コミュニティを活用したマーケティング手法には、LTVの向上やカスタマーサポートの効率化など様々なメリットがあります。ただし、単にコミュニティを作るだけでは成果が得られないリスクがあるため、注意が必要です。

この記事では、コミュニティマーケティングに適したビジネスの例や、よくある失敗と注意点などを解説します。コミュニティ運用で成果を上げたいマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. 海外企業も取り組むコミュニティマーケティングとは?
  2. コミュニティマーケティングの必要性
  3. コミュニティマーケティングで得られるメリット
  4. コミュニティマーケティングに適したビジネス
  5. コミュニティ運用のよくある失敗と注意点
  6. ポイントを押さえたコミュニティ運用で成果を上げよう

海外企業も取り組むコミュニティマーケティングとは?

コミュニティマーケティングとは、顧客が参加するコミュニティを企業が運営し、顧客のサポートやマーケティング施策に活かす手法です。主にアメリカの企業がいち早く取り入れ、最近では日本でも注目され始めました。

例えば、音楽配信サービスを手掛けるSpotifyは、「Spotify Community」というコミュニティを運営しています。「Spotify Community」の参加ユーザーは、アプリの改善点や使い方に関するノウハウなどの投稿が可能です。コミュニティに寄せられた意見を参考に、サービスの改善が行われています。

また、電気自動車事業などを手掛けるTeslaもコミュニティマーケティングに取り組む企業の1つです。「Teslaオーナーズコミュニティ」では既存顧客へのサポートや、紹介プログラムの促進などを行っています。

コミュニティマーケティングの必要性

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出典:消費者庁令和3年版消費者白書

コミュニティマーケティングに取り組むべき主な理由は、SNSやスマホの普及によって顧客の購買行動が変化したことです。

消費者庁のアンケート調査によると、デジタルプラットフォームで商品やサービスを購入する際に確認したいことの第1位は「過去のレビュー」でした。

上記のデータから、他のユーザーの口コミが購買の意思決定で重要視されていることが分かります。

このような状況で自社の商品やサービスを選んでもらうためには、情報収集段階からアプローチすることが必要です。コミュニティマーケティングなら、口コミやレビューを参考にしたいと考えるユーザーに対して効果的に情報提供できます。

コミュニティマーケティングで得られるメリット

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コミュニティマーケティングで得られるメリットは、見込み顧客に対する情報提供だけではありません。既存顧客のロイヤリティやLTVの向上カスタマーサポートの効率化など複数のメリットがあります。

主なメリットは以下の4つです。

カスタマーサポートの効率化

コミュニティに参加するユーザー同士の情報共有は、カスタマーサポートの効率化に繋がります。

初心者ユーザーが抱えている質問は、経験豊富なユーザーがコミュニティ内で回答し、解決することが可能です。また、コミュニティ内に課題解決のやり取りが残るため、他のユーザーの参考にもなります。

ユーザーの力を借りてカスタマーサポートの工数を削減できることが、コミュニティマーケティングのメリットです。

顧客ロイヤリティやLTVの向上

コミュニティを運営するとユーザーの帰属意識が高まり、顧客ロイヤリティの向上に繋がります。コミュニティ内での活動履歴に応じてポイントやランクを付与するなどの仕組みは、ロイヤリティの向上に効果的です。

また、コミュニティへの参加で接触頻度が高まると、LTVも向上しやすい傾向があります。サービスの継続期間が延びたり、関連商品を追加購入したりすることで、LTVの向上が可能です。

新規顧客の獲得

商品やサービスの購入を検討している見込み顧客にアプローチし、新規顧客を獲得できることもコミュニティマーケティングのメリットです。

コミュニティ内でのやり取りがオープンになっていると、見込み顧客が既存ユーザーの感想や意見を見ることができます。ユーザーが発信する意見は、購買の意思決定で大事な要素です。

単に企業が情報発信するだけでなく、コミュニティを運営してユーザーからの声を届けることが、新規顧客の獲得に繋がります。

ユーザーの声が集められる

商品やサービスに対するユーザーからの率直な声を集められることも、コミュニティマーケティングのメリットです。ユーザーがどのような点に価値を感じているか、改善を希望しているポイントはどこかなどを参考にできます。

