目盛りの刻みを合わせない

2つのグラフを比較する場合、その高さを表す目盛りを連動させないというテクニックがあります。これは折れ線グラフや棒グラフで特に有効です。

以下の図を見てください。フジテレビで2016年12月16日に放映された「池上彰緊急スペシャル なぜ世界から格差はなくならないのか?」で紹介された日本と米国の所得推移を表す折れ線グラフを再現しました。

ちなみに当時、テレビで放映されたグラフ結果と微妙に違いますが、その理由として途中の計算式で代入する人口データが微妙に異なるためだと考えます。

8508_002.jpg

グラフを見比べると、アメリカは1994年以降、日本も2000年以降、上位1%の所得と下位90%の所得が広がり続ける一方だとわかります。

ただし、双方のグラフは目盛りが違います。

グラフの中で表現している「高さ」が双方見比べて同じように見えても、その高さが実際の数字でどれくらいか表すには目盛りを見比べる必要があります。

1つのグラフで表現した結果、以下のようになりました。

8508_007.png

メモリを合わせたことで、最初に見せたグラフと異なる印象を抱いたはずです。

言い換えれば、この「目盛り」さえ好き勝手にいじってしまえば、折れ線グラフや棒グラフであなたに都合の良い結果を表現できるのです。
  

累積データで表現する

時系列なデータの場合、その殆どが日毎、週毎、月毎、年毎です。累積で表現されるのは稀です。

累積で表現すると、集計毎の増減がわからないからです。しかし、だからこそ累計データを使うテクニックが有効な時があります。

以下の図を見てください。あるアプリの累計DL数を表現するデータです。

8508_005.jpg

リリース日以降、指数的にDL件数が増えているように見えます。しかし、日毎のDL数で表現するとどうなるでしょう。

8508_006.jpg

日単位で細かくハネているので見辛いのですが、実は直近3ヵ月は落ち込んでいます。

新薬で命が助かった人など、その時点での累計数こそ重要な場合もあります。累計が一概にダメとは言えませんが、錯覚を生みやすい表現方法だと言えます。
  

3次元で表現する

ダメなグラフの代名詞とも言えるのが3次元を用いた表現方法です。

例えば、円グラフなら円の「角度」から内訳を感覚的につかめます。2次元で正確に表現される角度も、3次元で表現すれば自在に変えられます。

試しに目の前にあるキーボードの角を、真横から、右斜め30度から、左真下60度から見比べてください。同じ角度に見えないはずです。

つまり、高さに「奥行き」が表現されると、人間の目は錯覚を起こしてしまうのです。

以下の図を見てください。真ん中の太い棒は全く同じ高さなのに、奥行きを与えたことで違うように見えます。

8508_001.jpg

言い換えれば、3次元で表して奥行きを表現してしまえば、どんなグラフであっても勘違いを起こしやすいのです。