財布から、お札や硬貨を取り出して支払いを行う時代は終わるかも知れません。
交通系ICカードが普及し、イオンやセブン&アイ・ホールディングスのような大手流通企業が電子マネーサービスを拡大させたこともあり、現在では銀行券を利用しない電子マネーの決済額が増えています。

仮想通貨であるビットコインは2016年11月時点で取引額が世界全体で15兆円を超え、金融市場にとっても無視できない規模になりました。

今回は、ネットワーク上で取引できる通貨7種類の違いを解説します。
モノのインターネット化(IoT)が進むなか、さらにその動きを加速させることになるかも知れない通貨のあり方は、Webビジネスを行う人にとっても見逃せない動きです。
ぜひこの機会に、改めて新しい「お金」のあり方について学びましょう。

参考:
[ビットコイン取引最高、11月15兆円超 9割が中国 ]
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H9T_X11C16A2MM8000/?uda=DGXZZO0242484019022010000007)
[平成27年度情報通信白書|総務省]
(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc121150.html)
  

1.電子マネー(Webマネー)

電子マネーとは、サービスの提供元の店舗などでシステムへ事前に入金した金額を利用できるサービスです。

SuicaやPASMOに代表されるような交通系ICカードはカードに事前に入金(チャージ)を行うことで切符の購入の手間をなくし、ユーザーの利便性を高めました。

カード会社が支払いを保証することで後払いが可能になるクレジットカードや銀行口座と直接連動しているデビットカードとは異なり、支出をセーブしやすいのがメリットです。
  

1-1.プリペイドカード

Mastercard®___Mastercardプリペイドカード___Mastercard®.png
Mastercardプリペイドカード

電子マネーのあり方として、最もシンプルでわかりやすいのがプリペイドカードです。
プリペイドカードは銀行やクレジッットカード会社などがサービスとして提供していて、事前に入金を行った分だけ提携している店舗の決済に利用できます。

このように、電子マネーの基本は「現実にあるお金(国が価値を保証している通貨)を、電子上で取引できるようにするシステム」です。

メリットとしては、財布から貨幣を取り出す手間をなくすだけではなく、海外旅行での利用の際に現地通貨との両替が不要になることが挙げられます。
このシステムを利用したものとして、使用料金の支払いをプリペイドカードで行えるプリペイド携帯も流通しています。

参考:
三菱住友VISAプリペイド
  

1-2.Suica 

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Suicaポイント

大手鉄道会社であるJR東日本グループが提供している交通系ICカードです。
カードに埋め込まれたICチップに入金情報を入れることで、駅の改札口で利用できるだけではなく駅構内の飲食店や自動販売機などでの支払いが行えます。
  

1-3.Edy 

電子マネー「楽天Edy(ラクテンエディ)」.png
楽天Edy

大手ネットショップを中心に展開する楽天グループが提供している電子マネーで、飲食店やドラッグストアなど提携している全国の店舗で利用できます。

専用端末を利用することで、家庭用パソコンでの入金が行えるのが特徴です。
カードのほか、「おサイフケータイ」と呼ばれる携帯電話を端末として利用した決済が可能です。
  

1-4.nanaco

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nanaco

セブンイレブンやイトーヨーカドーなどの小売店を展開しているセブン&アイ・ホールディングスでは、nanacoと呼ばれる電子マネーを提供しています。

事前に入金した金額が利用できるだけではなく、買い物に応じて「nanacoポイント」というポイントが溜まります。
nanacoポイントは、電子マネーに変換して事前に入金した金額に上乗せることもできるので、買い物をすればするほどより多くの品物が購入できる仕組みになっています。

グループ系列の18社で利用できるだけではなく、加盟している複数の店舗で利用が可能です。
  

1-5.WAON

電子マネー|WAON__ワオン__公式サイト.png
WAON

大手流通企業であるイオンでは、WAONという電子マネーを提供しています。
nanacoと同様、イオングループの各店舗で買い物をした金額に応じてポイントが加算されます。

Suicaポイントや近畿日本クラブポイントのような提携しているほかのポイントサービスからのポイント変換も行えるのが特徴です。

現在では、nanacoやWAONのようにポイントシステムと電子マネーの機能を1つにまとめることで、買い物によって溜まったポイントを現金に上乗せして利用できるようになりました。
そのため、仮想通貨である各種ポイントとの区別がわかりづらくなっています。

