昨今デジタルマーケティング領域において、データ活用がますます重視されるようになってきています。

例えば、Webサイトのアクセスデータ、SNSのインサイトデータ、Web広告の運用データ、そして顧客管理・CRM活動など、自社で蓄積したデータの活用がビジネスの要になっていると言っても過言ではありません。

しかし、「社内のあちこちにさまざまに異なる形でデータが散在している」「複数ソリューション間でデータ連携ができない」など、データ資産運用に関して課題を抱えている会社も多いのではないでしょうか。そういった課題を解決できるのが*「ETLツール」*です。

この記事では、「ETLツールとは何?」という方に向けて、その特徴やメリット、ビジネスにもたらすインパクトを解説していきます。

ETLツールとは?

データ分析領域で注目のITツール

ETLツールとは、近年、データ分析領域で注目されているITツールの一種です。「ETL」とは以下の頭文字を組み合わせたものです。

「E」=Extract(抽出する、切り出す)
「T」=Transform(変換する)
「L」=Load(積み込む)

デジタルマーケティング領域において、データ収集・加工・分析のプロセスがますます重要視されるようになってきています。

社内にExcel、CRM・SFAツール、BIツールなどあちこちに散在するデータソースを抱え、複数のソリューションにまたがるデータ連携に課題を抱えている企業も少なくないことでしょう。

ETLツールは、さまざまに異なる形式で分散しているデータを整理整頓し、データ資産を社内でもっと効率的に活用し、よりビジネス成果を上げるためのツールなのです。

「ETLツール」がビジネスにもたらすインパクトとは?

なぜビジネスで「データの整理整頓」が必要になってきているのか?

例えば社内に、顧客データベース、名刺データベース、売上データベースなど、いくつかのデータソースが存在しているとします。

その3つをすべて別々に、SFA・CRMツールで管理していたり、名刺管理ソフトで管理していたり、また、Excelで管理している場合もあり得ます。

すると、各ITシステムの提供元によってデータ形式や文字コードがバラバラに。いざ、複数ソリューション間でデータ連携しようとしても「データ形式がそもそも合わない!」といった問題が生じます。

あるいは、すべてExcelで管理していたとしても、各部門・担当者によって異なる形式で作成・運用されていることも起こり得ます。さらにExcel管理の場合、担当者が独自にマクロやVBAを組んでいることもあり、煩雑なスキルが属人化し、社内で効率的に仕組み化・共有できないという課題も発生します。

また、蓄積したローデータはそのまま利用するのではなく、用途に応じて加工作業が必要な場面も多々あるでしょう。

このような、社内のデータソース運用・活用の細かな課題を解決するために生まれたITツールが「ETLツール」なのです。各所に散在するデータを集め、一定の基準で整理したうえで、使いやすくまとめる役割を果たします

昨今、ITツールを活用したデジタルマーケティングの自動化や、デジタルトランスフォーメーション(DX)といったテーマに関心が向きがちです。しかし、そもそも社内で保有するデータ資産を、部門間を超えて効果的に連携・運用できなければ自動化やDXは実現しません。

「ETLツール」の導入は、言わば「DXの第一歩」とも言えます。

「ETLツール」のメリット

ノーコードで運用可能

「ETLツール」の大きなメリットは、プログラミング言語を記述しなくてもドラッグ&ドロップ操作など、ノーコードで運用可能な点です。

そもそもデータベースに理解があることが前提ですが、エンジニア職の人にわざわざ依頼せずとも、アナリスト、リサーチャーなどが自分自身で操作・データ加工することを可能にします。

さまざまなツールとのデータ連携がスムーズになる

ETLツールはデータ形式を一定のルールに整える役割を果たすため、さまざまなITツールとのデータ連携がスムーズになります。

昨今、MAツールやCRM・SFAツール、BIツールなど、外部ソリューションとのデータ連携を重視するITツールが実に数多く存在しています。

この、複数ソリューションにまたがるデータ連携・活用・分析といった局面で大きな効果を発揮し、デジタルマーケティングの効率化・自動化・DXを大いに後押ししてくれるツールだと言えます。

業務効率化できる

従来は、特定のデータソースから目的のデータを取り出し、用途に応じて手動で加工していたプロセスを、ETLツールによって自動化し、大幅に高速化・時短できます。

スキルの属人化を防ぎ、社内で効率的に仕組み化・共有することにもつながります。

代表的なプロダクト一例

無料で利用できるソフトウェア

オープンソースの「Talend Open Studio」

オープンソースのソフトウェアであり、完全無料で利用できます。

  • はじめてのデータ統合、ETLプロジェクトを効果的に開始
  • データの効率的な移行・連携を実現

ETLツールを初めて導入、かつ、コストを掛けたくない人におすすめのツールです。

Talend Open Studio

データ10,000行まで無料で利用できる「RapidMiner」

データ10,000行までなら、無料で利用できます。さらにトライアルとして、ダウンロードから30日間は有償版と同等の機能を利用可能です。

  • CSVなどのデータを読み込み、可視化。豊富な可視化機能でデータを理解
  • プログラムの知識がなくても、データサイエンティストが行うような高度な分析業務をドラッグ&ドロップの簡単操作でできる

