商品力には自信があるのに、思うように売上が伸びない......」そんな悩みを抱えているネットショップ担当者は多いのではないでしょうか。
良い商品を仕入れ、商品数を充実させることはネットショップ運営の基本です。

しかし、いくら魅力的な商品でもお客様の「欲しい」という気持ちを動かさなければ売上に結びつかないのも事実です。
商品ページのデザインやブログ、SNSの改善策を模索している方も多いでしょう。

お客様の気持ちを汲み取り、商品の魅力を伝えるためには「行動心理学」を取り入れるのも1つの手です。
「行動心理学」とは、人間の行動を軸に「欲求」など心の動きを研究したものです。人間関係の改善や広告制作など様々なシーンで活用されています。

今回は、ネットショップの売上アップの手段として活用できる「行動心理学」の手法を12種類ご紹介します。

ネットショップで活用できる行動心理学12選

1.説得的コミュニケーション

「説得的コミュニケーション」とは、他者の行動や気持ちをこちらの思う方向に「説得」することを目的としたコミュニケーションです。この方法は、人に対して行動を促したい時、コミュニケーションに「信憑性」を用います。

例えば、「この商品がオススメです!」と理由もなく伝えられるよりも「この商品は○○大学によって効果が実証されているためオススメです!」と信憑性を感じさせる根拠を添えるほうが安心できます。

このように根拠となる「信頼性」「専門性」「権威性」などがあれば取り入れると効果が見込めるでしょう。

2.松竹梅の法則

「松竹梅の法則」とは、価格を表す「松(高)・竹(中)・梅(低)」に由来する手法です。

例えば、下記のような3つの価格帯で商品が販売されているとします。

松:9,000円
竹:6,000円
梅:3,000円

この中から、多くの人は最も無難な「竹」を選ぶ傾向が強くなります。これは、高価な「松」があるので「竹」を安く感じられ、非常に安価な「梅」があるので「竹」に価値を感じるという傾向を活用した手法です。

同じ商品でも「素材」や「製法」などで差異を出し、3つのグレードを用意することで販売しやすくなります。また、セット販売や福袋といったキャンペーンの際も3タイプ用意し、「竹」に値するセット商品は利益率の高い商品を置くことで売上向上に繋げられるでしょう。

3.カリギュラ効果

「カリギュラ効果」とは、「禁止」されることによって生じる心の反発を利用した手法です。「絶対に○○しないでください」と言われることで「してみたい」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。

売りたい商品がある場合、「お得で良い商品なので買ってください」と単純に買ってほしい意思を伝えると、押し付けられた感覚になるため受け入れづらくなる傾向があります。

逆に「この商品の価値がわからない人は買わないでください」と伝えると、特別な商品であるようにみえて購入されやすい傾向があります。

独自性の強い商品や、高価な商品を販売したい時のキャッチコピーとして活用できるでしょう。

4.スリーパー効果

「スリーパー効果」とは、信頼性の低い情報でも時間の経過とともに「信頼性の低さ」が薄れ、得た「情報」だけが記憶にのこる傾向を利用した手法です。

例えば、「たった3日で美白を実感」という化粧品の広告を目にしたとき、誰でも胡散臭いと感じるでしょう。しかし、時間が経つほど「美白の化粧品」という情報だけが記憶に残るのです。情報源の信頼性が曖昧でも、自然と関心を抱いてしまう心理傾向があります。

もちろん悪用は厳禁ですが、創業間もない認知度の低いネットショップを運営しているのであれば、定期的にブログなどで「商品の魅力」などの情報発信をし続ければ、売上に繋がる可能性が高くなるでしょう。

5.返報性の法則

「返報性の法則(原理)」とは、人から物や情報などを得た時に“お返し”をしなければならないと感じる気持ちを利用した手法です。

親切にされたとき、なにかお礼をしようと思ったことがあるのではないでしょうか。

返報性の法則を活用するためには、相手が貰って「嬉しい」と感じるような物や情報を与えることが重要です。この手法は様々なシーンで活用されています。例えば、化粧品などを購入した際に配られる試供品などが該当します。「無料でもらえた」「新商品を試せる」といった嬉しさから、何もなかった時と比較してリピート率の向上が見込めるでしょう。

ネットショップの場合、試供品を同梱することもできますし、次回から利用できる割引クーポンを配布するといった活用方法があります。

6.テンション・リダクション効果

テンション・リダクション効果」とは、緊張状態が収まると気持ちが緩むという傾向を利用した手法です。人は緊張状態から開放されると気持ちが緩む傾向があり、商品を購入しやすい状態になります。

