BIツールの活用を検討する際、まずは無料のツールを使って操作性や効果を確認したいと考える方も多いのではないでしょうか。オープンソースのBIツールを使用すれば、自社の目的にあった分析機能を低コストで実装することが可能です。

この記事では、オープンソースBIツールの特徴や、無料で使えるBIツール6選、オープンソースのBIツールを導入する際のポイントについて解説します。オープンソースのBIツールを導入し、営業やマーケティング、経営計画などに活かしたい方はぜひ参考にしてください。

オープンソース(OSS)のBIツールとは?

おすすめのオープンソースBIツールを紹介する前に、まずはオープンソースソフトウェア(OSS)の概要について解説します。

OSSとは、ソフトウェアの開発元によってソースコードが公開され、一定の条件下における改良が許可されているソフトウェアのことです。一般的なソフトウェアと異なり、OSSでは必要な機能を自社で追加したり、不要な機能を省いたりすることができます。

また、OSSの多くは開発元のWebサイトからダウンロードし、無料で使用できることが特徴です。ただし、ソフトウェアのインストールや環境構築、ソースコードの改変にはプログラミングの知識が必要となります。

オープンソースBIツールの導入により、自社が管理する顧客情報や売上データなどを統合・分析し、業務の改善に役立てることが可能です。

無料で使えるオープンソースBIツール6選

オープンソースのBIツールにはさまざまな種類があり、扱えるデータの形式や分析機能、カスタマイズ性などが異なります。そのため、各ツールの特徴を把握したうえで、導入するソフトウェアを選ぶことが重要です。

以下では、無料で導入できるオープンソースBIツールを6つ紹介します。

Pentaho

Pentahoは全世界で500万回以上ダウンロードされた実績を持つ、OSSベースのBIツールです。ビジネスデータを抽出・整理するための「データ統合基盤」と、データを分析・可視化する「データ分析基盤」によって構成されます。

主要なデータベースから情報を取得するための接続部品が100種類以上用意されていることがPentahoの特徴です。そのため、最新の技術によって作られたシステムともいち早く連携できます。

また、項目をドラッグ&ドロップで視覚的に組み合わせて処理の流れを定義したり、多次元でデータを分析したりできることもPentahoのメリットです。

参考:Pentahoの特徴

Grafana

Grafanaはデータを可視化するダッシュボードの構築に特化したOSSのBIツールで、担当者ごとに異なるダッシュボードが作成できます。ただし、Grafana単独ではデータを蓄積する機能を持たないため、ElasticsearchなどのデータベースやNoSQLとの連携が必要です。

Grafanaは30種類のデータソースに対応していて、表やグラフを使った視覚的な分析が簡単に実行できます。Zabbixなどの監視ソフトウェアのデータを読み込んでダッシュボードに反映することも可能です。

参考:Grafana:オープンな可観測性プラットフォーム|グラファナラボ

Kibana

Kibanaはビッグデータの解析ツールなどを提供するElastic社が開発したOSSのBIツールで、同社のデータベースであるElasticsearchとの連携に特化しています。

ほかのBIツールと比較して、使用できるグラフの種類が豊富であることがKibanaの特徴です。時系列でデータ分析をするためのグラフや円グラフなどを用いて、直感的にわかりやすい形でデータが整理できます。

ただし、Kibanaは担当者ごとに異なるダッシュボードを作成することができないため、複数のユーザーで使用する際は注意が必要です。

参考:Kibana-データを探索、可視化、分析|Elastic

Redash

RedashはRedash社が提供するOSSのBIツールで、50種類以上の幅広いデータベースに対応しています。MySQLやBigQueryなどのデータベースだけでなく、Googleスプレッドシートなどのサービスからもデータの取得が可能です。

Redashでは、データソースごとに閲覧または編集の権限を設定できます。ただし、Redashを活用する際はSQLやPythonに関する知識が必要です。

参考:Redash helps you make sense of your data

Graylog

GraylogはGraylog社が提供するOSSのBIツールで、データの収集から処理、分析、可視化まで幅広い機能を持っています。Graylogは収集したデータを高速で解析でき、欲しい情報をリアルタイムに可視化できることが特徴です。

また、Graylogは対応しているデータベースの種類も幅広く、既存のシステムと連携しやすいBIツールとなっています。さまざまな形式で蓄積されているデータを統合し、ダッシュボードで可視化することが可能です。

GraylogはLDAP認証やActiveDirectoryに対応しているため、ユーザーごとに異なる権限を付与して使用できます。

参考:業界をリードするログ管理|グレイログ

Metabase

MetabaseはJavaで開発されたOSSのBIツールです。MySQLやOracle、SQliteなどを含む12種類のデータソースと連携し、豊富なグラフを活用してダッシュボードを作成できます

MetabaseはSQLの知識が無くてもデータベースが活用できるクエリビルダー機能を搭載しているため、エンジニア以外のユーザーであってもデータの検索や分析が可能です。

また、jarファイルのダウンロードによって簡単にインストールできることも、Metabaseの特徴となっています。

参考:Metabase

オープンソースBIツールを導入する3つのポイント

オープンソースのBIツールを導入する際は、必要な機能を明確化しておくことや、運用について事前に決めておくことが重要です。

以下では、特に注意するべき3つのポイントについて解説します。

BIツールの使用目的に合わせて選ぶ

オープンソースのBIツールを導入する際は、BIツールを何のために使用するかを明らかにしましょう。導入目的によって、最適なBIツールは異なります

例えば、顧客データを一元管理し、カスタマーサポートや販促キャンペーンに活かしたい場合は、ユーザー情報を分析しやすいBIツールが有用です。また、営業のパフォーマンスを高めることが目的なら、セールスプロセスの進捗やタスクまで管理できるBIツールが向いています。

カスタマイズできる範囲を確認する

プログラムのソースコードを自社向けに改変してBIツールを使用する場合、カスタマイズ可能な範囲を確認しておくことが重要です。開発元が公開するドキュメントを確認し、実現したい機能を実装できるかチェックしましょう

開発がある程度進んでから足りない機能に気づいた場合、それまでの工数が無駄になってしまう可能性があります。

導入後の運用について決めておく

オープンソースのBIツールを導入する際は、導入後にどのようなデータを入力し、何の業務に活用するかを決めておくことも大切です。運用体制が曖昧な状態でBIツールを導入すると、活用されずに終わってしまう場合があります

また、大量のデータを扱う場合や、セキュリティ性を高めたい場合は、有償BIツールも視野に入れて検討しましょう。有償のBIツールなら、大量のデータを短時間で分析したり、機密性の高い情報を扱ったりすることも可能です。

まとめ

オープンソースのBIツールは、開発元が公開するソースコードを改良し、自社の目的にあわせてカスタマイズできます。また、無償で利用できることがオープンソースBIツールのメリットです。

ただし、オープンソースのBIツールをカスタマイズする際は、プログラミングの知識が必要となります。また、より本格的な運用を行う場合は有償のBIツールも視野に入れて検討することが大切です。

低コストでBIツールを試してみたい方は、まずはオープンソースのBIツールを導入してみてはいかがでしょうか。

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