ニールセン株式会社の発表において、日本での「Instagram(インスタグラム)」アプリの利用者数が2016年4月に1000万人を突破したという報告がなされています。

参考
「Instagram」アプリの利用者数が2016年4月に1,000万人を突破 ~ニールセン、スマートフォンアプリの利用動向を発表~

日本でのインスタグラム利用者が増加したことにより、最近は個人のみならず、企業や団体が所有するアカウントも多くなってきました。
今回はインスタグラム運用の実践例として、最新テレビドラマのアカウント事例をご紹介いたします。
自社のブランディングや世界観の構築する際に、ぜひとも参考にしてみてください。

『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』

日本テレビ系列で放送中(2016年10月期 水曜ドラマ)の『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』。石原さとみさん主演の本ドラマも、TwitterやLINEも織り交ぜながらのプロモーションに力を入れています。

インスタグラムでは、石原さとみさんがドラマで身につけている洋服をプッシュし、ファッションや着こなしに興味のある層からの注目を集めているのが特徴です。

悦子のお洋服? #地味スゴ #2話 #河野悦子

【公式】水ドラ『地味にスゴイ!』さん(@jimisugo)が投稿した写真 -

ポイントは、ドラマの内容・ストーリーではなく、写真映えするファッションに焦点を当てている点です。
インスタグラム内では衣装ブランドについてのコメントが数多くつき、投稿の着こなしを分析するブログTwitterを始めとしたSNS上でのクチコミなどが発生しています。

ドラマの細部を投稿素材として利用し、認知を促すプロモーションに活かしています。
必ずしもプロダクトやサービス自体を押し出すのではなく、そこに付随する小物・アクセントなどを投稿する発想は応用しやすいのでオススメです。

『逃げるは恥だが役に立つ』

TBS系列で放送中(2016年10月期 火曜ドラマ)の『逃げるは恥だが役に立つ』。新垣結衣さん主演の本ドラマは、放送開始当初からSNSを活用したプロモーションが話題となっていました。

インスタグラムでは主人公の「住み込みの家政婦」という設定を生かし、ドラマの中の生活感溢れる写真が散りばめられています。
例えば食事のシーンでは、料理レシピのコミュニティウェブサイト『クックパッド』との連携を活かし、配膳された料理を絡めた写真を投稿しています。

ポイントは、テレビ局の自社コンテンツのみならず、提携会社を巻き込んでのプロモーションを行っていることです。
それぞれのコンテンツを組み合わせたマーケティングを仕掛けているため、双方のファンを巻き込む認知拡大施策が特徴です。

広告費に限りのある飲食店などでは、このように自社の食材を活かした投稿写真・文面が参考になるかもしれません。

『真田丸』

2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』も積極的にインスタグラムを運用しています。大河ドラマでは中世や近世が舞台であるため、当時の様子を再現したセットを用いています。インスタグラムでは、そのセットを活かした画像を頻繁に投稿しています。

ポイントは、ドラマ制作の上で必要になった空間を活かしていることです。特に大河ドラマでは、現代では接することが難しい「非日常」な空間を演出できるため、その空間を存分に活かすことが可能となります。
住空間を扱っている不動産業やリフォーム業、建築業などの方は参考となるかもしれません。

『べっぴんさん』

平成28年度後期のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』
実はNHKの「朝ドラ」はここ数年インスタグラムの運用にも力を入れており、前作の『とと姉ちゃん』アカウントでも10万人以上のフォロワーを獲得しています。『べっぴんさん』でのインスタグラム運用では、主人公のキャラクターを前面に活かしているのが特徴です。主人公が子供服メーカーの先駆けである『ファミリア』の創業者であることから、インスタグラムでは子供役の子と一緒に写っている場面を数多く投稿しています。

* ロケのお楽しみ、ロケ弁! どれにしよっかなー? :* #連続テレビ小説 #朝ドラ #べっぴんさん #芳根京子 #すみれ #渡邉このみ #小すみれ

NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」さん(@nhk_beppin.san)が投稿した写真 -

ポイントは、ドラマでの日常的な風景を写真に収めていることです。子供の屈託のない笑顔や所作にフォーカスし、飾らない日常の場面が数多く投稿されています。

このドラマの場合は、「モノ」ではなく「コト」の文脈でインスタグラムの世界観を形成しているのが特徴です。
被写体となる人同士の関係性に焦点を当てることにより、投稿を目にした人からのアクションを促しています。
製品・サービス自体の画力が欠ける場合は、このような手法を取り入れることをオススメします。

運用のカギは「衣食住」と「ライフスタイル」

インスタグラムのトレンドとして「衣食住」の領域と相性が良いという分析があります。上記の例で当てはめますと、「衣」に焦点を当てた『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』、「食」に焦点を当てた『逃げるは恥だが役に立つ』、「住」に焦点を当てた『真田丸』のように、それぞれの投稿がインスタグラムの世界観に上手く溶け込んでいるのがわかります。

また、『べっぴんさん』のように生活感や家族にフォーカスした日常感溢れるシーンを見せるという手法もあります。必ずしも着飾る必要はなく、「伝えたい世界観」を意識することで、インスタグラムがコンテンツの魅力を伝える手段ともなり得るのです。

まとめ

日本での利用者数が、2015年に比べて"184%"と急激な成長をみせているインスタグラム。
結果的に今年4月時点で利用者数が1000万人を突破し、これからもさらなる利用者数の増加が見込めることから、企業プロモーションにおける重要性も高まってきています。

インスタグラムの特性を活かした上で、マーケティングやビジネスという側面で積極的に活用してみてはいかがでしょうか。