ユーザーの消費行動を体系立てる際に使用されるのが、「AIDMA」「AISAS」という2つのフレームワークです。
どちらもユーザーが商品やサービスを購入する際のプロセスをモデル化したものですが、2つの意味の違いを理解できているでしょうか。

今回は、区別が難しいAIDMAAISASのそれぞれの意味と活用背景をご紹介します。
それぞれどのようなシーンで活用すると効果的なのかを理解し、自社のマーケティングに活かしましょう。

目次

  1. AISAS(アイサス)とは
  2. AIDMA(アイドマ)とは
  3. AIDMAやAISAS以外の消費行動フレームワーク
    1. AISCEAS(アイセアス)
    2. AIDA(アイダ)
    3. AIDCA(アイドカ)
    4. AIDCAS(アイドカス)
    5. AMTUL(アムツール)
    6. SIPS(シップス)
    7. AISA(アイサ)
    8. ARCAS(アルカス)
    9. AIDEES(アイデス)
    10. SAIDCAS(サイドキャス)

AISAS(アイサス)とは

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AISASとは、AIDMAの考え方をインターネットが普及した現在の消費行動にあてはめたものです。
インターネットによる購買行動の主流化に合わせ、電通が提唱したモデルです。2005年6月に商標登録されています。

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Search:検索
Action:購買行動
Shere:共有する

SNSが普及した今、商品を購入したらブログTwitter、Facebook、インスタグラムなどに投稿し、友人にシェアするという行動が一般的になっています。
モデルなどのインフルエンサーがインスタグラムなどのSNSで商品を紹介すると爆発的にヒットするという現象も起きています。

さらに、何かを探す時はGoogle、Yahoo!などの検索エンジンではなく、SNSを利用するという人も増えてきました。こういった風潮がある中で、「share(共有)」をプロセスの1つとして置いている「AISAS」は、今後のマーケティング戦略を考えるうえで重要なフレームワークだと言えるでしょう。

aisas.png

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AIDMA(アイドマ)とは

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AIDMA(アイドマ)とは、1920年代にアメリカの著作家、サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された概念です。
ユーザーの購買決定プロセスを説明するためのフレームワークのひとつで、以下の単語の頭文字を取って構成されています。

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Memory:記憶
Action:購買行動

購買決定プロセスを5つに分解し、ユーザーのモチベーションがどの段階にあるのかを見極めることで、ユーザーに応じたコミュニケーションを行い購買に結びつけることが可能となります。

Attentionでユーザーは、まずはじめにテレビCMや雑誌、インターネット上などで商品やサービスについて認知します。
続いて、Interestで目にした商品やサービスが好きか嫌いか判断し、Desireで自分に必要か否かを検討し、Memoryで記憶します。
最後に、購買の意思が固まったら購買行動を起こします。これがActionになります。

特に、住宅や自動車など、商材を認知してから購入までの期間が長い・ユーザーが購入のための検討を繰り返し行う商材について、AIDMAフレームワークを活用したマーケティング活動は有効とされています。

aidma.png
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AIDMAやAISAS以外の消費行動フレームワーク

AISCEAS(アイセアス)

AISCEASとは、アイセアスまたはアイシーズと呼ばれ、2005年5月の広告雑誌の中でアンヴィコミュニケーションズの望野氏が提唱した、消費者が購買へ至る段階を説明するモデルの事です。

この理論では、購買プロセスを

Attention :注意(広告やメディアに注意をひかれる)
Interest:関心(興味・関心を持つ様になる)
Search:検索(インターネット等で情報収集)
Comparison:比較 (様々な製品を比較)
Examination:検討 (購買を検討する)
Action:購買(購買をする)
Share:共有(購買した製品の感想や他者との共有を行う)

の7段階で説明しています。

マーケティングの分野では、購買プロセスの説明として前述した

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Memory:記憶
Action:購買行動

という5段階で表現したAIDMA(アイドマ)が有名ですが、このモデルでは、ネット等での情報収集を行い、比較・検討を行う事、また、購買後にレビューやSNS等での拡散などの他社との共有を行う事、の行動プロセスを加えられている事が特徴です。

AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)とは、米国の広告唱道者セント・エルモ・ルイスが最初に提唱した消費行動モデルです。その後、1920年代にアメリカのE・K・ストロングが論文で示し、有名になりました。
AIDMAの元となった概念で、日本ではAIDMAの方が知られていますが、アメリカでは現在もAIDAの方が一般的に用いられています。

