イラストコミュニケーションSNSの「pixiv(ピクシブ)」は漫画やアニメなどが好きな方だけでなく、Webサービスに関連した企業に勤めている方にとっても注目しているサービスではないでしょうか。

2017年9月時点でユーザー数は2,700万人を超え、約7,300万作品が投稿されています。また、pixivコミックやBOOTHのような関連サービスが数多く提供されているのも同サービスの特徴でしょう。
「pixiv(ピクシブ)」は2007年にリリースされ、2017年9月10日に10周年を迎えました。この10年の間にpixivでは数々のサービスを生み出しており、マネタイズに苦慮してきた過程が見えてきます。

今回は、pixiv関連サービスを分析し、広告依存から抜け出すためのマネタイズにおける2つのポイントを解説します。

参考:
[pixivリリース10周年記念! ユーザーの活動データに基づいた「あなたのpixiv史」を楽しめる 10周年記念サイトを公開 | ピクシブ株式会社] (https://www.pixiv.co.jp/press-release/archives/5013/)

pixivとは

pixiv_.png
https://www.pixiv.net/

「pixiv(ピクシブ)」とは、イラストや小説を投稿し、他のユーザーとコミュニケーションを行えるSNSです。

2007年にリリースされて以降、ユーザー数を増やし、2017年9月現在では2700万人以上に利用されています。pixivでは投稿機能だけでなく、コメントや「いいね」を通してユーザー同士で交流することができます。
企業とコラボしたイラストコンテストも開催されており、ユーザーが楽しむための仕組みがあるのがサービスの特徴でしょう。

参考:
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:国家試験iパス公式キャラクターイラストコンテスト

pixivが展開するサービス

pixivは2017年9月現在、約7,300万のイラストや小説が投稿されている大規模サイトであり、ユーザーをつなぐプラットフォームとなっています。
展開しているサービスはpixiv内にとどまらず、WebコミックやQRコード決済サービスにまで広がっています。

【pixivが展開するサービス(一部)】
 ・pixivコミック:Webコミック総合サイト
 ・BOOTH:ネットショップ作成サービス
 ・pixivFACTORY:冊子・グッズ作成サービス
 ・pixiv Sketch:PC・スマートフォン対応イラストアプリ
・Pawoo(パウー):Mastodon(マストドン)を利用したタイムライン形式SNS
・pixiv PAY:QRコード決済サービス

参考:
事業紹介 | ピクシブ株式会社

サービスごとのビジネスモデル

pixivでは、QRコード決済サービスやタイムライン形式SNS「Pawoo(パウー)」の運営など、一見するとイラストとは関連しないサービスも展開しています。
では、それぞれのサービスは何故成立しているのでしょうか。マネタイズという視点で2つのサービスを分析します。

1.pixivコミック

pixivコミック___無料で読める漫画や新刊情報のコミック総合サイト.png
https://comic.pixiv.net/

「pixivコミック」は、pixivが運営しているWebコミックの総合サイトです。pixivコミック独自の連載作品だけでなく、集英社やスクウェアエニックスといった出版社が発行している漫画雑誌の連載作品も掲載されています。

スクリーンショット_2017-09-13_15.15.07.png
引用:電子書籍は今やコミック市場の30%超 講談社とpixivが新アプリ発表の場で語ったこと |KAI-YOU.net

pixivコミックでは、ユーザは掲載されている作品をすべて無料で読むことができるため、基本的にユーザーから利用料金の支払いがされることはありません。
一方で、出版社と提携し、掲載している作品の商品情報を掲載することでマネタイズを成立させています。

また、アプリ内では広告も掲載されており、広告収入も得ています。
2017年9月現在でアプリのダウンロード数は200万を越え、55万人ものユーザーが毎日ログインしていることからも安定した広告収入を得ていることが予測できます。

2.BOOTH

BOOTH___創作活動がより楽しくなるショップ作成サービス.png
https://booth.pm/ja

「BOOTH」はクリエイター向けのネットショップ作成サービスです。
「pixivFACTORY(ピクシブファクトリー)」のようなグッズ作成サービスで作成した冊子やグッズを、クリエイター自身で販売することができます。

ユーザーがサービスを利用する際には初期費用・月額利用料・販売手数料はかかりません。ただし、決済手数料として決済金額の3.6%+10円がかかるほか倉庫サービス利用時には、送料・保管料といった費用が発生します。