データを可視化することに強みを持っているプロダクトです。

RapidMiner

有料ソフトウェア3選

国内シェアNo.1「ASTERIA Warp」

国内導入実績No.1のソフトウェアで、サブスクリプションライセンスは最安プランで月3万円からです。

  • 国内シェアNo.1 8,000社以上の導入実績
  • 豊富なデータソースに対応
  • ノーコードの簡単操作でさまざまな分析を高速に実現

ASTERIA Warp

純国産ETLツール「Waha! Transformer」

純国産のETLツールです。

基幹系システムからクラウドデータベース、Excelファイルまで、さまざまな環境のデータ抽出・加工・連携をSQLやプログラミングの知識なしでシームレスにつなぎます。シンプルな操作と高速処理で組織内外のデータ活用を加速します。

  • 10億件におよぶ大量のデータ処理実績
  • 日本のビジネス現場にマッチした日本語・中国語・英語のデータ加工処理
  • 構築スピードが高速、かつ、高いメンテナンス性でビジネス変化にも迅速に対応

Waha! Transformer

関数を知らなくても操作できる「Qanat2.0」

オンプレミスやクラウドなどさまざまなデータを、プログラミングなしで他のシステムへ連携・変換。業務の効率アップや、運用コスト削減が期待できます。

  • データの入出力は、アイコンと線で結ぶだけの簡単設計
  • 関数を知らなくても、直感的な操作で簡単にデータ変換
  • スケジューリング機能を搭載し、業務の自動化を実現

Qanat2.0

無料/有料ソフト それぞれのメリットと注意点

無料ソフトのメリットは、なんと言っても有料ソフトでは多大に嵩む導入・運用コストが不要であり、まずは気軽にトライアルできる点です。

注意点としては、

  • サポート体制がないので使い方を理解しにくい・覚えにくい
  • ソフトウェアの適切なバージョンアップが行われていない場合もあり得る

という側面です。

一方、有償ソフトは大きくコストがかかりますが、その分だけ、受けられるサービス内容が手厚いことがメリットだと言えます。

  • プログラムや関数が分からない人でも無理なく運用できるよう設計されている
  • サポートや研修体制が手厚く、使い方の理解を継続的にバックアップしてくれる

導入前に注意すべきポイント

本当に理解・操作できるかしっかりと検討が必要

ETLツールはこの記事でご紹介した製品以外にも、国内外に数多くのプロダクトが存在します。

「ノーコードでOK」「関数が分からなくてもOK」と謳う製品にも多々、出会うことになりますが、運用者のデータベース理解度・習熟度をしっかりと確認してから導入しましょう。

ノーコードで、ドラッグ&ドロップで視覚的に操作できると言っても、根本的には「データソースを必要な分だけ切り出し、変換し、出力するためのツール」ですから、そもそもデータベース用語や、その構造を理解している必要があります

特に有償版を導入するならば、事前にデモ画面やチュートリアルをよく見て「運用担当者のレベルに合っているか?」「本当に自社内で運用できるか?」をよく検討しましょう。

ETLの使い方を覚えるのに時間がかかる

そして、ETLツールとは一般的に、操作をマスターするためにある程度時間がかかるものだと言われています。運用担当者のデータベース理解度・習熟度とも関係しますが、ベンダーから継続的なサポート・研修が受けられるかどうかも、導入前によく確認しましょう。

導入コストが高い

また、ETLツールは導入コストが高いITツールだと言えます。

この記事内で紹介した有料ソフトの一つに「最安プラン月3万」というものがありましたが、扱うデータ量が膨大になれば、年間で100万単位の出費になることも想定されます。

「単なる高い買い物」に終わってしまわないよう、自社へ導入することで本当に業務効率化・自動化・DXを実現できるかどうか、「誰が運用担当者になるのか」「ツール導入によって改善・向上できる具体的な数値的目標は?」といった点を事前に明確に見据えましょう。

日頃からデータ運用に課題を抱えている方におすすめ

ETLツールは運用に成功すれば、データ連携・分析に大きな効用を発揮するツールであり、デジタルマーケティングの効率化・自動化・DXに寄与します。しかも、日々取り扱うデータ量が膨大である会社ほど、大きな恩恵を受けられるツールだと言えます。

日頃からデータ運用に課題を抱えている方は、導入前の留意点も踏まえて、ぜひ「ETLツール」の活用を検討してみてください。

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