特にブランド品や車など高額な商品の購入を検討する時、「本当にこれを買うべきなのか」など購入直前まで不安に感じることもあるでしょう。
目的の商品を購入した後にオプション品や、手頃な他の商品をついでに買ってしまった経験のある方もいるのではないでしょうか。

ネットショップでは、カート画面に「この商品を買った方にオススメな商品」と関連商品を表示させるなどの活用ができるでしょう。

定番のカートシステムには、おすすめ商品を表示する「レコメンドエンジン」という機能がもともと搭載されているものもあるので参考にしてみてください。

7.バンドワゴン効果

「バンドワゴン効果」とは、大勢の人から支持を集めている商品は、更に支持を集めるという傾向を利用した手法です。「いま話題の商品」と聞くと、つい気になってしまった経験があるのではないでしょうか。

これは、商品そのものの価値よりも「支持を集めていることに安心感を覚える心理傾向を利用しています。そして、「みんなが知っているのに、自分は知らない」という不安な気持ちが働き、関心を寄せることもあります。

ネットショップでは場合、購買層に合わせて「主婦の間で話題」「テレビで注目されたあの商品」などキャッチコピーに活用できるでしょう。また、先に上げた「レコメンドエンジン」を利用し「みんなが買っている商品」として人気商品を表示させる方法もあります。

8.スノップ効果

「スノップ効果」とは、先の「バンドワゴン効果」と相反する手法です。具体的には、他者と比較したとき「まだ誰も知らない」「自分だけが知っている」という希少性に魅力を感じるという心理傾向を利用します。

高級ブランド品や入手困難な一点物の商品など、「所有しているステータス感」を満たす商品の販売に向いてます。ブランド志向の強いお客様や、人気商品に反応を示さないお客様をターゲットにする場合に活用してみましょう。

また、必ずしも販売する商品に希少性がなくとも活用できます。例えば、ネットショップでは多くの場合「会員登録」機能があります。登録してもらったお客様に限定し「シークレットセール」を行うなど、購入へのハードルをあえて作ることで同様の効果を生み出すことができるでしょう。

9.フレーミング効果

「フレーミング効果」とは、同一の情報でも見せ方を変化させることで全く違うイメージを与える手法です。

例えば、以下のキャンペーン告知をご覧ください。

1.「100人中80人が落選するプレゼントキャンペーン」
2.「100人中20人が当選するプレゼントキャンペーン」

また、以下の食品の栄養成分を利用したコピーをご覧ください。

1.「ビタミンCを1g配合しています!」
2.「ビタミンCを1,000mg配合しています!」

比較してみると、得られる情報は全く同じでありながら「2」の方が「お得」に感じられるのではないでしょうか。このように表現方法で受け取る印象が大きく異なります。キャンペーン告知や商品コピーなど数字を利用するシーンで活用できるでしょう。

10.バーナム効果

「バーナム効果」とは、どんな人にでも当てはまることを、あたかも「自分だけ」に当てはまるように感じさせる手法です。これは、占いなどにも活用されています。

例えば、次のような文言をご覧ください。

「あなたはいま、仕事の悩みを抱えていませんか?」
「健康を意識しているのに、時々目覚めが悪いと感じることはありませんか?」

多くの人に当てはまることですが、「言われてみるとそうかもしれない」と該当しているような印象になります。

ネットショップでは、ランディングページブログなどコンテンツを作るときに活用できるでしょう。具体的には、「悩み」や「不安」「違和感」を提示し、解決策として商品を訴求するといった方法です。

11.ヴェブレン効果

「ヴェブレン効果」とは、商品の価格が高ければ高いほど得られるメリットが大きいと感じる心理傾向を利用した手法です。例えば、1足2,000円のランニングシューズよりも1足3,500円のランニングシューズのほうが快適に走れるように感じるというものです。

明らかな価格差がある場合は例外ですが、わずかな価格差の場合大きな違いは無い場合も多いです。しかし、そのわずかな価格差を比較した時、予算内であれば高い方を購入する方もいるのではないでしょうか。

専門店などであれば、取り扱っている商品ジャンルは同じでありながら価格差を付けられるため活用しやすいでしょう。

12.アフォーダンス理論

アフォーダンス理論」とは、既に「知っている」「体験している」ことと、目の前にあることを結びつける心理傾向を利用した手法です。例えば、ドアがあればノブを回して開けるといった過去に経験した行動を無意識に行う心理傾向です。

ホームページのデザインで活用されています。
「青い下線の入ったテキスト」はリンクと認識しやすく、「再生マークが書かれたボタン」であれば動画や音楽が再生されると認識できます。

このようにユーザーの経験に基づいたデザインを施すことで快適に利用してもらえるでしょう。

ネットショップで活用する場合、カートボックスのデザインや商品画像と画像リンクの区別など様々な点において活用できるでしょう。