「イノベーション」って結局なに?イノベーションの定義と事例・関連用語を解説
企業のCMや政府の発表する政策の中でよく聞く「イノベーション」という言葉、全く意味がわからないという方は少ないでしょう。
イノベーションとは日本語で*「技術革新」や「経営革新」*と言い換えられます。
しかし、多くの場面で利用されている単語ということもあり「え?技術的な話ではないの?」と混乱してしまう人もいるでしょう。
今回は、イノベーションとは何か、イノベーションを使った用語を解説します。
ビジネスパーソンとして誤った認識で話してしまう前に、あらためて意味を掴んでいきましょう。
イノベーションとは
イノベーション(innovation)とは「改革」「革新」を意味する英単語で、新しい市場の開拓や新機軸の導入など革新的な取り組み全般に対して使われています。
現在広く使われている意味はオーストリアの経済学者シュンペーター(Schumpeter)が定義付けたもので、シュンペーターは以下のようにイノベーションの例を挙げています。
1.創造的活動による新製品開発
2.新生産方法の導入
3.新マーケットの開拓
4.新たな資源(の供給源)の獲得
5.組織の改革
上記の例からもわかる通り、イノベーションは「技術革新」という枠組みだけにとどまりません。
ただ、ここで注意したいのが、日本国内の行政が主導するイノベーションの多くが「技術革新」に焦点を当てているという点です。
例えば、科学技術基本法に基づき作成された科学技術基本計画では、イノベーションを*「科学的発見や技術的発明を洞察力と融合し発展させ、新たな社会的価値や経済的価値を生み出す革新」*と位置付けています。
この定義に則ってか、政府のほかにも技術革新に注目した定義をとる企業も存在します。
しかし、イノベーションとは技術に留まるものではなく、新しいビジネスモデルや新しい市場の開拓も含まれます。
イノベーションの事例
では具体的に、どのような事例が「イノベーション」に当てはまるのでしょうか。
実は、イノベーションとは必ずしも高い技術力が伴うものではありません。
構造自体を変えることで社会に影響を与えることとなった商品やサービスの事例を見ていきましょう。
1.Wii
https://www.nintendo.co.jp/wii/
任天堂が2006年に発売したゲーム機「Wii」は代表的なイノベーションの事例です。
発売当時、ゲーム機はCPU(中央処理機器)やグラフィックの解像度など、いかに高いスペックを提供するかという点で競争を繰り広げていました。
しかし、Wiiはそれまでにゲームに触れてこなかった高齢者を含むファミリー層を対象に、体を動かしながら操作をするという価値を提供したのです。
WIiは一大ヒット商品となり、2016年12月末時点でゲーム機本体は1億台以上もの売り上げを記録しています。
参考:
ハード・ソフト販売実績|任天堂
2.ウォークマン
「ウォークマン」は1979年に発売されて以降ソニーの主力商品の1つとしてラインナップされている携帯音楽プレーヤーのシリーズです。
当時、音楽プレーヤーは据え置き型であり、持ち歩く形式のものは前例がありませんでした。しかもウォークマンは据え置き型のものとは異なり、録画もできず音質も劣っていたと言われています。
ですが、2014年3月末時点で累計出荷台数は4億2000万台以上にのぼるヒット商品となりました。これは据え置き型ではなく「音楽を持ち歩く」スタイルを提供するという新しい市場を開拓したことに由来しているものでしょう。
参考:
「首」賭けたウォークマン開発秘話
【図解・経済】戦後70年・ソニーのヒット商品と売上高(2015年5月)
3.カーブス
従来のサービス提供の形式を変えることでイノベーションに成功した事例がアメリカ初のフィットネスクラブ「カーブス」です。
カーブスは「女性専用」という路線を打ち出し、30分1サイクルで1日の運動が終了する独自のプログラムを提供することでヒットしました。
一般的なスポーツクラブは男女関係なく利用するものですが、カーブスは中高年の女性をメインターゲットにしています。
ユーザーに提供する価値は「健康のための体操プログラム」であり、他のクラブのように体を鍛えたいユーザーにはむしろ向かない施設です。
ですが、体を鍛えたいユーザーを切り捨てることでプールやロッカールームのような大規模な施設が不要となり、コンパクトな敷地面積での開業を可能としました。
そのため、他のクラブは進出できない駅前や住宅地に出店でき、立地の面での優位性を確保しています。