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Action:購買行動

それぞれの文字の意味はAIDMAと同じです。ただMemory(記憶)の有無という違いがあります。
住宅や自動車といった高額商材の場合は「記憶」し検討するプロセスが重要になるため、AIDMAの活用が適していますが、低価格で身近な商材の場合は即決で購買行動を起こすと思われるため、AIDAを活用する方が向いているといえます。

ユーザーの購買決定プロセスは、AIDAによって初めて概念化されました。
AIDAの登場により、それまでのユーザーの行動やモチベーションの段階を無視したものとは異なる、効率的なマーケティング活動が行われるようになったのです。

AIDCA(アイドカ)

AIDCA(アイドカ)はAIDMAと同じく、ユーザーの購買決定プロセスをフレームワーク化したものです。

5文字のうち4文字は同じ意味ですが、ちがいは4段階目。AIDMAではMemory(記憶)ですが、AIDCAではConviction(確信)となっています。
「確信」とはその商材に対して、購買する価値があると考えを固める行動です。

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Conviction:確信する
Action:購買行動

AIDCAはダイレクトマーケティングで活用されます。ダイレクトマーケディングのユーザーは、不特定多数ではなく見込み客です。

商材に興味を持つだろうと思われるユーザーのため、一般的な広告よりも多い情報を最初から提供することができ、通常のマーケディングのユーザーよりも購買行動をとりやすいと考えられます。そのため「欲しい」と思ってもらった後、「記憶」という段階を踏むことなく、購買すべきという「確信」を持ってもらう段階となり、「購買行動」へと進む流れになります。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)はAIDCAの概念に、6段階目としてSatisfaction(満足)を加えたもの。AIDCAと同じく見込み客を対象としたダイレクトマーケティングで活用される、ユーザーの購買決定プロセスのフレームワークです。

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Conviction:確信する
Action:購買行動
Satisfaction:満足

「満足」とは購買後のユーザーの行動。例えば通信販売なら、商品の梱包が丁寧だった、配送までの時間が短かった、返品や交換の要望にすぐ対応してくれた…など、アフターサービスを丁寧に行い「ここでこの商材を買ってよかった」と思ってもらうことです。AIDCASを活用することで期待できるのは、購買行動を起こしたユーザーリピーターにすること。「購買行動」をゴールとせず、その先の「満足」を得てもらうことまでユーザーの購買決定プロセスとして考慮することで、リピート率を高めるマーケティング戦略をとることができます。

AMTUL(アムツール)

AMTULはユーザーの購買決定プロセスを説明するためのフレームワークの一つで、水口健次氏が提唱しました。
経済評論家の水口氏は日本マーケティング研究所の設立への参画や、マーケティングを学ぶ人たちを支援する国際組織・MCEIの東京支部の設立・理事長を務めるなど活躍していて、日本におけるマーケティング業界の草分けの一人です。

Aware:興味を持つ、認知する
Memory:記憶する
Trial:接触する、試用する
Usage:利用する(初めて購入する)
Loyalty:常用する(継続して購入する)

購買決定プロセスモデルとして有名なAIDAやAIDMAが「Action(購買行動)」をゴールとしているのに対し、AMTULのゴールはユーザーと長期的な関係を築くこと。
1回きりの利用ではなく継続して利用してもらうタイプの商品やサービスの場合、AMTULによるマーケティング戦略は適しています。

またAMTULでは各段階においてユーザーに対しどれだけ目標を達成できているか、調査するための項目が設定されています。

Aware:再生認知率
Memory:再生知名率
Trial:使用経験率
Usage:主利用率
Loyalty:今後の購買意向率

SIPS(シップス)

SIPSはソーシャルメディアの普及に対応した、消費行動プロセスモデルです。考案したのは最大手広告代理店・電通。
そのクリエイティブディレクターである佐藤尚之氏を中心とした社内組織「サトナオ・オープン・ラボ」(現在は「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」)が、2011年に提唱したのが始まりです。

Sympathize:共感する
Identify:確認する
Participate:参加する
Share & Spread:共有・拡散する

近年日本でもソーシャルメディアの普及が伸びていることから、今後ユーザー広告のコミュニケーションは変化すると予想されます。

例えばテレビや雑誌のようなマスメディアによる広告では、企業側がユーザーに一方的にメッセージを届ける構図のため、情報を広めるには「注目」されることが重要でした。しかしソーシャルメディアによる広告では、企業側のメッセージはユーザー同士のつながりによって情報が伝わっていく構図です。そのため情報を広めるには「共感」されることが重要になります。

電通の提唱する消費行動プロセスモデルには他にAISASという有名なものがありますが、ソーシャルメディアに関係の深い商品やサービスを扱う場合、SIPSを用いたマーケディング戦略が適していると言えます。

