読者が普段の生活や業務で「使う」情報を得ているメディア上で、そのメディアが培ってきた語り口で自社サービスの魅力を訴求できる記事広告は、メッセージの受容度が高く、また情報量も多いため説得力の高いコミュニケーション手法です。それによって実際にサービス導入につながったり、商品購入につながるだけでなく、記事広告ならではのブランディング効果」も魅力のひとつ。

日々記事のパフォーマンスを見ながら読者の興味・関心と向き合っている編集部ならではの言語化」によって、これまでにない新しいブランドの切り口が生まれることに加え、利用者インタビューなどを行えばさらに多角的に魅力を発掘することができます。

一般的に記事広告の成果はPV数で計られることが多いのですが、この「ブランディング効果」の成否を判断するには記事内CTR、つまり「記事を読んだ人が、どれだけ実際にその先のページに遷移し、さらに詳しい情報を得ようとしたか」という行動データを見る必要があります。実は記事広告で最も成果が分かれるのはこの記事内CTRで、一般的には1%~3%と言われているのですが、*"効く"記事広告では10%~20%*にまで到達します。

PV数というのは基本的に「タイトルサムネイル」のパフォーマンスが全てで、ある程度読者の勘どころを押さえた編集者であれば狙った水準を容易に出すことができるもの。一方で、記事広告を出稿する本来の目的は「そのブランドを売るための新しい文脈創造」なので、記事広告の評価もこの「本文」のパフォーマンスである記事内CTRを主軸に置くべきです。

今回は、ferretで最近記事内CTRが20%を記録したホームページ制作ツール「Wix」様の記事広告事例を通して、記事広告ならではのブランディングを実現する3つの方法についてご紹介します。

方法①:キャスティングの説得力を使う

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インタビューという形式は記事広告ではよく見られる手法ですが、「何を」語ってもらうかの前に重要なのが「誰に」語ってもらうか。Wixの記事広告の場合は、「FARMERS' JUICE TOKYO」を運営するSKCフード社長・林 大輔氏を起用し、事業立ち上げのかたわら自らホームページを立ち上げた経緯を語っていただくという形式をとっています。

自ら事業を立ち上げた人=超多忙というのは説明しなくても読者に強く伝わるので、そんな林氏が自らホームページを作れたという事実それ自体が、Wixの「簡単さ」を伝えるのにこれ以上ない説得力を生みます。

方法②:その人にしか言えない「珠玉の一言」を拾う

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お掃除ロボットやスマートフォンなど、画期的なサービスや製品は、一度使い始めるともう二度とそれのない生活には戻れなくなるという特徴があります。しかし「これのない生活はもう想像できない」という理由を考えてみると、そのほとんどが購入前には想定していなかったものではないでしょうか。

インタビューの説得力を高めるもうひとつの手法として、体験者にしかわからない効果や便益の「実感の声」を見込み客である読者に届けるというものがあります。ユーザーは日々使っていく中で自分なりの使い方を「発明」していったり、自分のライフスタイルを商品に合わせて適応させていったりします。

そういう分厚い体験の中から紡ぎだされる「実感」のこもった一言こそ、読者を動かすチカラが宿ります。Wixの例では、「まるでパワーポイントを操作するよう」という一言が、どんな説明よりも「使いやすい」というWixの特徴をビビッドに印象づける言葉になりました。

方法③:タグラインで印象的に締める

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記事広告で最も大事なのは「締め」の段落です。それまでの全ての文脈を、改めてそのサービスやブランドの価値に集約することで、はじめて具体的な読者のアクションにつながります。ここで有効なのが、締めの段落に価値を集約する一行=タグラインを置くことです。

Wixの場合「文房具のように、Webツールを使いこなす時代」という一言です。これまではサーバを借りたり、簡単なプログラムやデザインツールを覚えたりと「ツールの習得自体」に一定の初期投資(=時間)がかかるのが当たり前だったが、これからWixでホームページを作る人にはその必要がない。

さらに、ツールを覚えるための時間はそのままユーザーコミュニケーションを考えるクリエイティブな時間に変わるので、「マーケター本来のワクワク感」まで味わえるという明るいビジョンまでを記事の中で描いています。そこまで描写しきることで、単なる機能訴求ではない、体験価値までを含めたブランディングにつなげることができるのです。

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執筆/神保康介