生体認証の主要な方法とは

人によって異なる体の特徴を活かすことから、指や目など様々な部位が生体認証に活用されています。では、具体的にどのような認証方法が用いられているのかを確認してみましょう。

指紋認証

指紋認証とは、指紋の特徴を用いた認証方法です。指紋にある隆線の分岐点や終点、位置や方向などを元に個人を識別する「マニューシャ方式」と指紋全体の特徴を識別する「パターンマッチング方式」の2種類の認証方法があります。

生体認証技術の中でも多くのシステムで活用されているため、技術的な成熟度も高いと言われています。しかし、指は汗や湿気による形状の影響を受けやすいほか、傷があることで認証が困難になるというデメリットもあります。

【利用されているシーン】
・PCの保護
・スマートフォンの保護
・入退出管理システム
・銀行のATM

顔認証

顔認証とは、個人の顔の特徴を用いた認証方法です。目や鼻、口といった顔の特徴を検出し、特徴の位置を認識します。そして、顔全体の大きさや色味等を認識することで個人を識別できるという特徴があります。

セキュリティにおいては端末の保護などで用いられるのが一般的ですが、イベント会場の入場パスなど簡便な個人認識方法としても利用されています。登録時の顔などの角度によって、本人拒否が起こりうるほか、成長や老化による変化に対応するための再登録が必要です。

【利用されているシーン】
・PCの保護
・スマートフォンの保護
・入退室管理システム
・個人判別システム

虹彩認証

虹彩認証とは、眼球の黒目部分にある瞳孔を拡大・収縮させるための筋肉「虹彩」を用いた認証方法です。筋肉の皺の形状パターンを認識することで個人を識別します。他人受入率が低く、偽造が困難であることからセキュリティ強度が非常に強い生体認証と言えるでしょう。

とはいえ、指紋認証と比べて機器の導入コストが高いため、利用するシーンは限られるでしょう。

【利用されているシーン】
・スマートフォンの保護
・海外の一部空港における入国手続き
・入退室管理システム

声紋認証

声紋認証とは、声の持続時間と周波数帯(音の高低)で識別する生体認証方法です。特定の文言を発することで、時間と周波数を認識します。マイクと認識するためのソフトウェアがあれば利用できるため導入コストが低いという特徴があります。

一方で、体調によって声の周波数が異なる場合があり、本人拒否が発生する可能性があります。また、身体の部位を用いる認証方法と異なり、声の質が似ているなど、特定の環境下において他人でも認証できてしまうリスクがあります。

【利用されているシーン】
・コールセンター利用時の本人確認
・入退室管理システム
・PCの保護
・Webサービスのワンタイムパスワード利用の代替

静脈認証

静脈認証とは、指や手のひら、手の甲などの静脈を用いた認証方法です。赤外線カメラによって静脈の形状パターンを抽出し識別します。その識別方法は指紋認証同様にマニューシャ方式、パターンマッチング方式を用います。

静脈認証は、指紋や顔などと異なり外的要因によって変化することが無いため、それらと比べて認証への影響は少ないのが特徴です。また、外部の人によって写真などによるコピーが困難なため、セキュリティ強度という点においても注目を集めている生体認証方法です。

【利用されているシーン】
・入退室管理システム
・PCの保護
・住宅の鍵の代替
・決済システム

生体認証導入・運用の手引き|情報処理推進機構(PDF)