日本の携帯電話は独自の進化を遂げ、ガラパゴス化という言葉も生まれたほど、私たちの常識は世界の常識とズレがあることもしばしばあります。

ちなみに、ご近所の東南アジアでは今何が主流なのか?皆さんはご存知でしょうか。

本記事ではタイ・バンコクでうかがった10〜20代女性の声をお届けします。マーケティングで重要視されるF0、F1層の女性たちの「普通」とは一体なんでしょうか。

これから海外、特にアジアを対象にマーケットの拡大を図りたいとお考えの方や、現在すでに進出しているものの、なかなか成果が出せずにいる方にオススメです。ぜひ普段の業務にお役立てください。
  

タイのSNS事情

SNSが発達し、個人の声が多くの人に届く仕組みが整った現代。SNS大国のタイでは、その流れがより顕著です。SNSがより身近な存在だからこそチャットを使って、対個人でショッピングをするチャットコマースが通信販売のメインを据えるのでしょう。とはいえ、日本人の私たちから見ると、不思議にも思えるタイのマーケット……。

そこで今回は、当社で働くタイ国籍のキティに現地で取材をしてもらい、現在のタイにおけるSNS/Web事情等について調査しました。

今回取材を行ったエリアは、タイ・バンコクのサイアムエリアという地域で、キティ曰く「日本の街で例えるなら、新宿と渋谷を足して2で割った」ような街でタイの流行の発信地とのことです。

8383_001a.jpg
  

タイガールズのSNS/Webサービスの使い方

8383_002a.jpg

8383_003a.jpg

FISM:
友だちとのやりとりは、何を使うことが多いのでしょうか。

タイの女性:
LINEがほとんどです。

FISM:
情報や何か調べ物をする際は、何をお使いでしょうか。

タイの女性:
SNSですね。特にFacebookとInstagram(インスタグラム)がほとんどで、雑誌は最近あまり見てません。仮に見たとしてもebooks(電子書籍)のほうが多いです。

FISM:
よく使うサービスは何でしょうか。

タイの女性:
どこでご飯を食べるか調べる時は、Wongnai(ウォンナイ)がとっても便利です。あと、商品を買う前にPantip(パンティップ)もチェックすることが多いですね。
  

タイの女性の間では、タイ版の食べログとでも言うべき Wongnai がお店選びの選択肢としてかなり浸透しているようで、同様に注目なのがPantipでした。
  

Pantipとは…

タイで絶大な信頼を誇る掲示板サイト。タイのリサーチをするなら、まずはここをしっかり読み込まないと始まらない!といっても過言ではありません。生活用品から旅行まで、あらゆるジャンルのレビューが集まっています。

8383_004a.jpg

8383_005a.jpg
※Similar Webによると月間トラフィック数

PantipはSimilar Webによると月間トラフィック数は月間2億件を超えるお化けサイトです。タイの人口が6,800万人ですから、Pantipはタイの人々の生活に馴染んでいると言えるでしょう。

タイ語がわからなくても、ブラウザ上で日本語や英語に翻訳してざっと眺めれば、タイで今注目を浴びていること、ものの情報を知ることができます。現在のタイを知りたい時は、まずはPantip内をネットサーフィンしてみるのがオススメです。
  

インターネットとリアルイベント、iOSとAndroidのバランス

街頭でインタビューを行ったすぐ近くでドリンクの試飲が行われていたのですが、次から次へと試飲が無くなり、フォトブースも大人気でした。そのことについて女の子たちに話をうかがうと、「タイ人はサンプル配布とかが大好きだから、店頭イベントをやると割と人は集まりやすいと思う!」との声が聞こえてきました。

確かに、サイアムのショッピングエリア周辺では、店頭でのイベントをあちこちで目にすることができ、どこも人が集まっている様子がうかがえました。タイでのマーケティングを検討する際は、インターネットの活用はもちろん、リアルな場とのバランスが重要です。

さらに、オンライン、オフラインのバランスに加えて考えたいのが、OSのバランス。タイのスマートフォン普及率は70%を超え、街を歩いていても生活になくてはならないものとなっているのを実感できます。そしてちょっと注目したいのがスマートフォンのOSで、タイではなんとスマートフォンOSの80%近くがAndroidというから驚きです。

8383_006b.jpg

日本はiOSが多い(iOS65%、Android32%。2017年8月現在)ので、ついつい基準に考えがちですが、これはアジアの中でもレアケース。アジアのほかの国はAndroidの方が普及率が高い場合が多いので、日本の先入観にとらわれず、現地のリアルを丁寧にすくい取ることが大事です。

参考:
Consumer Barometer with Google|Thailand

StatCounter GlobalStats
  

タイの女子会に潜入! チャットコマースはこんなに身近

SNSや通販についてのリアルな声をもっと教えて!ということで、次は女子会にお邪魔してあれこれうかがってきました。

果たして、タイのバンコクで働く女子は、どのようにSNS、通販を活用しているのでしょうか。

8383_007a.jpg
タイの女の子は女子会が大好き!

FISM:
主に使っているSNSと、そうでないものの使いわけについて教えてください。

タイの女性:
インスタグラムは商品の検索に使うことが多いですね。基本的には、芸能人やインフルエンサーを中心にフォローしています。Facebookは友だちの近況を見るためにチェックすることが多く、普段の友だちとのやりとりはLINEがメインです。

FISM:
SNSを使って商品を購入(=チャットコマース)をしたことはありますか。

タイの女性:
もちろんあります。忙しい時は特に便利で、通信販売(ECサイト)、店舗、チャットコマースを使いわけて買い物をしています。実店舗で見て、ネットで買うことも多いですね。インスタグラムで買うのは化粧品がほとんどで、日本の化粧品もよく見かけます。お気に入りのショップは、SOS. SENCE OF STYLEやMatchboxです。

FISM:
ちなみに、対個人でショッピングをする上で、商品が届かないなどのリスクはありませんか。

タイの女性:
もしも商品が届かない場合は、ほとんどのチャットコマースがプロフィール欄に電話番号を記載しているから普通に電話します。そこはアナログな方法でやり取りをしていますね。
  

まとめ

「ミレニアル世代」という単語を聞くことも多くなってきましたが、彼女らは間違いなく、これからの時代をつくっていく世代です。日本よりもスマートフォンの普及率が高いタイでは、SNSやWebサービスが生活に必要不可欠なものになっており、チャットコマースが通販の主流を占めるのも納得です。

海外でマーケティングを行う場合は、対象サービスのターゲットや目的が、現地の生活に馴染むものなのかどうかを今一度見直してみましょう。実際に話を聞いてみると、新しい糸口が見つかるかもしれません。