サービスや商品を販売したり、企画を立ち上げる際、考慮しておきたいことの一つとして「差別化」が挙げられます。

他社の競合サービスではなく自社サービスを選んでいただくためには、差別化は不可欠です。

今回は、ビジネスを行う上で重要な要素の一つである「差別化」についてご紹介します。
  

1. 差別化を図るために知っておきたいこと

なぜ「差別化」が必要なのか改めて整理しておきましょう。

現在は「選択肢過剰の時代」と言われています。
選択肢が多過ぎて違いがわかりづらく、消費者としてはどれを選んだらよいのか迷ってしまう状況です。

例えば、Android携帯を思い浮かべてください。
シーズンごとや年・月単位で新しい機種が発売され、その違いを明確に把握することはなかなか難しく、正直どれを選んでよいのか迷ってしまうのではないでしょうか。

カメラの性能や電池の持ちなどはほぼどれも変わらない上、電話・メール・SNSなどの使用もどれも問題なく行うことができます。その上、値段の差も大幅にあるわけではありません。

これがまさに「選択肢があり過ぎて選べない」状況です。

選択肢があり過ぎる状況は「何も選ばない」という行動につながります。
これは人間の心理として提唱されているもので「決定回避の法則」と呼ばれるものです。

参考:
心理操作でコンバージョン率向上が目指せるかも!?知っておきたい行動心理学7選|ferret
※詳しくは、こちらのferret記事の「2.決定回避の法則」を参照ください。
  

2. 差別化するために押さえておくべき「USP」

・U:Unique、独自性
・S:Selling、提供するもの
・P:Proposition、提案

USPとは、これら3つの要素を合わせて「消費者に対して自社のみが提供できる利益、価値」を指しています。これは1960年代にアメリカのコピーライターの、ロッサー・リーブル氏が提唱し、50年以上経過した現在でも使用されている概念です。

参考:
顧客を呼びこむ「USP」とは?|ferret
  

3. 差別化ポイントを明確にするためにおさえたい3つの要素

差別化戦略を成功させるために、最低限必要な5つの要素をご紹介します。
なにからはじめていいのかわからない、差別化について考えてみたけれど実のところ競合他社と差別化できるポイントを見いだせていないという方は、まずはここから検討してみましょう。

3-1. 誰の・何を・どのように

初めに「誰の・何を・どのように」を検討します。

(1) 誰の

「誰の」は、自社が想定しているユーザー、つまりペルソナのことを指します。
特定の人物を思い浮かべることができるくらいに具体的かつ明確に設定しておきましょう。
情報を発信したり、プロモーションを行ったりする場合、あらかじめ決めた特定のペルソナに訴求するため、必要な言葉選びやデザインなどが決定しやすくなります。

例えば「スマートフォンケースをお探しの方へ」というコピーと「Android携帯のケースをお探しの方へ」というコピーとでは、どちらが訴求力が高いでしょうか。
答えは明確で、後者です。
なぜなら、Android携帯を使用している人へピンポイントでメッセージを届けることができるからです。

ペルソナを決める際は、様々な要素を検討しなければなりません。
どのような要素が必要かは、以下のferret内の記事を参考にしてください。

参考:
ホームページ運営に欠かせない!ペルソナの設定方法とは?|ferret

(2) 何を

サービスや商品などを販売する際もちろん利益も大事ですが、それらを使用することでユーザーのどのような問題を解決することができるのか、を訴求する必要があります。

先程のAndroid携帯のケースの例で考えてみましょう。
Android携帯は機種数が多く、頻繁に新しいタイプのモデルが発売されます。そのため、デザイン性の高いケースを販売すると在庫を抱えてしまう可能性が高く販売している企業はそれほど多くはありません。結果、オシャレなケースがないと悩んでいるユーザーが多くなります。

このようなバックグラウンドがある中で「オシャレなAndroid携帯用のケースを提供する」という問題解決を提供することで、スマートフォンケースを販売している企業と差別化を図ることができます。

(3) どのように

「誰の・何を」で挙げた対象とするユーザーの問題点を、どのように解決するのかを検討します。
対象ユーザーによって、最適な訴求ツールや販売方法などは異なります。設定したペルソナの生活に溶け込めるような訴求ツールの使用や販売方法を検討しましょう。
  

3-2. 商品やサービスのセールスポイントを洗い出す

商品やサービスなど、販売したい商材の特徴やメリット、素材などセールスポイントとなり得るものを洗い出します。
商品・サービスそのものだけではなく、自社のこれまでの歴史などにも目を向けます。
キーワードとなり得るポイントは、一見関係のないように思えるものでもまずは出しておきましょう。

この時にオススメの思考法として、「ロジック・ツリー」があります。
物事を論理に細分化し、思考を整理するためのツリー状の図で、ロジックツリーを使用してキーワードの抽出に漏れがないようにしましょう。

3-3. 「ストーリー」を作る

ユーザーの心を動かす要素の一つとして「ストーリー」があります。
商品やサービスの販売に至った経緯や自社の背景など、呼んだユーザーが販売したいモノに入り込みやすいように事実を組み立てます。

例えば、同じAndroid携帯のスマートフォンケースを販売するA店とB店の以下の文章を見てください。

・A店
当店では、Android携帯用のスマートフォンケースを販売しています。Android携帯をお使いの方はぜひお買い求めください。

・B店
当店では、Android携帯用のスマートフォンケースを販売しています。
数年前、Androidのスマートフォンを購入した時のこと。破損防止やオシャレの意味でスマートフォンケースを探していました。
iPhone用のオシャレなケースは山のように販売されているのに対し、Android用は透明無地のケースを始めとしたデザイン性のないものばかりでした。
そこで「Androidのスマートフォンでもオシャレをしたい!」というユーザーの思いに応えるべく、そこで弊社ではオシャレで可愛いAndroid携帯用のスマートフォンケースを販売することにしました。

  
A店とB店、どちらで購入したくなるでしょうか。

答えは簡単で「Android携帯の可愛いスマートフォンケースがない」という共感しやすいポイントが盛り込まれている、B店です。

嘘のストーリーを記載することはよくありませんが、商品やサービスを販売するに至った経緯を思い出し、ストーリーとしてユーザーに訴えかけてみましょう。