企業の買収が合併を意味する「M&A」は経営戦略に関わる立場のビジネスパーソンにとっては知っておくべき知識でしょう。
では、実際にM&Aには、どのような種類があるのかを知っていますか?

今回は代表的なM&Aの手法を解説します。
2016年の日本におけるM&A取引は 20兆5千億円となり、2013年以降増加傾向にあります。
2017年にはさらにM&Aが活発になるいう予測もあり、ビジネスニュースでも見かける機会が増えていくかもしれません。

M&Aには様々な手法があり、単語がでてくるごとに調べていると混同してしまうこともあるでしょう。しかし、意味を取り違えてしまうと、どの企業が解散となるかがわからなかったり、経営権がどこにあるのかがわからなくなってしまいます。
ぜひこの機会にどういった違いがあるのかを把握して、基本的な知識として身につけておきましょう。

参考:
2017年日本企業によるM&Aは「さらなる活性化」を予測|EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社

M&Aとは

M&Aとは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略で、事業の多角化や体質改善・競争力の強化のために行われる企業の合併や買収を指します。

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上記の図は代表的なM&Aの手法を分類したものです。
図にあるように、M&Aは狭義には企業の合併と買収のみを指し、広義には業務・資本提携や合弁会社の設立も含まれるので注意してください。

参考:
M&Aの基礎知識|信金キャピタル株式会社
M&Aの形態|アジアM&Aセンター株式会社(Asia M&A Center Limited)
M&A【敵対的買収】M&Aのお役立ち情報 |A&A新日本総合事務所*(2020年8月19日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*

合併

合併とは複数の企業がひとつの企業としてまとまることを指し、「吸収合併」と「新設合併」の2つの手法が存在します。

吸収合併

同業種の企業が合併し、一方の企業が消滅または解散する形態を「吸収合併」と言います。
親会社が株式を保有している子会社に対して行う場合もあります。

新設合併

解散する複数企業の権利を、新設した企業に対して継承する形態を「新設合併」と言います。
解散した企業の株主がそのまま新設した企業の株主となります。

参考:
吸収合併・新設合併|富山綜合法務事務所

買収

買収とは事業や株式を買い取ることを指します。株式を取得することで経営権を得る「株式取得」や事業の買取を行う「事業譲渡」などが該当します。

株式取得-株式譲渡

発行済株式を買収企業に譲渡することで、そのまま経営権も譲渡する手法です。
株主と社長が代わるだけで譲渡した企業はそのまま事業を行い続けることができるため、M&Aの中でも取られることの多い手法でしょう。

株式取得-新株引受

売り手側の企業が新株を発行し、買収企業にその株式を割りあてる手法です。
売り手側は資金調達ができるので、資本金の増強が図れます。同時に株式を所有する株主の構成比が変化するため、従来の株主による経営権は弱まるでしょう。

株式取得-株式交換

株式交換とは、発行済株式のすべてを特定の企業に取得させる手法です。
この時、株式をすべて取得された企業を「完全子会社」取得した会社を「完全親会社」と言います。

参考:
株式交換|日本M&Aセンター

事業譲渡-一部譲渡

工場機械や建物などの有形資産や商品在庫等の流動資産、営業権や人材、ノウハウなど事業に関わる資産の一部譲渡する手法を「一部譲渡」と言います。

参考:
他社の事業の一部を取得する方法|桜樹法律事務所

事業譲渡-全部譲渡

有形資産や流動資産など事業に関わるすべてを譲渡する手法を「全部譲渡」と言います。

会社分割-新設分割

*「会社分割」では売り手企業の一部を切り離して、買収企業に吸収させます。*売り手企業の株主は対価として買い手企業の株式、または現金を受け取ります。
事業譲渡とは異なり、財産移転手続きを一括で申請でき、転籍させる従業員から個別に同意を得る必要もありません。

会社分割のなかでも事業で保有していた権利や資産を新たに設立した企業へ吸収させる方法を「新設分割」と言います。

会社分割-吸収分割

企業が事業に関して有している権利義務を、すでにある他の企業に承継させる手法を指します。