスクリプションサービスが登場しています。選択肢がたくさんある中で、ユーザーにとって「サブスク疲れ」が起き始めているのが現状です。この記事では、生活者の「サブスク疲れ」にどう向き合い、解約を防止していくかについて紹介していきます。
生活者の「サブスク疲れ」が起きている
ある調査では、ここ10年でレンタルビデオ店の市場規模は50%以上落ち、それを下支えするかのように2013年からネットによる動画配信サービスが台頭してきました。2018年にはレンタルビデオ店の規模を抜き、今や動画配信サービスはすっかり市民権を得て、お財布の中に入っていたレンタルビデオショップの会員カードはスマートフォンアプリに変わりました。
本屋さんやCDショップも少なくなるとともに、さまざまなものがデジタル化、サブスクリプション(以下サブスク)化され、最近では車や服、家具からお菓子までもがサブスクで得られるようになっています。
一方で、数多くのサブスクを選択できるようになった反面、*「サブスク疲れ」というキーワードを最近、目にするようになりました。*これは多くのサブスクサービスが溢れ、ユーザーが契約したサブスクのサービスを使い切れずに、「もったいない」と感じて解約してしまうことを意味します 。
サブスクは本当にメリットがあるのか?
そもそも、このサブスクという類のサービスは、ユーザーにはメリットはあるのでしょうか? よくよく考えると、分割払いでサービスを利用しているような考え方もあります。たとえば、最近のCMでも目にする車のサブスクはどうでしょうか? 実は、車やパソコン、コピー機、建築重機などの様々な商材には昔からリースという選択肢もあり、車の場合はカーリースというような形で契約することも可能でした。では、車のサブスクとカーリースでは何が違うのでしょうか?
大きな違いは、*カーリースは途中解約が原則不可能であり、サブスクリプションは途中解約が可能であることです(サービスによっては最低契約期間の設定や解約手数料を請求されるものもあります)。*他には、カーリースは自由に車種が選べますが、現在のサブスクでは決められた車種やグレードから選ぶという違いや、任意保険、オイル代、故障修理代の有無(サブスクはともに含まれている)などもあります。しかし、数年乗れば純粋に支払う金額の総額にそんなに大きな違いはありません。
もう少し広く考えるとレンタカーやカーシェアリング、ライドシェア、タクシーと、車移動の手段はいろいろあり、経済合理性を考えると利用頻度によってはサブスクも割に合わない支出になるでしょう。利用頻度と細かい違いを比較することで、サブスクならではのサービスメリットが見えてくると思います。
結論から言えば、車のサブスクは誰にでも万能なサービスではありません。また、これは車に限ったことではなく、どのサブスクサービスにも言えることです。「サブスク疲れ」を回避するには、ユーザー側も、自分がサブスクのメリットを最大限に活かせるライフスタイルや経済的合理性に合うレンジにいるのかを見極めることが必要です。
サブスクサービスを選んでもらう3つのポイント
一方企業も、各サブスクにどのようなメリット・デメリットがあり、どのようなユーザーに適しているのかを明示することで、継続率の高いユーザーを確保することが可能になるでしょう。特に、サブスク以外でも同じ商品を提供している場合は、この部分は最も必要なポイントとなるに違いありません。
最近では飲食や衣料など様々なサブスクサービスがクローズ(閉鎖)しています。サブスクでなくても手に入る商品やサービスをサブスクにして売り出した結果、ユーザーの支持を得られなかったからです。中には想定以上に、ユーザーが殺到して企業のオペレーションや利益を圧迫してしまい、うまくいかなかったものも存在します。
企業がユーザーにサブスクサービスを選んでもらうには、明確な優位性を打ち出す必要があるでしょう。それは、大きく分けて3つあります。
- 魅力的な価格(サブスクの方が購入するよりお得であるということ)
- 利便性の高さ(サブスクにすることで手間や面倒が大きく省ける)
- 特別感(サブスクでしか受け取れないサービスを提供する)
ここでポイントとなってくるのが、1つ目の価格です。企業側はサブスクのほうが買うより得だからという論理で価格設定をしがちですが、ユーザーはサブスクを利用しないときもお金を払っているということに気づくと、一気にそのサブスクサービスを解約したくなります。*ユーザーは得だと思っていたのに、損をしていると一気に価値の転換が起きるのです。*たとえば、クレジットカードの明細を見た時に、使っていないサブスクのサービスの名称がいくつも羅列されていると、課金していることに疑問を感じ、解約したくなって「サブスク疲れ」を感じる場合もあるでしょう。ただし、ここで金額が高いと感じていても、高い利便性やサービスを使うことの特別感が勝っていれば、ユーザーが解約することを解消できます。
加えて、私は解約防止サービスの提供者として、ユーザーが解約を躊躇するサービスには以下の特徴があることに気づきました。
- 解約すると、それまでのデータやポイントが消えてしまうサーバーやストレージ系のサービス
- 「旦那さんが解約しようとしたら、奥さんがまだドラマを見ていた」というようなマルチユーザー利用サービス
また、現在のサブスクサービスはサービスの全てや特性を理解しないまま気軽に解約してしまうユーザーも多いため、解約ページでサービスの特徴を教えてあげることで解約を抑止できることもあります。
支持を得るには特別感を演出すること
現在のサブスクサービスは、ロイヤルユーザーと呼ばれる長期ユーザーにはメリットのないサービス形態のものが多く、今後は例えば、航空会社のようにロイヤルユーザーには何らかのインセンティブやアドバンテージを与える差別化も必要になってくるでしょう。初回無料や、プレゼントキャンペーンも新規ユーザー獲得のひとつの手法ですが、その費用は既存ユーザーの利用料金から捻出されていることを、既存ユーザーはおもしろく思わないのではないでしょうか。
ユーザー側は手軽だからといってむやみやたらにサブスクサービスの契約をするのではなく利用頻度やメリットを考慮して契約することと、企業側はサービスのメリットや特徴を正しく伝え、費用が高いと感じさせない特別感も演出することで良質なサブスクサービスを持続でき、ユーザーからの高い支持を得られ続けるでしょう。
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