特定取引商法に基づく表記を学ぼう~EC事業者編
この記事で学べること
・特定商取引法について学べる
・特定商取引法を表記する理由について
・特定商取引法の省略の可否について
どのネットショップにも必ず表記する義務がある*「特定商取引法に基づく表記」*です。
ネットショップの運営責任者について、情報を掲載するページについて、あなたのネットショップには表記しているでしょうか。
例えば、個人で運営されている方であれば氏名、住所、電話番号などオンライン上に載せるのにはやっぱり少し抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。
なぜ、記載が必要なのか、ネットショップに記載が義務付けられている「特定商取引法に基づく表記」についてご説明します。
特定商取引法とは
特定商取引法とは*「取引の公正性と消費者被害の防止を図るための法律」*と言い換えることができます。
商品の売買において弱い立場にたつ購入者を守り、また販売者を明示することで商品の流通や提供を明確化していくためのものになります。
モノが世の中に多く流通し始めた60年、70年代の日本の高度経済成長期に、訪問販売やマルチ商法など販売業者と消費者とのトラブルが増加し始めたということで、それを改善するために設けられた法律が基礎となっているそうです。
行政規制
特定商取引法では消費者への適正な情報提供のために、取引類型によって規制を設けています。万一違反行為が認められると罰則の
対象となります。
- 広告の表示(法第11条)
- 誇大広告等の禁止(法第12条)
- 未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法第12条の3、12条の4)
- 前払式通信販売の承諾などの通知(法第12条)
- 契約解除に伴う債務不履行の禁止(法第14条)
- 顧客の意に反して契約の申し込みをさせようとする行為の禁止(法第14条)
特定商取引法を表記する理由
購入者に安心して買い物をしてもらうための表記となり、ネット通販においても「特定商取引法に基づく表記」の表記義務が法律で求められています。お客様の立場からすると、顔の見えない人から商品を購入する不安を軽減するための表記と言えるでしょう。自分が購入者の立場に立ったとしても、しっかり情報を開示してくれているショップのほうが信頼感を抱くのではないでしょうか。
特定商取引法には以下の項目を記入する必要があります。
・広告の表示(法第11条)
- 1.事業者名
- 2.所在地
- 3.連絡先
- 4.商品等の販売価格
- 5.送料などの商品代金以外の付帯費用
- 6.代金の支払時期
- 7.代金の支払方法
- 8.商品等の引き渡し時期
- 9.返品の可否と条件
「特定商取引法に基づく表記」というページを設け、それぞれの項目に対する記載を行う必要があります。
どのネットショップにも必ずあるページなので、お気に入りのショップの表記を参考にしてみるのもいいでしょう。
氏名や番号など、項目の省略可否について
広告の態様は千差万別であり、広告スペース等もさまざまです。
したがって、これらの事項をすべて表示することは実態にそぐわない面があるので、消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面 (インターネット通信販売においては電子メールでもよい)を 「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、 下の表の通り、広告の表示事項を一部省略することができることになっています。(法第11条ただし書き)
なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法、申込みの有効期限等の取引実態に即して、 申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。 たとえば、インターネット・オークションにおいては、 通常、短期間の申込みの有効期限が設定されており、その直前に多数の者が競い合って申込みをすることも 多いため、 「遅滞なく」提供することは困難であると考えられます。
参照:特定商取引法ガイド
しっかりと法を理解し、運用していくことが大事になります。
決して違反にならないように過去の事例から学んで行きましょう。
違反事例と罰則
事例1:誇大広告による違反
大手ネット通販サイトを運営する企業の違反事例です。A社は色々なショップが集まる有名インターネットサイトを運営していますが、景品表示法違反によって摘発されました。その経緯は、あるショップの商品の価格表示が不当に表示されていたというものです。通常の価格とセール価格を二重に表示していましたが、通常価格として表示されていたものは実際には架空の価格設定だったのです。通常価格が高価な設定になっており、あたかも7割引かのように感じられるものであったため、有利誤認表示に該当し、景品表示法違反となりました。その結果、A社は再発防止の措置命令を受けました。
事例2:返品方法不明瞭表示による違反
テレビ通信販売で取り扱っていた、ニキビ用化粧品の返品方法不明瞭表示による違反事例です。オーガニック化粧品を扱うB社は、『効果がないと感じた場合はお気軽にご相談ください。』とだけ謳っていました。これでは返品できるか不明瞭であり、具体的な方法も示されていません。どんな場合、何日以内に返品ができるのか、またどのような方法で手続きをすればよいのか、返品特約はあるかなどを事業者は明示しなければなりません。B社は摘発され、再発防止の措置命令を受けました。
事例3:総合ショッピングモールへの改善指示
次に東京都より改善指示が出た、大手インターネットショッピングモールの事例を見てみましょう。ショップ登録していた健康食品を扱うC社は、販売するダイエット食品について『飲むだけでとにかく痩せる』などと大きな効果を謳っていました。しかし実質合理的な根拠はなく、消費者に優良誤認を与えるとして何度も注意を受けていたのですが、改善が見られませんでした。そのため誤りがあった旨の公示、自社従業員への周知徹底、再発防止の指示が出され、文書提出を求められました。
参考:景品表示法の主な違反事例及び運用に係る主なガイドライン等について
|内閣府
情報をオープンにすることが信頼感の醸成に
省略するか、しないかの部分が気になるところかと思いますが、省略できるとしても、本気でネットショップを成功させたいのであれば、できる限りの情報は記載すべきです。
お客さまは、顔が見えない人に対してお金を支払い、商品を購入するわけですから、法律に則って運営されているショップから購入したいものです。前述にも述べましたが、情報をオープンにしていくことは信頼感にも繋がります。
省略する場合は、すぐに情報を開示できる体制を整えるなどして、気持よくネットショップを運用していけるようにしていきましょう。
ここがポイント
・「特定商取引法に基づく表記」は消費者保護の観点から作られた法律
・「特定商取引法に基づく表記」はすぐに情報を開示できる状態であれば省略も可
・できるだけ詳しい情報を記載して情報をオープンにするほうが信頼に繋がる
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- ページ
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- 広告
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- 印刷物のカタログやパンフレットは、通常複数のページから成り立っています。インターネットのホームページもまったく同じで、テーマや内容ごとにそれぞれの画面が作られています。この画面のことを、インターネットでも「ページ」と呼んでいます。ホームページは、多くの場合、複数ページから成り立っています。
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