AISA(アイサ)

AISAはユーザーの購買決定プロセスモデルの一つです。その特長はソーシャルメディアの影響力に着目しているところです。

Attention:注目する、知る
Interest:興味を持つ
Social Filter:ソーシャルフィルター
Action:購買行動

AISAと聞くと、電通の提唱した有名なAISASを思い浮かべる人もいるでしょう。しかしこの両者の違いはAIDAとAIDMAのように、1文字増減するだけのものではありません。この両者では2つのA、それにIの意味は共通ですが、3文字目にあるSの意味が異なります。

AISASのSは「検索」ですが、AISAのSは「ソーシャルフィルター」です。

近年ソーシャルサーチのアクセス数がGoogleなどサーチエンジンを追い抜き始めました。検索を利用し能動的に情報を集めるよりも、ソーシャルメディア上で受動的に情報と接点を持つ方が主流となってきています。後者の場合、接点を持った情報の取捨選択もソーシャルフィルター、すなわちソーシャルメディア上の反応で決める手法が用いられることが少なくありません。

ソーシャルサーチ、ソーシャルフィルターの時代に対応するべく考案されたモデルがAISAなのです。

ARCAS(アルカス)

ARCASはユーザーの消費行動プロセスモデルの一つです。
最大手広告代理店・電通が提唱したもので、店頭販売におけるマーケティングに用いられます。

Attention:気づき
Remind:思い起こし
Compare:比較
Action:購買
Satisfy:満足

ARCASでは来店から購入後の再来店までのユーザーの行動を体系的に整理しています。

商品や売り場に気づいたユーザーは、次いで普段の生活やこれまでに目にしていた広告などを思い出し、購入する動機付けをします。さらに商品を比較することで理性的に購入する意思を決定し、購買行動を起こします。その商品や店での接客に満足すれば、再来店の流れになるでしょう。

また、ARCASは店内におけるユーザーの消費行動プロセスを追うものですが、店頭販売におけるマーケティングでは来店前のユーザーへのアプローチも要因となります。
O2O(Online to Offline)と呼ばれる、ネット上でユーザーにアプローチし来店を促すプロモーション方法もあります。

AIDEES(アイデス)

AIDEESはインターネット時代における「共有」に着目した、新しい消費行動プロセスモデルの一つです。
ユーザーが商品を知ってから購入するまでを追い、購入後も視野に入れています。元東京大学大学院教授の片平秀貴氏が提唱しました。

Attention:注目する、知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいと感じる
Experience:体験する、購入する
Enthusiasm:感動する、心酔する
Share:共有する、推奨する

1文字目〜3文字目までは、消費行動プロセスモデルの中で長年用いられているAIDAやAIDMAと同じで、4文字目の購買行動に続く2つが特長です。
ユーザーの購買行動による満足が感動・心酔するほどになれば、それを誰かに伝えたいと思い、共有の行動を起こします。

インターネット時代ではユーザー同士のつながりがマーケディングの大きな要因となります。
ユーザーの商品やサービスに対する好意的な感情が共有されていけば、それは「口コミ」となって広がり、商品の認知やイメージ作りに影響を与えます。
AIDEESによるマーケティングが成功すれば、企業が広告費をかけてではなく、ユーザー自身が広告の役割を果たしてくれるのです。

SAIDCAS(サイドキャス)

SAIDCASはインターネット時代に対応する新しい消費行動プロセスモデルの一つで、GMO(GMOインターネット株式会社)が提唱しました。
GMOはインターネット関連事業を手掛ける上場企業で、SAIDCASは自社の営業でのマーケティング成功事例から作り出されたものです。大口顧客を開拓し、需要を伸ばしていくことを目的としています。

Search:検索
Aware:認知
Interest:興味
Desire:欲求
Conviction:確信
Action:行動
Satisfy:満足

まとめ

AIDMAAISASは、ユーザーの購買心理を理解するという大きな括りでは同じ意味を持ちますが、商材や狙いたいターゲット層によって使うべきフレームワークは異なります。

雑誌やカタログ、店頭販売など、主にオフラインでの接点が多い商材であればAIDMA、SNSなどインターネット上でのコミュニケーションが重要なサービスの場合はAISASというように、フレームワークを使い分けるようにしましょう。

ただ、もっとも重要なのは、「自社のユーザーがどのような行動を取っているのか」を把握することです。フレームワークに捉われすぎては本末転倒です。
自社のユーザーの行動をアクセス解析やSNS等で確認し、彼らの行動をフレームワークと照らし合わせて体系化していくようにしましょう。

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