このような今までにない市場を作り出すビジネスモデルは、サービスにおけるイノベーションの事例と言えるでしょう。
参考:
事業イノベーションを起こすための4つのトリガー (1/3)
中高年女性の心をつかんで離さない1日30分ですむフィットネスクラブ
“イノベーション”が関わる用語
イノベーションという言葉は、様々な場面で使用されています。
この機会にまとめて、それぞれの用語がどのような意味か一緒に学んでいきましょう。
1.「イノベーションのジレンマ」
「イノベーションのジレンマ」とは既存の枠にとらわれない革新的なイノベーション(破壊的イノベーション)を起こした企業は、その後顧客の声を商品に反映させることで自社の製品を改良していく持続型イノベーションに偏ってしまうという理論です。
破壊的イノベーションを起こしたことで企業が成長した結果、全く新しい事業に投資するリスクを取れなくなり、結果として新興企業に負けてしまいます。
大企業は経営判断を大きく間違ったわけではなく正しい経営を行っていたはずなのに、破壊的イノベーションを起こせなくなったことで市場を奪われてしまうというジレンマをこの理論では解き明かしました。
参考:
顧客ニーズに従うだけではうまくいかない?「イノベーションのジレンマ」を理解しよう
2.「ソーシャルイノベーション」
「ソーシャルイノベーション」とは社会問題に対する革新的な解決方法を指します。
ソーシャルイノベーションの事例としては郵便物の「切手」のシステムが挙げられます。
切手が登場するまでは郵便物は後払い制であり、受取人が支払うこととなっていました。
そのため、受け取り拒否が多発し、受け取る人が他の受け取り拒否の人の分の送料も担うとういう問題が発生していたのです。
切手が登場したことにより、前払いが可能となることで郵便制度は世界各地に広がるまでとなりました。
このような社会問題に対して解決する方法となるのがソーシャルイノベーションであり、日立グループのような大手企業も事業の目標として掲げています。
参考:
日本財団が考える、ソーシャルイノベーション。
社会イノベーションとは|日立グループ
「郵便」はソーシャル・イノベーションの代表事例(ミラツク西村)
3.「オープンイノベーション」
オープンイノベーションとは、社内の資源だけでなく研究所や教育機関、他の産業分野の企業とアイディアを組み合わせることで革新的なビジネスモデルや製品を生み出す仕組みを指します。
従来の産学官連携はコスト削減や外部の先進的な技術を取り入れることを目的としたものでしたが、オープンイノベーションは専門的な技術やアイディアを互いに持ち寄ることで新たなビジネスモデルや製品を生み出します。
日本国においても産業技術の発展において重要な取り組みの1つとして位置付けられています。
参考:
オープンイノベーション|日本の人事部
産業技術政策全般/イノベーション政策|経済産業省
まとめ
イノベーションとは「技術革新」や「経営革新」だけでなく、*ビジネスの仕組みや構造を変えたことで大きな影響をもたらした存在にも使われます。*具体的には、テレビゲームの概念を崩し身体を使って遊ぶことができるWiiや短時間・女性だけのフィットネスというターゲットを絞ったカーブズのような事例があります。
イノベーションは政府や企業を中心として社会で広く使われているため意味がわからなくなってしまうこともあるでしょう。企業によっては定義にとらわれず「社会に影響を与えるもの=イノベーション」として利用している場合もあります。
定義を深く突き詰めるのではなく、その企業やサービスがどのような姿を目指しているのかを見極めていくようにしましょう。
- サイクル
- サイクルとは、スタートしてゴール、そしてまたスタートと、グルグルと循環して機能する状態のことを言います。まわりまわって巡っていく、といった循環機構をさすことが多いです。水の循環サイクルというように、実は繰り返しになってしまう使われ方もすることもしばし。また、自転車に関する事柄として、サイクルスポーツなどという使われ方をされることもあります。
- イノベーションのジレンマ
- イノベーションのジレンマとは、企業経営の理論で、「業界トップ企業が顧客のニーズに応えて製品改良を進めた結果、新興企業によるイノベーションに遅れを取り、やがて需要を失う」という考え方。
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