休日に出かけようとした時、天気予報によって行き先を変えた経験はありませんか?
動物園に行く予定だったけれど雨が降っているから博物館に行き先を変えたり、暑いからデザートをケーキではなくアイスにしたりといった経験は誰しもあるでしょう。
気候の変化に合わせて、消費者の行動は変わります。企業にとっても、消費者の行動変化に合わせた商品展開を行うことで売上を伸ばすことができるでしょう。

こういった気温や天候などの気象情報に合わせて展開する商品や価格を変えるマーケティング戦略を*「ウェザーマーチャンダイジング」*と言います。
今回はウェザーマーチャンダイジングの意味と活用事例を紹介します。
ウェザーマーチャンダイジングは、リアルの集客に関連する店舗だけでなく、Webマーケティングでも活用されています。基本的な考え方を学び、自社の戦略にも生かしていきましょう。

ウェザーマーチャンダイジングとは

ウェザーマーチャンダイジングとは、気象を使った販売促進計画を指します。
具体的には、気温の変化に合わせて商品の仕入れや並び順、広告の方法などを変えることなどが挙げられるでしょう。

駅の売店で普段は取り扱っていないのに、雨の日だけ傘が販売していたなどの経験をしたことはありませんか?
これもウェザーマーチャンダイジングの1つの例です。

また、このような今目の前で起こっている天気に合わせたものだけなく、未来の天候に合わせた商品の仕入れや広告キャンペーンの実施なども良い例でしょう。

参考:
[弊社の取組と中期予報への期待(株式会社ライフビジネスウェザー)|気象庁]
(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/ws161214/shiryou5.pdf)
商品需要予測事業|日本気象協会
MD(マーチャンダイジング)|オービック

天気がネットにもたらす影響

*「天気が関係するのはオフラインだけでのことじゃないの?」*と思う方もいるかもしれません。確かに飲食店や小売店のような店舗では、天気が晴れか雨かでも客足に差が出ます。
しかし、それはネットの世界でも例外ではありません。

Yahoo!JAPANが2013年におこなった調査によると、天気によって行おうと思っていた予定を変更した経験がある人は全体のうち45%にものぼり、なかでも予定以外の行動をするためにネットで情報収集をした人は7割という結果が得られました。

また、雨や雪の日の過ごし方について「ネットサーフィンをする」と答えた人は42.3%とおり、「自宅でくつろぐ」「テレビ/DVDを観る」について三番目に多い結果となっています。このように、悪天候時にはネットが活発に利用されていることがわかるでしょう。

天候によって人の行動が変わることで、ネットの世界にも影響を及ぼします。特にネットショップの担当者などは天候の変化も、ショップの売り上げに影響するかもしれないと認識しておきましょう。

参考:
[「天気」によって人の行動はどう変わるのか?|Yahoo!プロモーション広告]
(https://promotionalads.yahoo.co.jp/online/whitepaper_weather.html)

ウェザーマーチャンダイジングの事例

では、ウェザーマーチャンダイジングは実際どういった場面で行われているのでしょうか。
「商品の仕入れ」と「リスクマネジメント」「ネット広告」の3つの事例を紹介します。

1.天候に合わせた商品の仕入れ

コンビニエンスストアなどの小売店では、天候に合わせて商品の仕入れ内容を変えています。特に優れた事例としてセブンイレブンの需要予測が頭に浮かぶ方もいるかもしれません。

セブンイレブンではPOSレジと発注を行うシステムを連動した情報システムを構築し、リアルタイムでの販売状況と広告キャンペーン、天候などから高精度な需要予測を立てています。これにより消費者の欲しい商品が売り切れずに販売している状態を作り出し、商品の廃棄ロスを実現しています。

参考:
情報システム|株式会社セブン-イレブン・ジャパン
基本四原則の徹底|株式会社セブン-イレブン・ジャパン

2.気象予測によるリスクマネジメント

冷夏により電気の使用量が減少する電気会社や逆に増加するガス会社など、天候が経営に影響を与える企業がいます。
そういった企業においては気象予測を用いたリスクマネジメントが必要でしょう。

実際、東京海上日動では天候により発生した損害を保障する保険商品を販売しており、天候による企業のリスク管理を補助しています。

参考:
[平成13年度調査企業の天候リスクと中長期気象予報の活用に関する調査|気象庁]
(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/chousa/)
商品概要|天候デリバティブ|東京海上日動

3.天候に合わせたネット広告の配信

天候による需要の変化に合わせた広告商品も販売されています。
Googleが提供している広告サービスであるGoogleアドワーズでは、以下のような天気情報に基づいて以下のような条件に合わせたキャンペーン設定が行えます。

・気温
・地域
・降雨量
・晴れか雨か

また、Yahoo!プロモーション広告でも、降水確率や予想気温などの天気予報や花粉情報、紫外線指数などに合わせて広告の配信内容を変える機能を導入しています。

参考:
[グーグル、天気や気温に応じ広告 最適な内容配信|日本経済新聞]
(http://www.nikkei.com/article/DGXLZO06852700T00C16A9TJC000/)
サイズミック、Yahoo! JAPANと協力して企画した天気連動型広告を配信開始| ValuePress!
天気情報に基づくキャンペーン管理|AdWords Scripts

まとめ

ウェザーマーチャンダイジングとは気温や気象にとって販売する商品や展開方法、価格などを変化させるマーケティング戦略です。
コンビニエンスストアによる需要予測はその代表例でしょう。
また、広告業界でも天候に合わせた展開をサービスに組み込んでいます。

Googleアドワーズなどのネット広告では天気に合わせて配信設定を変えることができ、天候によって影響を受ける商品に適しています。
真夏日にはクーラーの広告を多めに配信したり、逆に寒い日には暖房器具を売り出したりなど、商品と天候を結びつけることで、よりユーザーの感情に訴えかける運用ができるでしょう。