BBC Tasterのバイラル戦略

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画像引用元:Taster VR

ブルータルなデザインを採用しているBBC Tasterのブランディングですが、使い方をシンプルにすることで、バイラルに(口コミで)コンテンツが広がるような工夫がなされています。

例えば、BBC Tasterのホームページで紹介されている基本的な使い方は「Try」「Rate」「Share」に集約されます。
  

Try (観てみよう)

まずはBBCで製作された新しいコンテンツをジャンルに関係なく、見てみることが推奨されています。

実際、BBCはTasterのことを「実験場」だと表現しており、「作り込まれた」コンテンツというよりは、「試しに作ってみた」コンテンツに近いので、たくさんのフィードバックを期待しているのです。
  

Rate (評価しよう)

このプロジェクトを本格的に始動させるのに、ユーザーのフィードバックを期待しています。

とは言っても、VRコンテンツを閲覧したら、その作品に星5つのうちいくつの星をあげてもよいかを評価するだけです。
非常にシンプルで簡単な評価方法かつ、「評価してみよう」と必ずと言っていいほどポップアップが出てくるので、ほとんどの評価がとりこぼされずに蓄積される仕組みになっています。

Share (シェアしよう)

Rateの5つ星評価の部分でコメント機能を付けなかったのは、ある意味でBBC Tasterの戦略であるとも言えます。

このVR作品に何か一言もの申したい時に、BBC Tasterプラットフォーム上ではなく、それぞれが使っているソーシャルメディア上でコメントさせることで、バイラルに広がり、閲覧者をどんどん増やしていく構造が作られています。
  

BBCがVRを展開する意味

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画像引用元:Vrupple

現在、BBC Taster VRで閲覧することができるコンテンツはまだ限られていますが、BBCは今後さらにコンテンツ量を増やそうとしています。
BBCはドキュメンタリー作品やドラマ作品なども手掛けているので、製作コンテンツとしては幅広い品揃えになっていますが、もしこの分野でVRが広がれば、今後は時事ニュースでもVRを使った報道が増えてくるかもしれません。

実際のところ、アメリカのNew York Times誌は、2016年11月にニュースフィードの一部として360度動画を使ったVRストーリーを始めており、第1弾として戦争でボロボロになったイエメンの市街の様子をVR動画で生々しく伝えています。

また、BBC TesterのWebサイトではVRに対応していない作品もチェックすることができますが、この中には「ドクター・フー」などの有名なドラマ作品も並んでいます。BBCが率先してVR界を先導していけば、360度カメラで、まるで自分がその場にいるかのような感覚のドラマが一般に普及するかもしれません。