チャットボットとは、「チャット」と「ボット(bot)」をかけ合わせた言葉で、AIが自動で短文のチャットを送信し、訪問者と疑似的に会話を行いながらカスタマーサクセスや問い合わせ対応を行う機能を指します。ディープラーニングを応用した技術によって、会話の精度を高めることもできますが、企業のサイトに搭載するチャットボットは、より簡素で定型文のやりとりに特化したものが多いです。そうしたチャットボットはシナリオ型と呼ばれ、自社内で開発・運用できます。まずはチャットボットの概要から開発の手法まで、詳しく見ていきましょう。

チャットボットとは?

チャットボットには、特定のKWに対応して短い定型文を返す「シナリオ型」と、ディープラーニングによって疑似的な会話を実現する「AI型」の2種類があります。自社でツールを用いて開発できるのは前者の「シナリオ型」に限られますが、シナリオ型のチャットボットでも十分にカスタマーサクセスのコスト削減やリード獲得に活かせるので、ぜひ取り組んでみましょう。

チャットボット開発の方法

シナリオ型チャットボットの開発手法は、大きく4つに分けられます。

  • FBやslackなどのアプリが提供するAPIの活用
  • チャットボット開発フレームワークの活用
  • クラウド型の機械学習ツールの活用
  • チャットボット開発ツールの活用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

FBやSlackなどのアプリが提供するAPIの活用

FacebookやSlackなど、日常的に使っているアプリには、APIと呼ばれる「外部のサービスやツールと接続するための仕組み」が存在します。普段は使わなくても問題ありませんが、チャットボットを導入しようと考えた場合、こうしたAPIを活用するのが最も手っ取り早いのです。

日常的にSlackを活用している企業であれば、手始めにSlackのチャットボットを導入してみてはいかがでしょう。APIを活用すれば、特定のトリガーに反応して、事前に指定したワードをチャネルへ流す仕組みを構築できます。

例えば、お問い合わせ内容が自動で反映されるスプレッドシートを用意しておき、Slackと連携させます。トリガーは「スプレッドシートが変更されたとき」と設定しておけば、問い合わせが届くたびにSlackへ任意のメッセージを流せます。「問い合わせが届きました」という文面にしておけば、チャンネルを覗いている誰かがすぐに反応できますし、顧客の満足度にも直結するでしょう。

同様に、Facebookのメッセンジャー機能にもチャットボット機能を搭載しておけば、Facebookの広告経由でメッセンジャーから問い合わせが来た際に、任意の定型文を自動で返信できるので、ユーザーは知りたい情報がすぐに手に入り、顧客満足度が高まります。

まずはAPIを活用したチャットボット開発から着手して、チャットボットのイメージをつかむことをお勧めします。日常の作業がぐっと簡略化してしまいますよ。

チャットボット開発フレームワークの活用

チャットボット開発の手法として代表的なのが、開発フレームワークの活用でしょう。フレームワークとはプログラムのひな形を指した言葉です。ゼロからプログラミングをしてチャットボットを作るのではなく、あらかじめコーディングを簡略化するために用意された、チャットボットのフレームワークを活用することで、初心者でもチャットボットの開発が可能になります。

しかし、プログラミングが必要となることに変わりはないので、ある程度はチャットボットへの理解があったり、エンジニアとしての経験があったりする方が担当するのが良いでしょう。

クラウド型の機械学習ツールの活用

クラウド型のツールを活用するのもおすすめの開発手法です。先ほどのフレームワークとは異なり、プログラミングの経験がなくとも開発できるのが最大のメリット。コーディングせずに直感的な操作だけでチャットボットが作成できるので、会話の流れがイメージしやすかったり、誰でも作りやすかったりといった特徴があります。

デメリットとして、カスタマイズしにくく、決まった枠組みの中での機能搭載に留まりやすいという点が挙げられます。あらかじめツールの概要を把握しておくと、開発がスムーズに進められるでしょう。おすすめのツールを記事の後半で紹介しているので、そちらも参考にしてみてください。

オススメのチャットボット開発ツール

チャットボット開発の手法を理解したところで、おすすめのツールをいくつか紹介します。

APIやフレームワーク、クラウド型ツールのジャンルごとに紹介していくので、チャットボットを開発する目的や用途に応じて最適なツールを選んでみましょう。

【API】LINE Bot Designer

国内最大級のコミュニケーションツール「LINE」には、チャットボット作成用のAPIが用意されています。公式LINEアカウントの自動配信や自動対応機能を利用した方も多いと思いますが、あの機能はプログラミングの知識がなくとも搭載できるのです。

様々なユーザーシナリオ(会話の分岐やルート)に対応しており、利用が簡単な割に効果も高いのでぜひ導入してみましょう。もちろん、利用は無料です。

参考:LINE Bot Designer

【開発フレームワーク】Amazon LEX

Amazonの人工知能アシスタント「Alexa」と同じディープラーニング機能を利用できる、有名な開発フレームワーク「Amazon LEX」。音声認識機能を組み込んだチャットボットを素早く開発できるとして、様々な企業で導入されています。

日常的なユーザーとのやり取りからコールセンターでの自動対応にも利用できる、汎用性の高いチャットボットが開発できます。チャットボットは様々な用途で活用できますが、どのような用途で用いるチャットボットであっても、Amazon LEXを活用すれば開発できてしまうのがポイントです。

参考:Amazon LEX

【クラウド型ツール】Hachidori

国内初のAIを搭載したチャットボット「Hachidori」。従来のチャットボットの用途では、問い合わせをWeb経由に絞り、コールセンターを閉鎖してチャットボットの自動対応で完結させる、というコスト削減の役割が強くありましたが、Hachidoriはさらに発展してマーケティングにも活用できるのが大きなメリットです。

顧客のシナリオに合わせて最適なアクションを行い、リードの獲得や顧客との関係性強化に活かせるので、Webマーケティングを強化したいという企業様はぜひ導入を検討してみましょう。

参考:Hachidori

チャットボットは新時代のコミュニケーションの扉を拓く

新型コロナウイルスの影響を受けて、あらゆる業務がWebへと移行した現代において、チャットボットの重要性はこれまで以上に高くなっていると言えます。Webマーケティングが注目を集める中で、チャットボットは顧客との新たなコミュニケーションツールとして、今後さらに人気を集めていくでしょう。

この記事を参考に、自社でもチャットボットの導入について検討してみてくださいね。

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