個人が所有する「空いた時間」「空いた場所」「空いた労力」などのリソースを人に提供する「シェアリング・エコノミー」というサービスが日本でも普及しはじめました。日本国内でも「民泊」が解禁されはじめ、ますます利用者が増加すると見込まれています。

また、民泊にかぎらず様々な個人リソースを用いたシェアリング・エコノミーサービスが登場しています。「共有(シェア)」を軸としたビジネスは前例が少なく課題も多くあります。とはいえ、「個人の空いたリソースを共有」するという仕組みは、既存のビジネスと比べコストや効率という面で様々なメリットがあるでしょう。

今回は、「シェアリング・エコノミー」についてメリットと課題を解説し、「シェア×◯◯」で成り立つ具体的なサ−ビス事例をご紹介します。

「シェアリング・エコノミー」とは

シェアリング・エコノミー」とは、個人の所有する空間や時間、労力などを共有したり、所有している物を取引する仕組みを指します。

アメリカのシリコンバレーで生まれた、民泊サービスの「Airbnb」や自家用車のシェアとタクシー配車を手がける「Uber」が代表的なサービスです。

当初は、家や車のような「仕事中空けている」時間を活用したサービスが主流でしたが、現在では「労力(労働スキル)」や「物品の取引」など、あらゆるリソースを活用したCtoCサービスが展開されています。

日本国内でも2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日客の宿泊施設と移動手段不足を解決すべく、官民連携で取り組みが進められています。

参考:
シェアリング・エコノミー―ソーシャルメディアを活用した新たな経済(PDF)|総務省

「シェアリング・エコノミー」の普及によるメリット

シェアリング・エコノミーが普及することで、BtoCサービスと比較してどのようなメリットがあるのでしょうか。

1つ目に挙げられるのが、*借り主にとって低価格でサービスを利用できることです。*限られた時間など、「空いたリソース」を提供するため、BtoCサービスと比較したとき安くなる傾向があります。

2つ目は、貸し主にとってのメリットです。*空いたリソースを使っ収入が得られるため、効率的な副業ができます。*また、スマートフォンアプリを介して簡単に始められる点もメリットでしょう。

日本国内では、2017年に全国的な民泊解禁する「民泊新法案」が決まりました。まだ認知度は低いですが、今後の普及が期待されています。

参考:
民泊、全国で解禁 新法案を閣議決定 |日本経済新聞

法整備・個人間トラブルetc...シェアリング・エコノミーの課題

シェアリング・エコノミーには課題もあります。個人間取引による新しいビジネスモデルなので、法整備を見直す必要があるためです。

例えば、自宅や空き家を利用した民泊サービスの場合、「宿泊料を受けとり、他人を宿泊させる」ものなので、*今までの法律では「旅館業」と見なされ、フロント設置義務や事業の許可が必要です。*そのため、規制の緩和に向けた取り組みが進められています。「住宅宿泊事業法」として、事業者として登録は必要ですが、既存の旅館業法は適用しないというものです。

また、個人が宿泊場所を提供することから、*鍵などのセキュリティ面での課題があり、宿泊場所の安全性、近隣住民とのトラブルが懸念されていることも課題です。*事業者の登録制など法整備の見直しによって制度の改善が進められています。

参考:
民泊、管理業者に登録制 トラブル対応義務化へ新法|日本経済新聞