どのような行為がコンプライアンス(コンプラ)違反になるの?

コンプライアンス違反に該当するのは、どのような場合なのでしょうか。実際に起きたコンプライアンス違反の事例から学んでいきましょう。

コンプライアンス(コンプラ)の違反事例

帝国データバンクの調査によると、2018年度のコンプライアンス違反倒産は233件で前年度比0.9%増。違反類型別では「粉飾」が73件で2018年度の最多となり、詐欺や横領を指す「資金使途不正」が59件と過去2番目の高水準となりました。

また、株式会社東京商工リサーチは、2016年度にコンプライアンス違反によって倒産した企業に関する調査を発表しました。

調査結果によると、2016年度にコンプライアンス違反によって倒産した企業は178件あります。これは前年度の191件と比較して減少しており、コンプライアンスの考え方が以前よりも浸透していることが伺えます。実際に違反した事例で最多だったのは業法違反や法令違反で、次に多いのが脱税などの税金関連の違反です。

「うちは法令違反なんかしていないから大丈夫だよ」と思った方がいらっしゃるかもしれません。ですが、法令違反や脱税だけではなく、より身近なところでコンプライアンス違反をしてしまっている可能性があります。

例えば、サービス残業、パワハラもコンプライアンス違反に該当する危険性が十分にあります。自分でも気づかないうちにコンプライアンスに違反してしまったということにならないためにも、どのような行動が違反に該当するのか知っておきましょう。

参考:コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2018 年度)

個人情報流出

個人情報の流出が多く見られるコンプライアンス違反の一つでしょう。個人情報の流出は顧客に迷惑をかけるだけでなく社会的信用を傷づけることになります。顧客の個人情報は企業にとっての資産であり、絶対に保護しなければならないものです。

労働時間、労働管理

労務に関するコンプライアンスは、賃金や労働時間、パワハラなど多岐に渡ります。労務の最大のミッションは労働関連の法令を遵守し、従業員のモチベーションを高め、働きやすい環境を整えることといえるでしょう。

コンプライアンス(コンプラ)違反が起こる原因

コンプライアンスの原因の一つとして、自分がとった行動が違反していることに気づいていないことが挙げられます。違反に気づかずそのままになってしまうと、違反している状態そのものが当たり前になってしまうという危険性があります。

また、仮にコンプライアンス違反だと気づいていても、それを報告、相談しにくい環境では改善することは難しいでしょう。例えば、サービス残業が当たり前になっている会社では、社内で報告しづらいことが予想できます。

コンプライアンスの正しい知識が社内に浸透しておらず知らないうちに違反してしまう、あるいは社内が相談しにくい環境にあり、気づいていてもそのままになってしまっているといった原因が考えられます。

参考:第1回 コンプライアンス違反を引き起こしやすい組織の特徴

コンプライアンス(コンプラ)で気を付けるポイント

コンプライアンスに違反しないためには、どんなポイントに気をつければいいのでしょうか?気づかないうちに違反してしまうことがないよう、まずはコンプライアンスに関する正しい知識を身につけることが重要です。

書籍を読んだり、外部の講師を社内に呼んで研修を行ったり、セミナーに参加したりといったさまざまな方法があります。また、社内でコンプライアンスに関する相談がしやすい環境を作るという方法もあります。

会社によっては、CCO(Chief Compliance Officer)と呼ばれる社内のコンプライアンスを統括する役職を設置していることもあります。CCOの設置が難しい場合でも、社内で相談できる窓口を作るなど、相談しやすい環境作りが大切です。また、東洋経済では内部通報が多い企業ランキングを発表しています。

内部通報が多い会社にネガティブな印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。ですが、内部通報が多ければ、それだけ社内がコンプライアンスに関して相談しやすい環境といえます。同じ業界でランクインしている企業があれば、参考にできるポイントがあるかもしれません。

参考:コンプライアンスとは?意味や違法事例、企業が気をつけるべきことを社労士に聞きました