「趣味で作ったハンドメイド作品を販売する」

以前なら、このような場合は"地域のフリーマーケット"あるいは"同好の士が集まる即売会"などに出店したり、期間貸しのレンタルボックスなどに陳列するのが一般的でした。ただ、その舞台は今ではインターネットへと拡がりをみせています。

従来から、個人用ホームページブログなどを通じて通信販売に応じていたケースもありましたが、取引の安全性や煩雑さもあって二の足を踏んでいたという人も少なくはありませんでした。

しかし、ネットオークションやSNSでの個人取引が盛んになってくると、今度はそのシステムを応用した"マーケットサイト"が現れるようになりました。

簡単な手続きでマーケットサイト内に自分のショップページを開設することが可能で、決済などの煩雑な手続きについてはサイトを運営する代行会社が対応。当初、海外でスタートしたこのサービス形態(仕組み)ですが、現在は日本国内でも幾つか誕生しています。

そこで今回は、1つのサイトに複数の企業や個人が商品を「出品」するマーケットプレイス型の「商品・サービス・情報の"提供者"と"消費者"をつなぐ場を提供する」サービスについてご紹介します。特に、SNSを活用した型について説明しますので、ECビジネスや個人販売等をされている方にぜひ参照ください。
  

盛り上がりを見せるハンドメイド系マーケットサイト

ハンドメイドマーケットとは

こちらでは、まずハンドメイドマーケットについて説明します。

ハンドメイドマーケットという言葉が生まれたのは2010年頃からで、インターネット上でオリジナルのハンドメイド製品(アクセサリー、洋服、帽子、バッグ、インテリア・家具)等を個人間取引できるマーケットプレス「ハンドメイドマーケット」が登場しました。

今年7月には今回で第5回目となる「HandMade In Japan Fes 2017」が東京・有明にある東京ビッグサイトで2日間にかけて開催されるなど業界的にも活気を見せています。

参考:
HandMade In Japan Fes 2017 公式サイト
  
続いて、下記ではハンドメイドマーケットの代表的なサイトを4つご紹介します。
  

1. Creema(クリーマ)

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https://www.creema.jp/

「ハンドメイドマーケットプレイス」と銘打たれたこのサイトは、株式会社クリーマ(所在地・東京)によって運営されています。このサイト以外にも、ハンドメイド系セレクトショップや、販売イベントなどの実店舗の運営も行っており、この種の商品の販売ノウハウを有している事がわかります。
ハンドメイド系商品だけではなくアート作品やフードなども扱っていて、出品ユーザー(このサイトでは「作家」と呼んでいます)は20万人を超えています。「作家」は、趣味で製作しているアマチュアやセミプロだけではなくて、その道のプロも参加しています。そのため、本格的な製品を手に入れる事も可能です。

サイトの運営は国内だけに留まらず、2016年の夏から台湾など海外版の運用も開始されています。また、専用のスマートフォンアプリはiOSAndroid合わせて500万ダウンロードの実績があります。

サイトの傾向としては、トップページをご覧いただくとわかるとおり、商品ジャンルだけではなく、「作家」のキャラクターでも積極的に推しているのが特徴です。また、会員は「キュレーション」と呼ばれる機能を使い、気に入った商品を思いどおりに並べて、ほかの会員に披露する事もできます。そこで売れた商品についてマージンなどの利益が付く事はありませんが、物作りに参加できない会員でも、文字どおりの「キュレーター」気分を味わえるという訳です。
  

2. minne(ミンネ)

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https://minne.com/

国内最大級といわれるハンドメイド系マーケットサイトです。開業は「クリーマ」より後ですが、出店作家数や商品数では大きく上回っています。GMOペパボ株式会社(東京)による運営で、昨年には同業サイト「tetote(テトテ)」と提携するなど、活発な動きを見せています。
  

3. BASE(ベイス)

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https://thebase.in/

BASE株式会社によって運営されているサイトです。こちらでは、ハンドメイド系の出品だけではなく、自分で作ったイラストや画像をTシャツやスマートフォンケースに印刷して納品する、ドロップシッピング型商品の出品もできるのが特徴です。
  

4. Esty

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https://www.etsy.com/jp/

米国に本拠地をもつ、世界規模のハンドメイド系マーケットサイトです。早くから各国でローカライズを進めており、数年前から日本語対応も開始されました。その規模は非常に大きく、現在では大手メーカーやバイヤーもEstyでのトレンドを参考に商品開発を行っているといわれる程です。商品説明などは英語が基本ですが、操作系の説明はほとんど日本語化されているので、苦手な人でも取り掛かりやすいのが特徴です。また、出品者の現地通貨で付けられた価格が日本円に換算表示されるなど、言語以外のローカライズにも積極的に取り組んでいます。
  

