2017年2月24日(金)から、経済産業省と経団連が主導してきた「プレミアムフライデー」という取り組みが始まりました。毎月月末の金曜日に早期退社を呼びかける取り組みで、個人消費の拡大が期待されています。

BtoCのビジネスを行う企業にとって自社にどのような影響があるのか、ビジネスのチャンスになり得るのかというのは気になるところでしょう。

今回は、プレミアムフライデーの基本概要とプレミアムフライデーに向けた各社のキャンペーン事例、さらにはビジネスの上で活用するための方法をご紹介します。
  

プレミアムフライデーとは

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プレミアムフライデー推進協議会事務局ホームページ

プレミアムフライデーとは、月末の金曜日には原則15時までに仕事を早めに切り上げて「日常よりも少し豊かな時間を過ごす」ことを推奨する経済産業省主導の取り組みです。金曜日だけではなく、土日勤務の仕事の場合は、土日に実施するなど、柔軟に対応する方針です。

25日を中心とした給料日の後の金曜日は、個人の平均消費額が高まるという傾向に合わせて、個人消費が拡大することを目的の1つとしています。

参考:
【60秒解説】プレミアムフライデー|経済産業省
プレミアムフライデーの実施方針・ロゴマークが決定しました|METI|経済産業省
  

プレミアムフライデーはいつから?

2017年2月より開始されており、政府は自治体や企業に対して従業員が早めに退職できるよう呼びかけています。
  

2018年のプレミアムフライデー一覧

2018年のプレミアムフライデーは以下のとおり予定されています。

ただし、2017年12月13日現在の情報のため、日程変更が行われる可能性もありますのでご了承ください。

・2018年1月26日(金)
・2018年2月23日(金)
・2018年3月30日(金)
・2018年4月27日(金)
・2018年5月25日(金)
・2018年6月29日(金)
・2018年7月27日(金)
・2018年8月31日(金)
・2018年9月28日(金)
・2018年10月26日(金)
・2018年11月30日(金)
・2018年12月28日(金)

  

プレミアムフライデーがビジネスにもたらす影響とは?

では、プレミアムフライデーはビジネスにどのような影響をもたらすのでしょうか。「どのような影響があるのか」「どの程度影響が広がるのか」の2つの視点から見てみましょう。
  

どのような影響があるのか?

プラス要素

プレミアムフライデーの最大の影響は、働いている人が通常よりも早めに業務から離れることで買い物や旅行、趣味などに時間とお金をかけるという点です。土日が休日である企業で働いている人にとっては2日間+半日という休日の期間を得ることとなり、旅行にいく機会も取りやすくなるでしょう。

ほかにも飲食店やショッピングモール、エステ、ネットショップなど、消費者を対象に商品・サービスを展開している企業にとっては通常より利用客が増える可能性があります。
  

マイナス要素

個人にとってプラスの影響がある一方で、マネジメントでは通常の業務よりも早く切り上げなくてはいけないことを考慮しなくてはなりません。

ただし、プレミアムフライデーの取り組みはあくまで任意であり、すべての企業が行わなくてはいけないものではありません。そのため、各社によってマイナス要素の影響は異なるでしょう。
  

どの程度影響が広がるのか?

では、プレミアムフライデーはどの程度の影響力を持つ取り組みなのでしょうか。この取り組みは経済産業省や経団連が主導してきたもので、政府からも推奨されています。

しかし、取り組まない企業に対して罰則があるわけでも、実施に当たって細かいルールが決まっているわけでもありません。そのため政府が呼びかけを行っている官庁や自治体の職員、経団連の会員である大企業のみの取り組みにとどまる可能性もあります。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が、働いている18~69歳までの男女を対象に行った調査によると、勤務先でプレミアムフライデーを導入すると答えた人は*3.4%*にとどまりました。

このような実態に対して、経団連はどのような見解を示しているのでしょうか。平成28年から経団連の副会長を務めている石塚邦雄氏はこのように発言しています。

「経団連は会員企業に対し、月末の金曜日は遅くとも午後3時までに仕事を終えられるよう配慮を、と呼び掛けている。ただ、実現は各社の取り組み次第。プレミアムフライデーは官民挙げて取り組むプロジェクトなので、霞が関や永田町など、国を牽引する方々にやってもらわないと実効性は上がらない。労働時間の短縮は、国が進める『働き方改革』の一つでもある。1回やってだめだったではなく、継続していくことが大事だ。」

引用元:プレミアムフライデーって本当にできるの?|産経デジタル

このように、今後どの程度社会に定着するのかは予測できないのが実情です。また、同調査でプレミアムフライデーでやりたい事として58.5%の人が「家でゆっくり過ごす」と挙げています。

働く人全てが、個人消費を伸ばすわけではないという事を踏まえて、どのように展開が広がるのかを注視しましょう。

参考:
『働き方に関するアンケート調査』働いている人1,603人に聞きました 残業時間は「毎月20時間未満」が7割、いま副業している人は1割|CCC*(2020年8月5日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*
プレミアムフライデーは日本に定着するのか|東洋経済ONLINE
  

プレミアムフライデーを狙った企業のキャンペーン事例

プレミアムフライデーで自由な時間が増える個人消費者に対して、特別なキャンペーンを打ち出している企業も登場しています。5つの事例をとおして、それぞれの企業がどのような狙いを持って行っているのかを見てみましょう。
  

1. JTB

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プレミアムフライデー|JTB

大手旅行代理店のJTBではプレミアムフライデーを前面に押し出した特設ページを開設しています。特設ページでは、金曜の半日と土の2日間を含めた「1.5日旅」としてオススメの旅行プランを提案しています。
  

