今回は、D2Cソリューションズ主催のメディアイベントの一環として開かれた、wotopiの海野優子氏とPouchの中村百恵氏による「2016年の女性メディア戦略」をテーマにしたトークセッションの様子をお送りします。

登壇者紹介

wotopi ウートピ編集部プロデューサー 海野優子氏

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女性向けニュースサイトとして2013年にリリースした「ウートピ」のプロデューサー。事業戦略からサイト運営、広告営業、PRなど全般を担当。現在、ダイヤモンド社出身の編集長を筆頭とした編集チームとともにサイトを運営し、コンテンツの質が低いと言われがちなweb業界において、随一のブランドメディアを目指す。月間ユニークユーザー数は200万人。

Pouch 編集アシスタント 中村百恵氏

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「かわいい! 楽しい! ちょっと変!乙女に素敵を贈っている」をコンセプトとした女性サイト Pouch[ポーチ] 。月間ユニークユーザー数は300万。ひとりでも多くの女性がポーチのゆる〜い記事を見て、ギスギスした心を少しでもほぐしてくれるようにと願いつつ編集部で日々奮闘中。たまに姉妹サイト・ロケットニュース24で身体を張っています。

そもそも、女性メディアとは?男性メディアと何が違うのか?

中村氏:
Facebookの女性の投稿を見ると、美容・おしゃれ、旅行、恋愛、グルメ系が多い印象ありますよね。
やっぱり女性ってこういうものに興味を持つ傾向が強く、「良い女になるぞ」とか「リア充になるぞ」という気持ちを後押しするのが一般的な女性メディアかなと。

Pouchの場合は、「そんなに頑張らなくていいんじゃない?」というニュアンスをもたせた等身大なメディアをテーマにしています。
クスッと笑ってホッとできる時間を、Pouchというフィルターを通して提供したいですね。

私は、「良い女になろう」っていうのはすごく疲れることなんじゃないかなって思うんです。
昔、テレビ局に勤務していた時、すごく楽しかったんですけどほぼ遊ぶ時間がなくて。
Facebookの友人女性の華やかな投稿を見るのがとても辛かったんですよね。

そんな時に、ゆるくて可愛らしいな、面白いなと思って読んでいたのが「Pouch」だったんです。
そういう人に響いてくれたらいいなと思っています。

海野氏:
男性向けメディアと女性向けメディアとでは、売上の作り方が違うのではないかなと思っています。

まず、メディアの売上の立て方は大きく2つあると思います。
1つは、マス向けのメディアとしてとにかくPVを増やして広告収入を得る。
もう1つはターゲットを絞って、ターゲティングメディアとしてスポンサードをつける。

そこを踏まえたうえで考えると、まず女性ってSNSでシェアってなかなかしないですよね。
男性に比べて、サイレントに情報収集している印象があります。
そういう意味でいうと、2つ目のモデル(ターゲティングメディア)を取った方が、女性メディアは売り上げを立てやすいかなと思います。

さらに言うと女性は男性に比べて、独特の課題を持っているんじゃないかなと思います。
不倫や浮気など人には言えない課題から、結婚式の時に着るドレスの形まで、いろんな分野でとても細かい課題を持っています。
そのような課題にしっかり応えてあげることによって、ユーザーはついてくるのかなと。

PV規模が小さくても、それなりにやっていけるメディアさんはたくさんありますよね。
ターゲティングメディアの可能性は多いにあるかなと思います。

この先、女性メディアは生き残れるのか?

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中村氏:
うちの場合は「かわいい 楽しい ちょっとヘン! 乙女にステキを贈る」というコンセプトを守っていくだけかなと思います。
いかに読者を裏切らないか。
コンセプトに沿ったコンテンツを、等身大目線で提案し続けることが重要かなと。

海野氏:
生き残れるかどうか、今からが勝負だと思っています。

PVを量産していくモデルって、もう厳しいなと思っていて。
今後の女性メディアは、ターゲットを絞って、ターゲットに向けたコンテンツを作ってブランドを形成していくしかないかなと。

PV欲しいだけなら、まとめサイト作ればいい話ですよね。
PVってカサ増しできちゃうし、ポータルに依存している部分もあります。
このままではメディアは儲かりません。

なので、プロにしかできないコンテンツを地道に作って、ブランドを作っていかなきゃいけない。
女性雑誌に比べると、Webメディアってまだまだブランド力って弱いですよね。

紙媒体に負けないくらいのブランドを作って、Webならではのコンテンツを作れば差別化もできます。
そうすることで、紙に流れていたユーザーにも見ていただけるんじゃないかなと考えています。

Webは面白いコンテンツを「発掘」していくべき

中村氏:
ウートピで、読まれるために工夫していることはありますか?

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海野氏:
いろいろありますが、1つは「知名度」よりも「発掘」だと思います。
ウェブは面白いものを発掘することはオリジナリティになりますし、ブランディングにつながるかなと思っています。

紙媒体って、オリジナルで発掘することができていると思うんですね。
一方、Webは紙媒体の恩恵に預かっているところもあります。
そこを、Webで新しく発掘していけるようになりたいですよね。

あとは、ネタの企画出しは一番力を入れています。
編集部としての企画力はとても大事ですね。

あとすごく細かいんですけど、タイトルは大事です。
クリックしやすいタイトルにするのは大事。でも煽りすぎるとブランドを毀損するので、バランスを考えながらやっています。