従来のEコマースや個人通販との違い

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ここまで幾つかの事例をご紹介しましたが、この種のサービスが従来の個人取引、あるいはECサイトによる代行サービスと大きく異なる点は何でしょうか。

1番大きな点は、先述したとおり、取引関係の手続きが非常に簡略化されている所です。代金の計算や決算などは全てサイト側で代行される為、作家は商品を用意する事に集中できます。専用口座を開設したり、複雑な契約を結ぶ必要もありません。また、SNS的なコミュニケーション機能や、ほかのSNSとの連携で出店者と購入者の関係がより緊密になる効果があります。

そして、これがある意味1番大きなポイントですが、早い段階から出品や購入の操作をスマートフォン対応にしている点です。

今までのオンライン取引はPCからの操作が主で、携帯電話からの操作はあくまで補助的なものに過ぎませんでした。しかし、スマートフォンのユーザー数がPCを超えている現在、商品の閲覧だけではなく、出店者が商品管理を手元の端末1つでできるようになっています。このフットワークの軽さは、買い手だけではなく、売り手・作り手にとっても大きな変化といえます。
  

ハンドメイド・マーケットを利用するメリット

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取引連絡や決済をサイトが代行するほかに、ユーザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

この種のサイトには、商品や作家に「お気に入り」登録をしたり、コメントを寄せたりするSNS的な機能があります。そのほかにも、TwitterやFacebookなどの大手SNSとの連携機能があるため、商品を通じた交流や口コミによるPRがしやすいという点もその1つです。個人取引ではブログや掲示板などの限られた場所での交流に留まっていましたが、SNSという大きなプラットフォームと連携する事で周知効果は大きく広がりました。

また、商品ページや閲覧履歴の端に、似たような傾向の商品を表示するサジェスト機能によって、本来は目に入らなかったはずの商品に触れる機会が生まれます。

これは購入者だけではなく、出品者にとっても大きなメリットです。先述した「キュレーション」機能も、ただ漫然と検索結果を眺めているだけでは生まれない、商品とユーザーの結び付きを生み出すのに一役買っています。

出品者にとってのメリット

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出品者にとってのメリットの一つは、売れ筋のトレンドを示すデータが容易に手に入る、という点です。トップページに表示される売れ筋商品や「お気に入り」投票数、「キュレーション」への反応などは、商品の増産や新商品の開発に向けての重要な判断材料となります。

出品者=作り手としては、買い手からの反応を直接受け取る事ができるのは、モチベーションを維持する意味で非常に大きなメリットがあります。丹精込めて作った商品に、「きれい」「可愛い」「ステキ」「買って良かった」などの感想を貰う事は、収入に匹敵する、時として上回る満足感が得られます。耳の痛い指摘を突き付けられる時もあると聞きますが、それも作家としての成長の一助となると思えば、的を得た批判も重要な経験といえます。

実務的な面からは、在庫管理の負担が軽減されるメリットが挙げられます。商品によっては受注生産方式が採れますから、完成品在庫を最低限に抑える事が可能です。この種のサイトでは、注文ページに「サイズ/色/素材」等の項目をメニュー形式で入力できる機能があるため、発注時の間違いも起こりづらいようになっています。

このようなドロップシッピング型の生産・出荷方式なら、小規模な工房や副業作家でも少ない負担で生産の継続が可能ですし、買い手の方も「自分用に誂えた1点もの」というプレミア感が得られます。
  

まとめ

陶芸や木工品など、設備や在庫の管理に広いスペースが求められる作家は、どうしてもその拠点が郊外や地方になってしまいます。そのため、販路の確保が悩みの種だとよく耳にします。

商品を置いて貰える店舗や施設を運良く確保できたとしても、多くの人の目に触れる都市部のセレクトショップや、道の駅のようなアンテナショップは限られています。

そうなると、次はネットを活用した通信販売の出番だというわけです。
こちらも旧来の方法ではアクセス数を稼ぐだけでも難しいものです。

しかし、年中無休の見本市のように、常時大量の商品が並んでいる場があれば、周知効果は格段に上がります。ハンドメイドマーケット・サイトは、このような作家にも販促の場を提供する意味でも大きな意義があります。作家自身にとっても、同業、時には異業種作家の作品に触れる機会が増えるのは、良い刺激となります。

ビジネスの側面から見ても、先にご紹介した「Esty」の項で触れたように、作家がデザインのトレンドを生み出していくようになるとします。すると、有力デザイナーやメーカーが作り出した「流行」ではなく、自然発生的な潮流がこれからの主流になっていくのではないかと考える事ができます。

大量生産により誰もが同じ商品を求める時代を経て、限定品や1点ものへと消費者の興味も移り変わっています。このような時代に、ネットワークを介したマーケットビジネスは非常に親和性が高いといえるのではないでしょうか。