また、新たな商品やサービスの開発にもユーザーの声が役立ちます。例えば、企画段階で2つ以上の案を用意し、コミュニティの参加者にアンケートを取って反応の良いものを採用することが可能です。

ユーザーの声を参考に、サービスの改善や企画開発を行うことで、顧客満足度をより高められます。

コミュニティマーケティングに適したビジネス

コミュニティマーケティングには様々なメリットがあるものの、すべての企業が導入できるわけではありません。

例えば、「見た目のコンプレックスを解決する商品」や「債務整理のサポート」など、他人に知られたくないような商品を提供しているビジネスでは、コミュニティを盛り上げることは困難です。

一方、次のような条件を満たすビジネスでは、コミュニティマーケティングの効果を得られます。自社のビジネスがコミュニティマーケティングに適しているかどうか確認してみましょう。

サブスクリプション型のビジネス

SaaSなど、サブスクリプション型のビジネスはコミュニティマーケティングに適しています。

サブスクリプション型のビジネスで収益を上げるためには、顧客が継続利用してくれることが重要です。コミュニティマーケティングは長期的に顧客との接触機会を保ち、ロイヤリティを高められるため、サブスクリプション型のビジネスに向いています。

また、サービスの不具合や不便な点に関するフィードバックを受け、いち早く改善できるため、解約の防止にも効果的です。サブスクリプション型のサービスを提供している場合は、コミュニティマーケティングの導入を検討してみましょう。

顧客数が多く、サポート対応が必要なビジネス

顧客数が多く、サポート対応が必要なビジネスは、カスタマーサポートに多くの負担がかかります。例えば経理システムを販売している企業や、動画制作ソフトを販売している企業などでは、使い方の質問などに答える必要があります。

カスタマーサポートの工数が多い企業は、コミュニティマーケティングで業務効率化が可能です。特に、多くのユーザーから似たような質問が寄せられる場合は、コミュニティマーケティングが効果を発揮します。

顧客同士で情報共有がしやすいビジネス

顧客同士で分からないことを相談しやすいビジネスや、共通の目的をもって楽しめる製品を販売しているビジネスは、コミュニティマーケティングに適しています。

例えば、カメラや調理家電は、ユーザーが共通の目的をもって楽しむことが可能です。カメラで撮影した写真をアップして見せ合ったり、調理家電を使った新しいレシピを公開したりしてコミュニティが盛り上がります。

また、ECサイトの作成サービスなどを提供するビジネスも、コミュニティの活用が可能です。ECサイト作りのコツや売上アップに繋がったノウハウなど、顧客同士で情報共有ができます。

コミュニティ運用のよくある失敗と注意点

コミュニティを活用したマーケティング手法は、失敗するリスクもあるため注意が必要です。

よくある失敗の1つとして、コミュニティが盛り上がらないことが挙げられます。ユーザーが何を発信すれば良いか分からず投稿件数が少なくなったり、一部のユーザーしか発言しなかったりする状態がよくあるケースです。

コミュニティが盛り上がらない場合、企業の 「コミュニティの捉え方」 を見直す必要があります。コミュニティをどんな場所にしたいのか、何のためにコミュニティを作るのかを明確にすることがポイントです。

「商品の売上に繋げる場所」としてコミュニティを捉えてしまうと、ユーザーがしらける原因となります。商品やサービスをより良く変えていく仲間としてユーザーを捉え、コミュニティを設計しましょう。

ポイントを押さえたコミュニティ運用で成果を上げよう

コミュニティマーケティングは海外の有名企業などでも取り入れられている手法です。カスタマーサポートの効率化顧客ロイヤリティの向上など、様々なメリットが得られます。

特に、サブスクリプション型のビジネスや、顧客数が多いビジネスではコミュニティマーケティングが効果的です。ただし、コミュニティ運用に失敗すると効果が得られないため注意する必要があります。