2. 三井不動産

ららぽーとなどの商業施設を複数運営している三井不動産では、施設ごとにプレミアムフライデーに向けたキャンペーンを行いました。特に特徴的なのは、ららぽーとで実施された「はたらく大人の週末応援企画」というプレゼントキャンペーンです。

この企画では、「#ららぽーとプレミアムフライデー」というテーマのもと、月末の金曜日に行いたいことをツイートしたユーザーの中から抽選で、願いに合わせた賞品がプレゼントされます。商品券や旅行券、宿泊券など、ツイート内容によって景品が変化するというユニークなキャンペーンです。
  

3. サントリー

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プレミアムフライデー|サントリー

サントリーでは、同社の主力商品の1つである「プレミアムモルツ」を中心としたキャンペーン特設ページを展開しています。特設ページではプレゼントキャンペーンや、店舗の紹介などが掲載されています。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の調査でもプレミアムフライデーに行いたいこととして19.0%の人が「仕事以外の友だちと飲みに行く」と答えており、このようなキャンペーンは消費者のニーズともマッチしているでしょう。
  

4. エビスビール×銀座ライオン

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【銀座ライオン】【ヱビスバー】プレミアムフライデーイベント|株式会社サッポロライオン*(2020年8月5日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*

ビアホール銀座ライオンではエビスビールとのコラボとして、2017年12月にエビスビールの割引フェアを行っています。年末の忘年会シーズンに合わせた催しであり、グラス・ジョッキともに半額になるという大幅な割引フェアです。
  

5. 楽天市場

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プレミアムフライデー|楽天市場

ネットショップの楽天市場では、プレミアムフライデーに合わせて、特設ページを開設しています。特設サイト内では、旅行プランや宿泊先を予約できる「楽天トラベル」やゴルフ場の検索・予約ができる「楽天GORA」といった関連サービスへの案内を行っています。また、旅行や外出に使えるアイテムも紹介しており、プレミアムフライデーを楽しめるようなコンテンツを用意しています。
  

プレミアムフライデーを活用しよう

キャンペーンを実施しよう

プレミアムフライデーに合わせて割引キャンペーンやノベルティプレゼントキャンペーンを実施し、実施情報をプレスリリースで発信しましょう。広告としての効果も大きく、ニュースに取り上げられる可能性もあります。以下の投稿フォームからプレスリリースを登録できるようになっているのでお試しください。

参考:
プレスリリース投稿|プレミアムフライデー(Premium Friday)
  

公式のロゴを活用しよう

プレミアムフライデーのロゴは、使用許可を得れば自由に使えます。官・民連携の消費国民運動に参加し日本を豊かにしていくことを推進する企業は、ぜひロゴ申請をしましょう。様々な種類のロゴがあり、自由にカスタマイズもできます。

ロゴの申請方法は以下のような流れになります。

1. プレミアムフライデー・ロゴマーク使用規約に同意する
2. 申請画面で企業情報、ロゴマーク使用用途を入力し申請する
3. 申請した内容が事務局で確認され、ダウンロードURLがメールで案内される

参考:
ロゴマーク使用申請|プレミアムフライデー(Premium Friday)
  

プレミアムフライデーを企業で活用する際の注意点

プレイアムフライデーに特別な参加費用はかかるの?

プレミアムフライデーに関して、事務局から個人・企業・団体などから協賛金などを募る事は一切ないとアナウンスされています。協賛金を募るような便乗商法などには十分注意してください。一方で、2017年12月現在政府から助成金の支給が行われるという情報はありません。プレミアムフライデーのキャンペーンにかかる費用は自社で用意する必要があるので注意してください。
  

社内で取り組む際には就業規則に気を付けよう

プレミアムフライデーを導入する会社が、就業時間を9~18時などの固定時間制度を取り入れている場合、就業規則を変更しないと1日の所定労働時間が足りなくなり、就業規則違反になってしまいます。

1日の所定労働時間が足りていなければ当然、減給されることになります。そのため、現状では「就業規則を変更」もしくは「有休を使い半休」扱いにするといった対応策を行わなければ、プレミアムフライデーの実施は難しいようです。

ただし、フレックスタイム制といった変形労働時間制度を採用している会社であれば、コアタイムを避ければ問題はありません。

参考:
プレミアムフライデーに、ツッコミたい。午後3時退社って「就業規則違反」じゃないの?|ハフィントンポスト
  

まとめ

プレミアムフライデーは政府及び経団連で主導してきたこともあり、自治体や経団連の企業は参加することになるのではないかという予測がされています。一方では、国内の企業の9割以上を占めている中小企業の中での取り組みは留まり、社会全体に広がるには時間がかかるでしょう。

実際、2017年2月に行われたプレミアムフライデーでは、取り組み自体の認知度は92%と非常に高い結果でしたが、職場での導入率は7%と低い結果でした。また、プレミアムフライデーが導入され、早帰りの対象者のうち、実際に早帰りができた人は半数強の56%という結果でした。ただし、プレミアムフライデーで早く帰った人の内、43%がプレミアムフライデーの何かしらのイベントや割引・サービスを使っています。

まだまだ導入率は低いですが、企業の導入率が高まり、早帰りができる人が増えていけば、経済的な影響は大きくなっていくのではないでしょうか。また、2017年9月11日の記者会見で経団連の榊原会長は「月末は皆さん忙しいので月初めにしてほしいという声が強くある。見直しをするなら、その辺が対象になる」と言及しており、日程について今後見直しがあるのではないかという懸念されています。

今後、どのような変更が行われるのかは注視しておく必要があるでしょう。

参考:
緊急調査!プレミアムフライデーの実態|HoNote(ホノテ)
早くも見直し?プレミアムフライデー|NHK NEWS WEB