ファシリテーションの効果を発揮するためのポイント

ファシリテーションを実現するには、相手の意見を引き出す問いかけを行い、常に参加者の意見を書き出すなどのスキルが必要です。

そうは言っても、最初からファシリテーターのスキルを持った人はほんの一握りしかいません。今回ご紹介する手法はスキルを持っていなくても取り組みやすい内容です。
まずは、ファシリテーションのイメージを掴むために、会議の枠組み作りから学んでいきましょう。
  

グランドルールを決める

意見交換の前に会議の参加者全員が共有するグランドルールを決めます。壁に貼ったり、ホワイトボードに書いたりして、全員が常に意識できるようにしましょう。

代表的なものとしては以下の4つが挙げられます。

1)「参加」積極的、主体的に参加しよう
2)「尊重」お互いを尊重し、傾聴しよう
3)「守秘」個人的な情報は会議の外に持ち出さない
4)「時間」時間を守ろう
引用: ファシリテーションの基礎|平成 21 年度 行政と NPO をつなぐ・ファシリテーター養成セミナー (PDF)
  

アイスブレイク

アイスブレイクとは、人と人のわだかまりを解き、会議や商談の前に話し合うきっかけを作り出す会話やミニゲームやクイズ、運動のことです。話し合いやすい空気を作り出すために、アイスブレイクを意識して取り組んでみましょう。

参考:アイスブレイク|日本の人事部
  

ワールドカフェ

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ワールドカフェとは、会議形式とは異なるカフェのような席の配置と入れ替えを行うことで会議を活性化させようという手法です。カフェの雰囲気を再現するために、テーブルにはお菓子や飲み物、花などの飾りが置かれ、飲食は自由にします。

各テーブルで司会者(ホスト役)を決め、テーブルにある模造紙に書き込みながら、共通の話題について話し合います。20分後、司会者のみ席に残して、ほかのメンバーは席を移動します。そこで、先ほどのテーブルで話し合ったことを共有しながら、テーブルにある模造紙にさらに書き加えていきます。

この流れを繰り返し、最後にははじめに話し合ったテーブルに戻り、ほかのテーブルでどのような話があったのかを再度共有します。特にアイデアを出していくのが目的の会議に適した手法です。

参考:ワールドカフェ|ライト・けあ
  

ブレインストーミング

ブレインストーミングとはテーマに沿って、参加者全員がアイデアを書き出して模造紙やホワイトボードに貼り付けていくことで、アイデアを広げていく手法です。

1. テーマを提示する
2. 時間を決めて、ほかの人と話すことなくアイデアを書き出す
3. 全員立って、自分のアイデアを模造紙やホワートボードに貼り付ける
4. 似たようなアイデアをまとめながら、新しいアイデアを追加していく

基本的には上記のような流れで行い、2で最低限出すアイデアの数を事前に決めておいたり、似たようなアイデアをまとめる際に見出しを追加したり、必要に応じてアレンジを加えます。

参考:ポスト・イット®を使ったブレインストーミング(ブレスト)でのアイデア出しのルール、方法、手順|3M

詳しくはこちらの記事でもご紹介しているので、よかったら参考にしてみてください。

使わないなんてもったいない!アイデア出しから思考の整理まで!最強フレームワーク8選|ferret
  

ファシリテーション・グラフィック

ファシリテーション・グラフィックとは、会議で話し合った内容を文章やイラストなどでわかりやすく表現したものです。

タイプは大きくわけて3つあります。

1. リスト型……議論の流れを時系列に沿って、書き出したもの
2. マンダラ型……意見の関係性を捉えながら、テーマの周囲に内容を書き込んでいくもの
3. 図表型……ロジックツリーやマトリクスを用いて、アイデアを図式化したもの

ファシリテーションにおいて大切なのは、アイデアを「発散させ」「収束させる」ことです。アイデアを出すタイミングでは、ブレインストーミングのような手法を用いて参加者がアイデアを生み出していく雰囲気を作り、アイデアを収束させていく時にはファシリテーション・グラフィックのようなアウトプットを行います。

それぞれの段階で、ファシリテーターは常に中立的な立場で見る必要があります。強い主張に偏ってしまうことなく、平等にアイデアを生み出せる環境を作れるように心がけましょう。

ここではファシリテーション・グラフィックの中でも、代表的な図表型のフレームワークを紹介します。

参考:
ファシリテーターの役割とファシリテーションのコツ|3M
平成21年度「行政とNPOをつなぐ・ファシリテーター養成セミナー」|北海道庁
  

ロジックツリー

ロジックツリー.png

ロジックツリーとは、大きな項目から小さな項目へと枝葉をわけながら、整理していくフレームワークです。それぞれの項目がどのような立ち位置になるのかが整理されるため、ロジカルシンキングの中でも活用されています。

参考:ロジックツリー|ライト・けあ
  

フィッシュボーン

フィッシュボーン.png

フィッシュボーンとは、1つの物事に対して様々な角度から要因を分析する際に用いるフレームワークです。大項目が大骨、中項目が中骨、小項目が小骨と呼ばれ、分析したい物事に対して項目が結び付いている様子が魚の骨のように見えることからこの名前が名付けられました。

1つの問題の分析を行う際にその問題に関する項目をまとめ、全体を見渡すために役立つフレームワークです。
  

ポジショニングマップ

ポジショニングマップ.png

ポジショニングマップは、ブレインストーミングなどの手法で出したアイデアを整理するために活用できるフレームワークです。

ポジショニングマップを作成する際には、ブレインストーミングなどで出したアイデアを俯瞰し、アイデア全体をわける2つの切り口を考えます。その2つの切り口を十字のそれぞれに配置し、分類に合わせてアイデアを落とし込んでいきます。このように整理していくと、どの部分のアイデアが足りないかが見えてきます。

例えば、図の中では「理屈で説明する高コストの新商品のプロモーション企画」が足りないことがわかるでしょう。

参考:ポジショニングマップを使った新たなアイデアの出し方|3M
  

バタフライテスト

バタフライテスト.png

バタフライテストとは、出てきたアイデアの評価から選択までを一貫して行う手法です。メンバーそれぞれが、評価軸ごとに異なるカラーラベルを複数枚もち、カラーラベルを使ってアイデアに投票していくことで、アイデアの評価を可視化します。

参考:ブレインストーミング(ブレスト)でのアイデアの絞り込み方|3M