また、転送コムが運営する海外転送サービスを利用して、商品を海外にも発送できます。個人の場合、漫画やイラスト作品を求める人が海外にいても発送手続きに手間がかかってなかなか取り組めません。
「BOOTH」では、このような個人がネットショップを開設する上でのハードルを低くすることで、ユーザーから収益を得ることに成功しています。

参考:
[自家通販・同人通販の無料ネットショップ作成はBOOTH | BOOTH] (https://booth.pm/shop/new)
[転送コム運営の海外転送サービス] tenso.comを利用してBOOTHの商品を海外発送しよう【転送コム】

広告依存から抜け出すためのマネタイズにおける2つのポイント

pixivはシステム開発会社からスタートしており、サービス自体も社内のプログラマーが独自に開発したイラスト検索サイトがもととなっています。
現在では10以上のサービスを展開する大規模サイトとなったpxivですが、公開当初のマネタイズはサイトに掲載する広告収入に依存しており、赤字と黒字を繰り返している状態でした。

では、そのような広告依存のマネタイズから脱却する際に、どのような工夫があったのでしょうか。2つのポイントを紹介します。

参考:
コミケのような空間をネットでも――急成長「pixiv」が描く“第2章”の青写真 (1/2) |ITmedia NEWS
企業データ |ピクシブ株式会社 採用サイト
巨大イラストコミュニケーションサイト「pixiv」を運営するピクシブ株式会社に広告マネタイズについて聞いてきました | fluct magazine

1.広告主だけでなくユーザーから利用料金を得るビジネスモデルへ

pixivでは下記のように、「ユーザー第一主義」を社内の考え方として重視しています。

ピクシブでは常にユーザーの皆さまの視点に立った事業を展開したいと願っています。新機能のリリース案などで議論が行き詰まった時も、最後にはこの考えに立ち返って考え直します。Twitterやお問い合わせ等で柔軟にユーザーの声を取り入れているのもピクシブの大きな特徴の一つです。
キーワード |ピクシブ株式会社 採用サイト

この考え方に基づいて、広告掲載で収入を得るだけでなく、ユーザー向けの有料会員システム「pixivプレミアム」を展開することで、ユーザーを意識した経営へとビジネスモデルを切り替えています。
また、営業のリソースに依存する広告とは異なり、有料会員は月額のため安定した収益が望めるのもポイントでしょう。

参考:
巨大イラストコミュニケーションサイト「pixiv」を運営するピクシブ株式会社に広告マネタイズについて聞いてきました | fluct magazine

2.専門分野は積極的に他者と提携

pixivでは自社だけでなく、他社と提携しているサービスが数多くあります。

例えば「pixiv Sketch」では、着色サービスの「PaintsChainer」と連携することで、AIによる自動着色機能が利用できるようになっています。
他にも、転送コムの海外転送サービスと連携しているBOOTHや、フジテレビと提携した番組「いらこん」など積極的に他社との提携をはかっています。pixivでは、こういった提携を通して、自社のリソースを投資するよりも確実に優れたサービスを提供し続けてきました。

その結果、少ない投資でユーザーに対して新しい価値を提供することに成功しています。
こういった他社に頼る姿勢も、マネタイズには時として必要となるでしょう。

参考:
[Pawoo、25万ユーザーに到達 pixivの10周年前日に| ITmedia NEWS] (http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1709/09/news022.html)
お絵描きコミュニケーションアプリ「pixiv Sketch」と線画自動着色サービス「PaintsChainer」が連携。イラストの自動着色機能を提供開始!| Preferred Networks

まとめ

pixivではこの10年間の間に下記のように新しい会員向けサービスを次々と提供してきました。

・pixivプレミアム:会員向け有料拡張機能
・BOOTH:グッズ販売サイト
・pixivコミック:Webコミックプラットフォーム
・Pawoo:会員向けマストドン
・pixiv Sketch
・pixivペイ

これらのサービスに一貫しているのは、よりユーザーにイラストを描く楽しさを感じて欲しいというユーザー第一主義です。ユーザーを重視するために広告収入だけでなく、pixivプレミアムやBOOTHのように会員向けの料金を設定するビジネスモデルへと切り替えたのも、そのような理念からです。

特にイラストという嗜好性の高い分野では、ユーザーが使っていて楽しいと感じるかがサービスの評価に繋がっていきます。Webサービスを提供している企業にとっても、pixivの視点には学べるところがあるでしょう。