ポイントのような仮想通貨はサービスの運営元によって発行を無限に行え、価値に定まったものはありません。電子マネーへの変換はサービスの運用元が設定している変換レートに従うことになるので注意しましょう。
  

2.仮想通貨

仮想通貨とは「円」「ドル」のような、国が価値を保証している法定通貨とは異なり、小売店での「ポイント」やゲームアプリ内での「コイン」など、それぞれの組織が独自に設定している通貨を示します。

銀行法等、改正法案による資金決済法2条5項において、下記のとおり定義されています。

①物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(注1)(注2)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

②不特定の者を相手方として①に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
(注1)電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限る。
(注2)本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産(本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるものが行われることとされている資産のこと)を除く。

つまり、仮想通貨とは、ネット上で決済の手段として利用でき、ほかの仮想通貨や円への変換のような通貨自体の売買も行えるものを指します。

参考:
[仮想通貨を巡る制度整備|大和総研]
(http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/financial/20160520_010904.pdf)
  

2-1.楽天スーパーポイント

【楽天PointClub】:楽天スーパーポイント総合サイト.png
楽天PointClub

大手ネットショップを中心に展開する楽天グループでは、電子マネーのEdyだけではなく楽天ポイントと呼ばれる仮想通貨も提供しています。

Edyと楽天カード、楽天スーパーポイントは連携したポイント変換システムを持っています。

例えば、ユーザーがクレジットカードである楽天カードを利用して、10万円をEdyに入金したとします。
その10万円分で買い物をして楽天スーパーポイントが500ポイント分ついた場合、その500ポイントを電子マネー(Edy)に変換することもできます。
変換されたポイントは電子マネーに上乗せされるので、当初入金した金額よりも多く利用できます。

nanacoポイントやWAONポイントと同じように、利用できる店舗はEdyの提携店舗に限られます。
  

2-2.ビットコイン

ビットコインは基本的に楽天スーパーポイントのようなポイントシステムと同じです。
ただ、大きな違いとしては、運営する組織体が存在しないということが挙げられます。

nanacoポイント、WAONポイント、楽天スーパーポイントはそれぞれ運営する組織と提携した店舗でしか決済には利用できません。
一方、ビットコインの取引情報はネットワーク上に存在し、利用する人がそれぞれアクセスして取引を行うという仕組みになっています。

そのため国境は一切なく、国外に対しても自由に取引できるのが特徴です。

例えば、インドで働いている日本人が現地の給与である10,000ルピーをビットコインに変換し、日本に送金したとします。
日本では、ビットコインそのままでの決済も可能ですが、さらに日本円に変換することも可能です。この仕組みを利用することで海外送金に必要な手数料を減らすことができるため、越境ECにも利用しやすいのが特徴と言えるでしょう。

一方では、この仕組みを利用して麻薬取引などによって得た資金の出どころをわからなくするマネーロンダリングが社会的な問題となっています。

参考:
中国人民銀、ビットコイン取引所を検査 |日本経済新聞

日本銀行のような国が運営する中央銀行が発券する法定通貨は、政情不安などによって国際的な評価が変化すると通貨のレートは変動します。
そのような通貨のレートとは異なる、独自の通貨価値を持っているのがビットコインの特徴と言えるでしょう。

参考:
ビットコイン(Bitcoin)とは?
  

まとめ

ネットワーク上で決済を行えるシステムには大きくわけて2つの概念が存在します。
SuicaやEdy、WAONのような電子マネーは、国の中央銀行が発券する日本銀行券を一時的に入金し、その金額を元に支払いを行うシステムです。
仮想通貨はそのようなシステムとは異なり、中央銀行を介さずに通貨の価値が決まることが特徴です。

【電子マネー】
国が価値を保証する法定通貨を、一時的にネット上で入金を行うことで、カードをとおして決済ができる『システム』

【仮想通貨】
国が価値を保証する法定通貨とは異なり、ネット上で中央銀行を介さない取引を行う『通貨』

このようなWebで取引が可能になる通貨の存在は、あらゆるモノがネットワークにつながるIoTを加速させると期待されています。
その中でも取引情報がネットワーク上に存在するビットコインは他のシステムとの連携がしやすいため、様々なモノでの決済が可能となるかもしれません。

Webに関わるビジネスを展開している企業にとって見逃せない「お金のあり方」の変化について、今後も注視していきましょう。

参考:
IoTの普及には、ビットコイン技術の応用が不可欠だ|ダイヤモンドonline